養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
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第46話 新しい大きな仕事の依頼②
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朝ご飯の時、私が夫に絵の具を売られてしまったことを、気にしたそぶりだったアルベルト。私にお金がないことも知っている。
絵の具もお金もない私の為に、私に絵を描く仕事を与えようとしてくれたのかしら?
お陰で新しく絵の具も借りられたわ。
優しくて気を遣ってくれる子なのね。
私は素直にありがとうと言った。
「夕飯。リクエストはある?」
「え?いいわ。いただくだけでも悪いのに。
なんでも構わないわよ。」
「気にしないで。必要なものは明日買いに行くことになってる。今日も泊まっていって。
朝ご飯は?リクエストはある?」
「……もし出来るなら、今朝いただいたパンをまた食べてみたいわ。
とても美味しかったもの。」
私は誘惑に抗えずに言った。
「了解。あれは父さんもじいちゃんも好き。
明日必ず作る。」
アルベルトがニッコリする。
「そんなに美味かったのか?どんな料理だ?
俺も気になるな。」
レオンハルトさまが顎をこすりながら尋ねてくる。
「塩とオリーブオイルでニンニクを炒めて、そのオリーブオイルを使って半熟の卵を焼くんです。オリーブオイルと半熟の卵とニンニクを、パンの上に散らして食べるんです。」
と私は教えた。
「へえ、聞いてるだけで美味そうだな。」
「そこに更にチーズとハムを乗せると、悪魔的な美味しさでしたよ。」
「──騎士さま。」
私が今朝の朝ご飯の説明をしていると、アルベルトがレオンハルトさまを見て、騎士さま、と呼んだ。
「彼女と、知り合い?……親しい間柄?」
なぜちょっと、表情が険しいのかしら?
アルベルトは、レオンハルトさまと、あまり仲が良くないのかしら。
「ああ。以前護衛の仕事を頼まれてな。
今日はさっきまで村を案内してたんだ。」
「……そう。明日俺がしようと思ってた。」
「明日は休みだって言っていたものね。でも今日も買い物に付き合ってもらったし、明日も付き合ってくれるんでしょう?」
「そのつもり。」
「アルベルトの休みを1日まるまる付き合わせるのは悪いわ。気持ちはありがとう。」
「別に悪くない。」
気を遣ってくれるアルベルトに、私も気を遣って答えたつもりだったのだけれど、アルベルトは何やら不満そうだった。
……どうしたのかしら?
「どうやらお坊っちゃんの予定を崩しちまったようだな。悪いことをしたよ。」
眉を下げて笑いながら、レオンハルトさまがそう言った。
「そんなこと……!私は感謝してます。
それに……楽しかった……ですし。」
言っていて恥ずかしくなってきて、段々と俯いてしまう。
アルベルトはギュッと拳を握りしめると、
「筆、1時間で出来る。家に持って行く。
そしたら絵を描いて欲しい。」
と言った。
「今日から?それは構わないけれど……。」
随分と急ぐのね?まあ大作だし、3ヶ月でも正直短いかも知れないわ。
「じゃあ、俺はそろそろ失礼するよ。
またな。」
「あ、じゃあ、私もそろそろ……。
また後でね、アルベルト。」
私はレオンハルトさまと、画材店を出た。
「さっきの……。どうしたんでしょうか。
様子がおかしかったですね。」
レオンハルトさまと並んで歩きながら、私はさっきのアルベルトの様子が気になって、そうポツリと呟いた。
「アルベルトか?単なる嫉妬だろ。」
「──嫉妬?」
アルベルトが?私に?なぜ?
「わからないのか?まあ、お嬢ちゃんはそうだろうなあ。鈍いって人から言われないか?
アルベルトもかわいそうに。」
「……最近似たようなことは言われましたけど、私ってそんなに鈍いですか?」
「ああ、かなりな。」
そう言ってレオンハルトさまが笑う。
「そう……なんでしょうか。
自分じゃ少しもわからないものですね。」
「まあ、それがお嬢ちゃんのいいところでもあるんだがな。」
「そうなんですか?」
鈍いところがいいところだなんて、初めて言われたわ。……鈍い自覚もないけれど。
「だから別にわからなくても構わないさ。いずれ嫌でもわかるようになるだろうしな。」
なんて思わせぶりに言ってくる。
────────────────────
最年少ヒーローと、最年長ヒーローが、初めて対峙。初っ端からバチバチのアルベルトと、それをいなすレオンハルト笑
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
絵の具もお金もない私の為に、私に絵を描く仕事を与えようとしてくれたのかしら?
