養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
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第46話 新しい大きな仕事の依頼③
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嫉妬、ねえ……。レオンハルトさまと一緒なことが、面白くなかったのかしら?それとも、自分がやろうとしていたのに、レオンハルトさまが私に村の中の案内をしてしまったことが、気に食わなかったのかしら。
どちらにしろ嫉妬されるほど、私はアルベルトともレオンハルトさまとも、まだそんなに親しいわけじゃあないのだけれど……。
そりゃあ、2人とも素敵な人だし、親しくなれたらいいなとは思うけれど……。
この先どうなるかはわからないんだし。
けれど、それもこれも、正式に離婚してからの話だ。さっきはついつい、レオンハルトさまとデート気分で歩いてしまったけれど、私はまだそれが許される立場にない。
もしもイザークにそこを突かれたら、離婚の際に不利になる事案だ。早く堂々と、素敵な方と歩けるようになりたいものね。
レオンハルトさまが自宅まで送って下さったので、画材が届くのをボーッとしながら待っていると、30分も経たないで、アルベルトがお父さまとともに、長い筆などの画材一式とキャンバス、イーゼルを運んで現れた。
「……随分と早いんですね。」
「最優先で取り掛かってもらった。」
「そうなんですか、ありがとうございます。
そんなに急がなくても良かったのに。」
「待ってるだけは退屈だと思って。」
「それは確かにそうですね。」
本も何もないし、村は見て回ってしまったから、正直することがないのよね。
「じいちゃんはまだ仕事。
先に俺と父さんを描いて欲しい。」
と言った。
「わかりました。では……そこに並んで立って下さい。工房長には中央で座っていただきましょう。後でお父さまには、工房長の肩に手を置いていただきますので。」
「わかりました。」
そう言って、アルベルトとお父さまが、アトリエの中に並んで立った。
私はアトリエの中にあった丸椅子に腰掛けて、長い筆を長く持って、2人の形をキャンバスに取り出した。
「……木炭でアタリを取らないのですね?」
お父さまが不思議そうにそう言った。
「アタリ?……ごめんなさい、私、絵は習ったことがないので、専門用語はわからないんです。独自のやり方をしているので……。」
「アタリとは、大まかな位置や構図を仮で入れておくことを指します。通常は木炭でそれを行うんですよ。人物であれば頭や体をざっくり描いたりして、そこに色を重ねます。
下絵を丁寧に描かれる方もいますよ。」
「ああ、そうなんですね。私、それを絵の具で直接してしまうんです。
それでもなんとなく仕上がるんですよ。」
「天才肌、だと思う。」
驚いたようにアルベルトが言う。
「そうかしら?自分じゃよくわからないわ。
なんとなくやっているだけなの。」
「確かに、あまり一般的ではないので、それで描けるのは凄いことだと思いますよ。」
とお父さままでそうおっしゃった。
「……そうなんでしょうか?
だといいのですけれど……。」
私は恐縮しつつ微笑んだ。
「懐かしい。母さんもいつもそこで、絵、描いてた。昔よく描いてもらった。」
「ああ、懐かしいな。絵なんてもう、描いてもらうことは一生ないと思っていたが。」
アルベルトのお父さまは、奥さまが亡くなられたのがショックで、この家を出られたんだったわね。それ以降、奥さま以外の方のモデルになることがなかったんだわ。
「……奥さまの次が私で、良かったんでしょうか?絵を描かれるのは、本当は嫌だったりされませんか?奥さまにだけ、モデルをされていたんですよね?」
私はそこが少し気になった。
「……これが楽しい思い出になれば、そんな思いも払拭出来るかと思います。」
お父さまは静かにそう言った。
「妻が亡くなって引っ越してから、一度もこの家には足を運ばなかったんですが……。久しぶりにこの家に家族以外がいるのを見ましたが、とても明るい気持ちになれました。やはり家は、人が住んだほうがいいですね。」
「俺も、住んでくれて嬉しい。
今、凄く楽しい。」
「本当?そう言ってもらえて嬉しいわ。」
私は嬉しくなってそう答えた。
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どちらにしろ嫉妬されるほど、私はアルベルトともレオンハルトさまとも、まだそんなに親しいわけじゃあないのだけれど……。
そりゃあ、2人とも素敵な人だし、親しくなれたらいいなとは思うけれど……。
この先どうなるかはわからないんだし。
けれど、それもこれも、正式に離婚してからの話だ。さっきはついつい、レオンハルトさまとデート気分で歩いてしまったけれど、私はまだそれが許される立場にない。
もしもイザークにそこを突かれたら、離婚の際に不利になる事案だ。早く堂々と、素敵な方と歩けるようになりたいものね。
レオンハルトさまが自宅まで送って下さったので、画材が届くのをボーッとしながら待っていると、30分も経たないで、アルベルトがお父さまとともに、長い筆などの画材一式とキャンバス、イーゼルを運んで現れた。
「……随分と早いんですね。」
「最優先で取り掛かってもらった。」
「そうなんですか、ありがとうございます。
そんなに急がなくても良かったのに。」
「待ってるだけは退屈だと思って。」
「それは確かにそうですね。」
本も何もないし、村は見て回ってしまったから、正直することがないのよね。
「じいちゃんはまだ仕事。
先に俺と父さんを描いて欲しい。」
と言った。
「わかりました。では……そこに並んで立って下さい。工房長には中央で座っていただきましょう。後でお父さまには、工房長の肩に手を置いていただきますので。」
「わかりました。」
そう言って、アルベルトとお父さまが、アトリエの中に並んで立った。
私はアトリエの中にあった丸椅子に腰掛けて、長い筆を長く持って、2人の形をキャンバスに取り出した。
「……木炭でアタリを取らないのですね?」
お父さまが不思議そうにそう言った。
「アタリ?……ごめんなさい、私、絵は習ったことがないので、専門用語はわからないんです。独自のやり方をしているので……。」
「アタリとは、大まかな位置や構図を仮で入れておくことを指します。通常は木炭でそれを行うんですよ。人物であれば頭や体をざっくり描いたりして、そこに色を重ねます。
下絵を丁寧に描かれる方もいますよ。」
「ああ、そうなんですね。私、それを絵の具で直接してしまうんです。
それでもなんとなく仕上がるんですよ。」
「天才肌、だと思う。」
驚いたようにアルベルトが言う。
「そうかしら?自分じゃよくわからないわ。
なんとなくやっているだけなの。」
「確かに、あまり一般的ではないので、それで描けるのは凄いことだと思いますよ。」
とお父さままでそうおっしゃった。
「……そうなんでしょうか?
だといいのですけれど……。」
私は恐縮しつつ微笑んだ。
「懐かしい。母さんもいつもそこで、絵、描いてた。昔よく描いてもらった。」
「ああ、懐かしいな。絵なんてもう、描いてもらうことは一生ないと思っていたが。」
アルベルトのお父さまは、奥さまが亡くなられたのがショックで、この家を出られたんだったわね。それ以降、奥さま以外の方のモデルになることがなかったんだわ。
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「……これが楽しい思い出になれば、そんな思いも払拭出来るかと思います。」
お父さまは静かにそう言った。
「妻が亡くなって引っ越してから、一度もこの家には足を運ばなかったんですが……。久しぶりにこの家に家族以外がいるのを見ましたが、とても明るい気持ちになれました。やはり家は、人が住んだほうがいいですね。」
「俺も、住んでくれて嬉しい。
今、凄く楽しい。」
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私は嬉しくなってそう答えた。
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