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071 : 顔のない天使
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「良かったら、またいつでも来ておくれよ!
あんたには、本当はやめてほしくないんだがな…」
「ありがとうございます。
本当にお世話になりました。
アルバンさん、どうかお元気で!」
アルバンに手を振りながら、私達は町を出た。
町を出てしばらくすると、清清しい朝陽がやっとその顔をのぞかせた。
「今日は、どうしてこんなに早いんですか?」
「それは……」
「隣町まではけっこう遠いんだ。
でも、その先の町は近いらしくって、今くらいの時間に出たら今日中にそこまで着けると思ってな。」
それが、ただの口実だということはわかっていた。
リュックは、きっと自信がなかったのだ。
旅立つ前に、彼女に会って別れの挨拶をしてしまったら、冷静でいられる自信がなかったのだろう。
「そうだったの…それで、ナディアさんにお別れは言って来たの?」
「マルタン、クロワさんにナディアのことを話したのか?!」
「いけなかったか?」
「いや…別にいけないってわけじゃあないけど…」
「なんでも、すごく綺麗な人らしいじゃないの。」
「まぁな…」
「そうだ!もしかしたら、今度、ここに帰って来たら、ナディアさんにリュックの子供が出来てるかもしれないぞ!」
「えっ!…もうそんなことに…?!」
クロワは目を丸くして驚いている。
私もそのことには少なからず驚いていた。
「ば、馬鹿なことを言うな!
そんなわけないじゃないか…!」
「照れるなよ!」
「て、照れるもなにも、そんなことあるわけないじゃないか!
マリア様じゃあるまいし…」
「しかし、君とナディアさんは…」
「マルタン、あんた、何を勘違いしてるんだ!
いきなりそんなことになるわけがないだろう!」
「でも、ドニスさんも言ってたじゃないか。
やることはやったって…」
「ば、ば、ばか!
あ…あれはだな…キ…キ…」
「キ……?」
リュックの言おうとしていることを理解した私は、思わず噴き出していた。
「な、なにを笑ってるんだよ!
べ、別にいいさ、笑いたきゃ好きなだけ笑え!!」
「そうか…そうだったのか…
キスのことだったのか…」
私やドニスはすっかり勘違いをしていたことに、その時になってやっと気が付いた。
「君って奴は…本当に可愛い奴だな!」
「うるさい!
やめろ!馬鹿野郎!」
後ろから、彼を抱き締めようとした私をリュックが振り切りながら逃げる。
そんな彼をなおも私は追いかける…
子供のような気分に帰れた一時だった。
あんたには、本当はやめてほしくないんだがな…」
「ありがとうございます。
本当にお世話になりました。
アルバンさん、どうかお元気で!」
アルバンに手を振りながら、私達は町を出た。
町を出てしばらくすると、清清しい朝陽がやっとその顔をのぞかせた。
「今日は、どうしてこんなに早いんですか?」
「それは……」
「隣町まではけっこう遠いんだ。
でも、その先の町は近いらしくって、今くらいの時間に出たら今日中にそこまで着けると思ってな。」
それが、ただの口実だということはわかっていた。
リュックは、きっと自信がなかったのだ。
旅立つ前に、彼女に会って別れの挨拶をしてしまったら、冷静でいられる自信がなかったのだろう。
「そうだったの…それで、ナディアさんにお別れは言って来たの?」
「マルタン、クロワさんにナディアのことを話したのか?!」
「いけなかったか?」
「いや…別にいけないってわけじゃあないけど…」
「なんでも、すごく綺麗な人らしいじゃないの。」
「まぁな…」
「そうだ!もしかしたら、今度、ここに帰って来たら、ナディアさんにリュックの子供が出来てるかもしれないぞ!」
「えっ!…もうそんなことに…?!」
クロワは目を丸くして驚いている。
私もそのことには少なからず驚いていた。
「ば、馬鹿なことを言うな!
そんなわけないじゃないか…!」
「照れるなよ!」
「て、照れるもなにも、そんなことあるわけないじゃないか!
マリア様じゃあるまいし…」
「しかし、君とナディアさんは…」
「マルタン、あんた、何を勘違いしてるんだ!
いきなりそんなことになるわけがないだろう!」
「でも、ドニスさんも言ってたじゃないか。
やることはやったって…」
「ば、ば、ばか!
あ…あれはだな…キ…キ…」
「キ……?」
リュックの言おうとしていることを理解した私は、思わず噴き出していた。
「な、なにを笑ってるんだよ!
べ、別にいいさ、笑いたきゃ好きなだけ笑え!!」
「そうか…そうだったのか…
キスのことだったのか…」
私やドニスはすっかり勘違いをしていたことに、その時になってやっと気が付いた。
「君って奴は…本当に可愛い奴だな!」
「うるさい!
やめろ!馬鹿野郎!」
後ろから、彼を抱き締めようとした私をリュックが振り切りながら逃げる。
そんな彼をなおも私は追いかける…
子供のような気分に帰れた一時だった。
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