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新島真乃(一人称・夢の中で触手攻め・寸止め焦らし)
新島真乃②
しおりを挟む「ここでは俺は神だと言っただろう。その意味が分かったか?」
片方の肩から触手の束を生やした男は、混乱している私に向かって、偉そうに言った。
私の体には男根が生えていて、しかも夢から出られない。
こんなこと、あっていいはずがない。
自分に、落ち着けと言い聞かせる。
「そんなこと、認めるわけないじゃない」
私はできるだけ気丈に言い返してやった。
本当はヤツをぶん殴ってやりたいけど、今は手足を触手に絡め取られているので、それはできない。悔しいけど、この夢の世界は何かがおかしいのだ。
私が夢の中で妖魔に後(おく)れを取るなんて、何かの間違いに決まってる。きっとすぐにいつもみたいな力が戻るか、夢から覚めて現実に戻れるはず。
だからそれまで――少しの間だけ、この体の異常な変化と、気持ち悪い触手の感触に耐えればいい。
「あんたみたいな、身の程(ほど)を分かってないバカな妖魔は、腐るほど見てきたわ。その中でも少し賢いヤツは尻尾巻いて逃げたし、賢くないヤツは滅ぼしてやったけどね。この私に夢の中で勝てると思ってるなんて、ホント、笑わせるわ」
「ペニスをビクビクさせながら言っても、説得力に欠けるな」
そう言われて私は反射的に下を向いて、自分の体に生えてしまった男根を見た。それは妖魔の触手に巻き付かれて先っぽだけ姿をさらしていて、私の意思に反して、時々身をよじるようにビクビクと動いていた。
「……っ」
私は恥ずかしくて情けなくて、唇を噛んだ。
確かにこの肉棒がある辺りに、強い熱と、筋肉が突っ張っているような感覚、それから触手のヌルッとした不快感を感じる。それらは私が知らない感覚のはずなのに、しかも夢にもかかわらず、すごくリアルだった。
触手男が私にゆっくりと近づいてくる。男の人間の手が、私の顎をつかみ、背けていた顔を前に向かせる。
「何するのよ。汚い、触らないで」
潤いのない髪と肌、落ちくぼんだ目、ギザギザの歯。男の手が触れているところが気持ち悪くて、すぐにでも消毒したい。
「さすがは退魔師だ。命乞いしないんだな」
「夢の中で命乞いするわけないじゃない。あんたは私の現実の体に触れることはできな――」
私が言い終わるより前に、男がいきなりガバッと口付けをしてきた。
「――んんッ!?」
口で口を塞がれ、苦しくて、もがく。顔をそむけようとしても、男の力が強くて抵抗できない。しかも男の舌が入ってきて、私の口の中を隅々まで舐めまわし、舌と舌を絡ませてきて、ねっとりとした唾液も混ざり合う。
気持ち悪い! イヤ! やめて! はなして! ――そう叫ぼうとしても、口が塞がれていて、声を出せない。手足も動かせない。涙が頬を伝うのが分かった。私の本当の唇は汚されていない、だから泣いてはいけない、気を強く持たなければ、と思っても、涙が止まらない。それに何だか、息ができないせいか、頭がぼーっとしてきた。胸の内側が温かくなって、ゆりかごに抱かれているかのように妙に心地よくて、その感覚に身も心も預けてしまいそうになる。
これがキスをするということなの?
私、キスで感じている……?
