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053 : 無二の相棒
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「俺のこと…嫌いになったりしないか?」
「……そんなことはないさ。」
「俺がなにかおかしな真似をしたとしても?」
「ああ……嫌いになることがあるとしたら、君の方かもしれないぞ。
たとえば、私の過去がひどいものだとわかったりしたら…」
「俺は、そんなこと、気になんかしねぇ!
あんたは、俺に人間の心を取り戻してくれた恩人なんだ。
どんなことがあったって、俺はあんたのことを嫌いになったりなんかしない。」
「……そうか、ありがとう…
……リュック、そろそろ戻ろう…
皆が、心配してるぞ。」
立ちあがろうとした時、リュックの腹の虫が鳴いた。
「そいつも早く帰りたいって鳴いてるぞ。」
リュックは苦笑いを浮かべながら、立ちあがった。
家に戻ると、リュックはさっきの草原での沈みようが嘘のようにいつもと変わらない様子を見せた。
彼は彼なりに、周りに気を遣っているのかもしれない…
小人のことは私以外には誰も知らない。
私も誰にも話すつもりはなかった。
秘密事の告白は、時として相手に重い荷物を背負わせる事になる。
この荷物は、私とリュックだけで背負えば良い…
「マルタン、ここは居心地が良過ぎてつい長居をしてしまったけど、そろそろ出発しようか。」
「そうだな。
クロワさんはいかがですか?」
「私はいつでも…」
その二日後、私達はローズの島を発った。
思い出深い島となったこの地を去るのは、寂しいものがあったが、いつまでもここにいるわけにはいかない。
小さくなるローズの姿に胸が詰まった。
私達は一旦、ジョセフの島に戻り、そしてそこからまた山を越え町へ向かう。
「じゃあな、頑張ってみつけるんじゃぞ!
宝がみつかったら、わしにも分けてくれよ!」
「あぁ、じいさんもそれまで達者でな!
そうだ、じいさん、こんな所にいないでローズばあさんと一緒に暮らしたらどうなんだ?」
「馬鹿をいえ。
あんな口の悪いばあさんと一緒に暮らしたら、寿命が縮まるわ!」
ジョセフに手を振り、私達は海賊の隠れ里を後にした。
「……そんなことはないさ。」
「俺がなにかおかしな真似をしたとしても?」
「ああ……嫌いになることがあるとしたら、君の方かもしれないぞ。
たとえば、私の過去がひどいものだとわかったりしたら…」
「俺は、そんなこと、気になんかしねぇ!
あんたは、俺に人間の心を取り戻してくれた恩人なんだ。
どんなことがあったって、俺はあんたのことを嫌いになったりなんかしない。」
「……そうか、ありがとう…
……リュック、そろそろ戻ろう…
皆が、心配してるぞ。」
立ちあがろうとした時、リュックの腹の虫が鳴いた。
「そいつも早く帰りたいって鳴いてるぞ。」
リュックは苦笑いを浮かべながら、立ちあがった。
家に戻ると、リュックはさっきの草原での沈みようが嘘のようにいつもと変わらない様子を見せた。
彼は彼なりに、周りに気を遣っているのかもしれない…
小人のことは私以外には誰も知らない。
私も誰にも話すつもりはなかった。
秘密事の告白は、時として相手に重い荷物を背負わせる事になる。
この荷物は、私とリュックだけで背負えば良い…
「マルタン、ここは居心地が良過ぎてつい長居をしてしまったけど、そろそろ出発しようか。」
「そうだな。
クロワさんはいかがですか?」
「私はいつでも…」
その二日後、私達はローズの島を発った。
思い出深い島となったこの地を去るのは、寂しいものがあったが、いつまでもここにいるわけにはいかない。
小さくなるローズの姿に胸が詰まった。
私達は一旦、ジョセフの島に戻り、そしてそこからまた山を越え町へ向かう。
「じゃあな、頑張ってみつけるんじゃぞ!
宝がみつかったら、わしにも分けてくれよ!」
「あぁ、じいさんもそれまで達者でな!
そうだ、じいさん、こんな所にいないでローズばあさんと一緒に暮らしたらどうなんだ?」
「馬鹿をいえ。
あんな口の悪いばあさんと一緒に暮らしたら、寿命が縮まるわ!」
ジョセフに手を振り、私達は海賊の隠れ里を後にした。
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