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061 : 君を探して
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「そう、それは良かったわ。
私達も、カトリーヌさんらしき人がここへ来たという話は聞いたんだけど、それからどこに向かったのかはわからなかったのよ。」
「まさか、同じ宿に泊まっていたとはな。
でも、本当に良かったよ。」
その晩の夕食は、五人で賑やかに食べた。
だが、私とリュックは、内心では暗い気持ちにもなっていた。
おそらく、近いうちにカトリーヌはみつかるだろう。
しかし、それはマーフィにとっては悲しい再会になることだろう。
その時のことを思うと、気持ちが塞がる。
「それにしても、カトリーヌさんはどうしてユルドに向かったんでしょうね?」
「それは、ここの主人も聞いてないみたいだ。
港でも、それらしい話は聞けなかった。」
「僕達の方でも、そんな情報は聞けませんでした。」
「とにかく、ユルドに行ってみれば、きっと何かわかりますよ。
これもすべては皆さんのおかげです。
本当にどうもありがとうございました。」
マーフィは、とても感じの良い青年だ。
だからこそ、力になってやりたいと思うのだが、先のことを考えると、辛くなる。
リュックもおそらく同じ気持ちだろう。
*
「リュック、あれからカトリーヌさんの夢は見ないのか?」
私はまた口実を設けて、リュックを外へ連れ出した。
「あぁ、今のところは、な。」
「木の風景は覚えてるのか?」
「しっかりと覚えてる。
きっと、実在の場所だ。」
「そこへ行ったら、わかるんだな?」
「あぁ、わかると思う。」
リュックが夢で見た大きな木というのは、ユルドにあるのではないだろうか?
根拠はないが、なぜだかそんな気がした。
そして、その木がみつかれば、きっと、カトリーヌの手がかりも掴めるのではないかと思う。
「とにかく、まずはユルドだな。」
「……ユルドで、みつかるんじゃないかな。」
不思議なことに、リュックも私と同じように考えているようだった。
それが正しいかどうかは、もう少しすればわかるのだ。
私達も、カトリーヌさんらしき人がここへ来たという話は聞いたんだけど、それからどこに向かったのかはわからなかったのよ。」
「まさか、同じ宿に泊まっていたとはな。
でも、本当に良かったよ。」
その晩の夕食は、五人で賑やかに食べた。
だが、私とリュックは、内心では暗い気持ちにもなっていた。
おそらく、近いうちにカトリーヌはみつかるだろう。
しかし、それはマーフィにとっては悲しい再会になることだろう。
その時のことを思うと、気持ちが塞がる。
「それにしても、カトリーヌさんはどうしてユルドに向かったんでしょうね?」
「それは、ここの主人も聞いてないみたいだ。
港でも、それらしい話は聞けなかった。」
「僕達の方でも、そんな情報は聞けませんでした。」
「とにかく、ユルドに行ってみれば、きっと何かわかりますよ。
これもすべては皆さんのおかげです。
本当にどうもありがとうございました。」
マーフィは、とても感じの良い青年だ。
だからこそ、力になってやりたいと思うのだが、先のことを考えると、辛くなる。
リュックもおそらく同じ気持ちだろう。
*
「リュック、あれからカトリーヌさんの夢は見ないのか?」
私はまた口実を設けて、リュックを外へ連れ出した。
「あぁ、今のところは、な。」
「木の風景は覚えてるのか?」
「しっかりと覚えてる。
きっと、実在の場所だ。」
「そこへ行ったら、わかるんだな?」
「あぁ、わかると思う。」
リュックが夢で見た大きな木というのは、ユルドにあるのではないだろうか?
根拠はないが、なぜだかそんな気がした。
そして、その木がみつかれば、きっと、カトリーヌの手がかりも掴めるのではないかと思う。
「とにかく、まずはユルドだな。」
「……ユルドで、みつかるんじゃないかな。」
不思議なことに、リュックも私と同じように考えているようだった。
それが正しいかどうかは、もう少しすればわかるのだ。
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