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新島真乃(一人称・夢の中で触手攻め・寸止め焦らし)
新島真乃⑦
しおりを挟む地獄の一週間が過ぎ、触手男――妖魔が「来い」と言っていた日の夜になった。
私の体はイキたくてもイケなくて、寸止めに次ぐ寸止めを味わわされて、おかしくなる手前だった。体の疼きがひどくて今日も眠れそうにないので、睡眠導入薬を飲んだ。あの妖魔に会って、やっつけて、このイケなくなる呪いを解くには、ミキの夢に入らないといけないから。
もちろん、あいつが宣言通りにあの場所に現われる保証はない。罠という可能性もある。それでも私はあいつと戦わなきゃいけない。それに、策はもう打ってある。
私の枕元には、手のひらに乗るくらいのサイズの、青い水晶が置いてある。退魔師協会の支部で借りた、退魔師の力を高めるアイテムだ。それを眺めていると、気持ちが安心して落ち着いてきた。
私はパジャマ姿でベッドに仰向けに横になり、目を閉じた。ミキももう眠っている頃だろう。睡眠導入薬のおかげで、私は静かに眠りに落ちていく――。
夜の廃校。来るのは三度目で、前に来たときと何も変わっていない。ボロボロに朽ちた校舎の窓からは、星のない寂しげな夜空と、誰もいない校庭が見える。
ここはミキの夢の中だ。
私の体は、薬がよく効いて安眠できたからか、現実よりも調子がいい。これなら妖魔が襲ってきても、充分に応戦できる。
私は校舎を歩き回って、妖魔を探した。今度こそ、絶対に滅ぼしてやる! 私をさんざん苦しめて、恥をかかせた報いを受けさせてやるんだから! トゲのムチを握る手に、力がこもる。
何気なく五階の教室の一つに入ったとき、それは起こった。
床を突き破って無数の触手が現われたかと思うと、四方八方から一斉に私に襲い掛かってきたのだ。
「その程度のトラップなんて、なんてことないわ!」
触手に襲われるのも、もう三度目だから、ヤツの攻撃パターンは分かっている。しかも枕元に置いた水晶のおかげで、今日の私はパワーアップしているんだから! トゲのムチをしならせて、一瞬のうちに無数の触手を切り刻んだ。千切れた触手が床の上で苦しげにビチャビチャとのたうち回るけれど、同情なんてこれっぽちもない。むしろ、いいザマだわ!
「攻撃のキレが良くなっているな」
触手の飼い主――触手男が教室の入り口に立っていた。腕から生えている触手の束は、すぐに再生する。
「一週間、苦しかっただろう? 呪いを解いてほしいか?」
「いいえ。解かなくていいわ」
私は男のむかつく顔に向かって、宣戦布告してやった。
「あんたを滅ぼせば、強制的に解けるんだし!」
私は男に向かってムチを振るう。触手が男を守ると同時に、別の触手が私に向かって飛んでくる。壁や天井を突き破って、あらゆる方向から。
力は互角と見える。このままやり合っても負ける気はしないけれど、私は苦戦しているように見せかけて、窓から校庭へ飛んだ。ここは五階だから現実なら地面にぶつかって死んでるけど、夢の中なので着地は軽やかだ。触手男も私を追って校庭に飛び降りてくる。
私は走って野球のバックネットの前に移動する。男が追いかけてきて、ちょうどピッチャーのマウンドの位置に立った。
「どうした? 今さら逃げるつもりか?」
「違うわ。終わらせるの」
私は勝利を確信していた。
実は、事前にミキにも、力を増幅する水晶を渡してある。彼女がそれを枕元に置いて、寝る前に私の指示通りのことを念じてくれていたら、夢の中で特定の場所にいる相手を、夢の主の力で力を弱らせることができるのだ。その場所が、あの野球のマウンドだ。
触手男は、私たちの仕掛けた罠にかかったも同然。
辺りにまばゆい青色の光が満ちていく。そして、触手男の立っているところ――ではなく、なぜか私の足元が、ひときわ強く光り輝き始めた。
「え……?」
夢の主の力が発動。私は一気に力が抜けるのを感じて、思わず片膝を突いてしまった。その隙を突き、妖魔の触手が襲い掛かってきて、私は縛り上げられてしまう。
「くっ……!」
夢の主は、夢を見ている本人――ミキ。つまり夢を作り出した人。夢の世界では神様のような人。だからといって、自由に夢を変えるなんてことは、普通、できないけれど。とにかく、夢の主は自分の夢に対して強い影響力を持っている。だから、夢の主の力が発動すれば、私も妖魔も簡単にはそれに抗えない。
だけど、どうして!? なんで指定したところじゃなく、私がいるところに夢の主の力が発動するの!? ミキが何かを間違えた? いや、そんなはずはない。指示は簡単だし何度も確認したし、間違えるようなものじゃなかった。
妖魔が勝ち誇った顔で笑っている。まるで、初めから全て分かっていた、とでも言いたげに。
「よくやったぞ、ミキ」
妖魔が夢の主の名前を呼ぶと、ミキがグラウンド脇の林の中から姿を現わした。無表情で、人形のように覇気がない。……どういうこと!?