いや、そんなことは絶対にない。よりにもよって、こんなヤツに、感じるわけがない。……違う! 私は流されないように、拒絶の意思を自分に言い聞かせた。
ようやく男が口を離し、地獄のような時間が終わった。私は口の中が不快でたまらなくて、唾を吐き捨てた。
「最低よ。こんなことして、後でどうなるか分かってるの」
憎しみを込めて、男を睨みつける。
「まだ自分の立場が分からないようだな」
今度は男の手が私の胸を鷲掴みにした。制服のシャツの上から、乱暴に揉みしだいてくる。誰にも自分の体をこんなふうに触らせたことなんてないのに……。
「やめて! 痛い! 触らないで!」
涙声で訴える私に、男は横暴を続ける。
「お前を犯すと言っただろう? お前も感じているじゃないか」
「バカじゃないの!? ヘンタイ! ケダモノ! あんたみたいなヤツにこんなことされても、気持ち良くなんてならないんだから!」
その言葉をあざ笑うかのように、私の男根に巻き付いていた触手が、シュルシュルと動いて、男根全体を刺激し始めた。
「ちょっ……いやっ! ……んっ♡ やめなさいよ!」
触手は何か分泌液を出しているのか、表面はヌルヌルしていて、ヌチャヌチャという粘っこい音が聞こえてくる。時々微妙に巻き付き方が緩くなったり、きつくなったりするし、動きもゆっくりになったり速くなったりして、刺激の予測が付かない。私の肉棒はそのテクニックに翻弄されて、筋肉が痛むほどガチガチに硬くなり、先っぽがお腹にくっつくくらい、のけぞっている。私はできるだけここから逃げる方法を考えようとしていたけれど、自分の肉棒が触手の愛撫にビクンビクンと反応して、快楽が無視できなくなってしまった。肉棒の歓喜のビクビクがほとんど引っ切り無しの短い間隔になると、もう全く脱出方法など考える余地はなくなって、腰も引けてしまって、歯を食いしばって、ただただ快感に耐えるだけで精一杯だった。巨大な快感の波が、私自身の体の奥の深いところから、だんだん肉棒の先っぽへと迫ってくる。少しでも気を緩めてしまったら、それは抑えられなくなって、一気に崩れてしまいそう。
「……っ♡ ……ん♡ ……フゥ♡ ……フゥ♡」
「どうした? さっきから無言になっているが?」
「う、うるさい!」
私は下を向いて、男に顔を見られないようにして、必死で自分を保とうとした。
私だって年頃の女の子――十七歳の女子高生だから、今までに女の部分を自分で触ってみたことはある。だけど、正直言って、あまり気持ちがいいとは思えなかったし、絶頂を味わうこともできなかった。
友だちが恋愛とか彼氏とか言って盛り上がっていても、私には何がそんなに良いのか、どうして彼女たちを夢中にさせるのか、分からない。
分からないけど、今、私が味わわされているこの快感が、それらの答えなのだろうか? ……認めたくない。どんなにリアルな感覚も、これは夢なのだ。ここにある私の体は、本当の私の体ではない。だから、きっと、こんなふうに、おかしくなってしまっているのだろう。
男はいつの間にか、制服のシャツのボタンを胸のところだけ外して、ブラを押し上げて、私の胸を直接揉んでいる。男の指が乳首を弾くたびに、ピリッとした電流が頭に流れてくる。屈辱的で、何もできない自分が悔しくてたまらない。
だけどそれ以上に、触手にしごかれている男根への刺激が鮮やかで激しくて、体がもう自分のものではないみたいに勝手にビクビクと震えてしまう。肉棒は爆発するんじゃないかと思うくらい硬く張って、体中の血が全部そこに流れ込んでいるみたいに、熱く熱くたぎっている。
男の手も、触手も、休むどころか、その動きを加速させていく……。
「んんっ♡ あっ♡ やめっ♡ もうっ♡ ……っ♡ やめてっ♡!」
「やめてほしければ、力づくでやめさせたらどうだ? 退魔師だろう?」
妖魔に煽られても、何も言い返すことができない。その代わり、口を硬く閉じて声を我慢する。
体中が熱くて、汗ばんで湿って、敏感になって、ビクビクが止まらない。触手が手足を縛り付けていなければ、とっくに立っていることもできなかっただろう。頭には靄(もや)がかかり、吐く息は熱く粘っこい。鼻を突く甘い香りは、触手の分泌するヌメヌメの液体のせいだ。ヌッチャヌッチャという音を立てて、糸を引きながら、私の肉棒は触手に抱き込まれたり、先っぽだけ出てきたりする。その先っぽには、かすかに光る玉が浮いている。
