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ルカ(聖夜月ルカ)

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071 : 顔のない天使

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リュックの言っていた通り、隣町まではけっこうな距離があったが、夜明け前に出て来たこともあり昼過ぎには着くことが出来た。
どこかで、腹ごしらえをしていこうというクロワに、リュックはこの先の町に行ってからにしようと押しきり、結局、町は素通りしただけだった。
おそらく、リュックは、先日、ドニスの家で会ったピーターにでも会いやしないかと思いそれを避けるために急いでいるのではないだろうか…
とにかく、そういうことで、私達はもう一つ先の町まで空腹を感じながらも歩き続ける事になった。

次の町までは確かに遠くはなかった。
町に着いた私達は、その町の宿屋に入り、ようやく食事にありつくことが出来た。

宿の主人によると、女神像のある祠の話は聞いたことはあるが、行ったことはないということだった。



「ここから、三つか四つ先の小さな町のはずれにあるらしいんだがな…
……あんたら、なんだってそんなものを見に行くんだね?」

「なんでって…まぁ…話のネタにとでもいうか…
そんな深い意味はないけどな。」

「やめといた方が良いんじゃないか?」

「なんでだ?」

「いや…わざわざ行って見る程のもんじゃないからさ…」

宿の主人の態度は、何事かを言いよどんでいるように感じられた。



「リュック、下で飲んできたらどうだ?」

「あんたは行かないのか?」

「私は今日は疲れたから早く休ませてもらうよ。」

「そうか…じゃあ、俺も少しだけ飲んで来るよ。」

リュックが部屋を出たのを確認してから、私はクロワの部屋を訪ね、最近のリュックのことを話して聞かせた。



「そうだったんですか…
それで、今日はこんなに早くに発ったんですね。」

「ええ…彼としては少しでもナディアの傍から離れたいと思っているのでしょう。
そうでないと、辛いんですよ。」

「可哀想に…
でも、一本気なリュックのことですから、そう簡単に海底神殿のことを諦めるとは思えませんね。
これからも、今まで通り、陽炎の化石のことはリュックに気付かれないように探していくしかありませんね。」

「そうですね。
ただ、偶然にも私達が行こうとしていた方向と、女神像の祠が同じ方向だったのが救いですね。」

「そういえば、ここのご主人のさっきの様子…おかしかったと思われませんでしたか?」
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