お陰で新しく絵の具も借りられたわ。
優しくて気を遣ってくれる子なのね。
私は素直にありがとうと言った。
「夕飯。リクエストはある?」
「え?いいわ。いただくだけでも悪いのに。
なんでも構わないわよ。」
「気にしないで。必要なものは明日買いに行くことになってる。今日も泊まっていって。
朝ご飯は?リクエストはある?」
「……もし出来るなら、今朝いただいたパンをまた食べてみたいわ。
とても美味しかったもの。」
私は誘惑に抗えずに言った。
「了解。あれは父さんもじいちゃんも好き。
明日必ず作る。」
アルベルトがニッコリする。
「そんなに美味かったのか?どんな料理だ?
俺も気になるな。」
レオンハルトさまが顎をこすりながら尋ねてくる。
「塩とオリーブオイルでニンニクを炒めて、そのオリーブオイルを使って半熟の卵を焼くんです。オリーブオイルと半熟の卵とニンニクを、パンの上に散らして食べるんです。」
と私は教えた。
「へえ、聞いてるだけで美味そうだな。」
「そこに更にチーズとハムを乗せると、悪魔的な美味しさでしたよ。」
「──騎士さま。」
私が今朝の朝ご飯の説明をしていると、アルベルトがレオンハルトさまを見て、騎士さま、と呼んだ。
「彼女と、知り合い?……親しい間柄?」
なぜちょっと、表情が険しいのかしら?
アルベルトは、レオンハルトさまと、あまり仲が良くないのかしら。
「ああ。以前護衛の仕事を頼まれてな。
今日はさっきまで村を案内してたんだ。」
「……そう。明日俺がしようと思ってた。」
「明日は休みだって言っていたものね。でも今日も買い物に付き合ってもらったし、明日も付き合ってくれるんでしょう?」
「そのつもり。」
「アルベルトの休みを1日まるまる付き合わせるのは悪いわ。気持ちはありがとう。」
「別に悪くない。」
気を遣ってくれるアルベルトに、私も気を遣って答えたつもりだったのだけれど、アルベルトは何やら不満そうだった。
……どうしたのかしら?
「どうやらお坊っちゃんの予定を崩しちまったようだな。悪いことをしたよ。」
眉を下げて笑いながら、レオンハルトさまがそう言った。
「そんなこと……!私は感謝してます。
それに……楽しかった……ですし。」
言っていて恥ずかしくなってきて、段々と俯いてしまう。
アルベルトはギュッと拳を握りしめると、
「筆、1時間で出来る。家に持って行く。
そしたら絵を描いて欲しい。」
と言った。
「今日から?それは構わないけれど……。」
随分と急ぐのね?まあ大作だし、3ヶ月でも正直短いかも知れないわ。
「じゃあ、俺はそろそろ失礼するよ。
またな。」
「あ、じゃあ、私もそろそろ……。
また後でね、アルベルト。」
私はレオンハルトさまと、画材店を出た。
「さっきの……。どうしたんでしょうか。
様子がおかしかったですね。」
レオンハルトさまと並んで歩きながら、私はさっきのアルベルトの様子が気になって、そうポツリと呟いた。
「アルベルトか?単なる嫉妬だろ。」
「──嫉妬?」
アルベルトが?私に?なぜ?
「わからないのか?まあ、お嬢ちゃんはそうだろうなあ。鈍いって人から言われないか?
アルベルトもかわいそうに。」
「……最近似たようなことは言われましたけど、私ってそんなに鈍いですか?」
「ああ、かなりな。」
そう言ってレオンハルトさまが笑う。
「そう……なんでしょうか。
自分じゃ少しもわからないものですね。」
「まあ、それがお嬢ちゃんのいいところでもあるんだがな。」
「そうなんですか?」
鈍いところがいいところだなんて、初めて言われたわ。……鈍い自覚もないけれど。
「だから別にわからなくても構わないさ。いずれ嫌でもわかるようになるだろうしな。」
なんて思わせぶりに言ってくる。
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