頭がおかしくなりそう――。
「ああっ♡♡!!」
私の喉の奥から、堪えていた熱い空気の塊が、ひときわ大きな声とともに、一気に吐き出された。ついに私は、堪え続けることができなくなってしまったのだ。
もう一度我慢して立て直すのは、絶望的だった。体に全く力が入らなくなっている。川が決壊したかのようで、どっと溢れ出てくるものを止めることも、押し返すこともできない。
「あっ♡! んあっ♡! だめぇっ! んんぅ♡! ああもう♡♡! あああ♡!!」
自分でも驚くくらい、恥ずかしい声が次々と出てきた。自分の中にいるもう一人の冷静な自分が、その声を聴いて、「我慢するのよ!」と命令している。だけどもう、自分の意思ではどうすることもできなかった。自分ではない何かが、叫んでいた。すごい速さで何かが駆け上がってくる。男根に伝わってくる快楽が体の隅々まで染みわたって、私を飲み込んだ。
「うあ゛っ♡♡! んぅん♡♡! イクっ♡! あっ♡!! もう♡♡! んあ゛ッ♡♡! ああも゛う♡♡♡!! イ゛ッッ――くぅ……ッッッッッッ♡♡♡♡♡!!!!」
そのとき、私の意識は一瞬だけ真っ白になって、次の瞬間には、男根の先っぽから、焼けるほど熱い汁をビュッビュッと解き放っていた。溜まっていた白濁液を一滴も残らず絞り出すことに必死で、射精のタイミングに合わせて、腰を自分で前後に動かしていたくらいだ。
やがて力んでも何も出なくなると、私は放心してしまって、やっぱりまだ何も考えることができずに、荒い息を整えながら、絶頂の余韻に浸った。
すごすぎて、理解が追い付かない。
これが、イクっていうことなの……?
恋愛とか彼氏とか言っている友だちは、みんな、こんな体験を求めているということ……?
そんなことを考えながら、絶頂の余韻が去っていくと、私はハッとして、自分の置かれた状況を思い出した。どうにかしてこの触手男――妖魔を倒すか、現実の私を起こして夢から出る必要がある。
「派手にイキやがったな」
触手男が、人間の手で、私のうつむいた顔を上げさせる。私は目をそらして、唇を噛むことしかできない。
やっぱり、これがイクってことなんだ……。
私は手に力を込めてみるけれど、触手はびくともしない。私専用の武器であるムチは、夢の中でなら何度でも再生させて空間から取り出すことができるけど、さすがにこの状態では攻撃できない。
だったら、やっぱり現実の私を起こすしかない。
――目を覚まして!
呼びかけると、今度はかすかに反応があった。私は一刻も早くここから出られるように、強く念じる。
――お願いだから、目を覚まして!!
パッと世界が真っ暗になったので、私は目を開けた。暗闇の中で、私は目をこすりながら上半身を起こして、周りを見回した。
ここは部屋の中のベッドの上で、見慣れたカーテンや掛け時計、棚や机が目に入る。私の部屋だ。夢から覚めて、現実の世界に戻ってきたのだ。ほっとして、ため息が出た。
私はちゃんと布団をかけて、お気に入りの水玉模様のパジャマを正しく着ている。当たり前のことだけど、夢は現実に干渉できない。だけど、あの男に口の中を舐めまわされたり、胸を揉まれたりした記憶は残っているし、いつもより寝汗をかいてしまっている。今すぐにでも、うがいをして、シャワーも浴びたい。
そんなことを思いながら、私は気になって自分の股の間に手を差し込んだ。大きな男根が生えていたところには、何も生えてはいなかった。……当たり前ね。現実であんなものが体に生えていたら、恥ずかしくて生きていけないわ。
再びほっとして、スリッパを履いて、部屋を出ようとしたとき。
違和感を感じて、もう一度、パジャマのズボンに手を差し入れ、股の間をまさぐった。
指先に感じる、湿った布の感触。
「…………」
夢の中で味わった、あの絶頂の快感を思い出してしまい、その記憶を掻き消すように、慌てて首を振った。絶頂したのは本当の私では――この体ではない。
「下着、替えなきゃ……」
私はまだ気づいていなかった。
もうすでに、ヤツの術中に陥(おちい)っていたことに――。
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