「友人に裏切られた気分はどうだ?」
「裏切られた……?」
あまりのショックに、私はその言葉の意味をすぐに理解することができなかった。
「そんな……嘘でしょ? ミキ……嘘だと言って」
「ごめん」
ミキは一言、そう答えた。目を合わせてくれなかった。
ミキは最初から妖魔の側だったの? だとすれば、私が夢の中で急に動けなくなったり、妖魔の待ち伏せに引っかかったりしたのも、納得できる。
「どうしてなの? なんでこんなヤツに協力するの?」
「…………」
ミキは何も答えない。代わりに妖魔が口を開く。
「俺に協力しないと、イケない。それだけだ」
まさか、ミキも私と同じように、あいつの呪いでイケない体にされていたっていうの!? 確かにミキも寝不足になったり、顔色が悪かったりしていたけど、それはこの一週間の私の状況とよく似ている。
「ミキ、お前が一度だけイクことを許可する。ただし、あっちへ行ってろ」
「あ、ありがとうございます……!」
ミキは妖魔に礼を言って、林のほうへ駆けていった。
「さて、お前もイキたいだろう?」
「誰がそんなこと、あんたなんかに」
「お前の立派なものは、刺激を欲しているようだが?」
言われて下を向くと、私の股のところに、『あれ』が生えていた。パンツからはみ出て、スカートを押し上げ、すでに先っぽがお腹にくっつくくらい雄々しく反り返っている。しかも物欲しそうにヒクヒクと動いているではないか。
「うそっ……」
ありえない。なんでまた、こんなものが……。
私は太ももをすり合わせる。急に体中が火照って、むずむずして、おかしな気分になってきた。……違う! 私はこんなことを望んでない!
妖魔の触手が、私の男根に巻き付いた。ヌルッとして生暖かい。またこの太くて硬いモノを、触手にシコシコされちゃうの? そんなことをされたら、この一週間に溜まっていたものが、一気にあふれ出しちゃう。――そう思ったら、なおさらそこが熱くなって、肉が引き締まり、ビクンと震えた。
だけど、触手は巻き付いただけで、肉棒をしごいてはこなかった。
「な、なにもしない……?」
「快楽が欲しければ、自分で腰を触れ。自分から動けば、お前がイクことを許可してやる」
自分から動けば、イカせてもらえる!? この一週間、イクことができなくて焦れていた体が、触手男の提案に反応してしまう。だけど、自分から腰を動かすなんて、みっともないことはできない。
「そ、そんなことするわけないでしょ! 快楽なんていらないわ」
「ならば、ずっとこのままでいいんだな?」
本当に触手はぴくりとも動かない。でも触手が肉棒に巻き付いている感触は、確かに伝わってくる。このヌルヌルしたものが、シュルシュルと動いて肉棒をヌチャヌチャと擦ってくれたら、どんなに気持ちいいだろう? そんなハレンチなことを想像しちゃダメ、と自分に言い聞かせるけれど、私の体は内側で燃えるように熟(う)れて、肌もじんわりと汗ばんでいる。
「フゥ……♡ フゥ……♡ フゥ……♡」
頭がぼーっとしてくる。ただ手足を縛られているだけで、まだ何もされていないのに。学校のトイレでこっそり自分のクリと乳首をクニクニしたこと、毎晩ベッドの上で枕に顔を押し付けて自分の体を慰めていたことが、思い出されてくる。……イキたい。一回だけでいいから、もう一度、あの絶頂の感覚を味わいたい。
硬くなった肉棒がときどきビクン、ビクビクと動いて、それに応えるように、触手のほうも位置を直すみたいにちょっとだけ動いて、中途半端な快楽を伝えてくる。それだけで肉棒が溶けてしまいそう。このまま何時間我慢すればいいの……? こんな生殺しのようなことをされ続けたら、きっと頭がおかしくなる。
だけど私は、頭を振って、正気を保つべく邪念を払った。負けるわけにはいかない……!
「苦しそうだな?」
「別に、全然」
私は強がったけれど、体は正直で、もぞもぞと身をよじるのを止められなかった。
すると、別の触手が伸びてきて、私のシャツを開いた。ブラも剥ぎ取られ、胸がさらされてしまう。
「こっちも立っているじゃないか」
「この、ヘンタイっ……!」
恥ずかしくて、触手男から顔をそらす。私の乳首は普段よりも大きくなって、ピンと尖っている。早く触ってほしい、コリコリしてほしいって言っているのが分かる。触手が乳房に巻き付いて、ぐにゅっと形を歪ませて揉んでいる。
「……っ♡」
だけどそれだけじゃ足りない。乳首も触ってくれなければ、達するほど大きな快楽は得られないのだ。それなのに触手は器用に乳首だけは避けて、いやらしくくねって、私の胸をマッサージしている。
「腰を動かしたら、乳首も触手で触ってやるぞ」
もっと触ってほしい。乳首をつまんで、乱暴に引っ張ってほしい。でもそんなこと言えない。触られていない乳首がヒリヒリしている。肉棒はさっきから絶え間なくビクンビクンしている。体中が疼きすぎて、内側から掻き毟りたいくらいだ。体に真っ直ぐに突き刺さるような、息ができなくなるような快楽が欲しい。イキたい……一秒でも早くイキたいっ……。お願いだから……イカせてほしい。私の腫れ上がった、ビンビンのおちんちんを楽にしてあげてほしい……。そういえばミキは今頃、あの林の中で独り自慰にふけっているのだろうか。自分の敏感なところを好きなだけ触りまくって、愛液をトロトロにして、恥ずかしい声を押し殺して、ビクンビクンしながら絶頂しているのだろうか。そんなの、ずるい。私だって気持ち良くなりたいのに。私のほうが、こんなにイキたいのに……。早くイキたい……全部、何もかも、どうでもいいから、イキたい……。
気づいたら私は、小さく嗚咽(おえつ)をあげて泣いていた。私の中で何かが崩壊したのだった。
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