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復讐の連鎖
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「ルーク達のことなんだが…」
「何かわかったのか!?」
アズラエルが話し始めた途端、ランディが身を乗り出した。
少し困ったような顔をしながら、アズラエルは俯き加減に首を振る。
「残念ながら、あれからなにもみつからないのだ。
彼らが立ち寄りそうな場所は、隈なく聞きこんだつもりなのだがな…」
「じゃあ、見当も付かないような場所にいるってことか…」
「ただ……」
それだけで、アズラエルは言葉を切った。
「なんだよ?何かあったのか?」
「少し前に、上級悪魔が殺され、心臓を食われると言う事件があったそうだ。」
「それが、オルジェスの仕業だと言うのか!?」
今度はトレルが、真剣な顔つきでアズラエルに迫る。
「いや、そういうわけではないのだ…
……犯人は彼の愛人の男らしい。」
「それが、オルジェス達と関係あるのか?」
「いや…違う…ただ……」
「なんだよ、アズラエル。はっきり言えよ!」
言い澱むアズラエルに代わり、リンクが口を
開いた。
「アズラエルはそれがルシファーの仕業じゃないかって考えてるんだよ。」
「なんだって!?ルシファーの…?
でも、ルシファーは…」
「そうだ…ルシファーはミューラントによって封印された。
それは私にもよくわかっている…だが、どうしても、この胸の奥でなにか不気味なものを感じてしまうのだ。
言いようのない胸騒ぎが止まらないんだ…」
アズラエルは、その根拠がうまく説明できないもどかしさに唇を噛み、さらに言葉を続けた。
「上級悪魔が殺られるということはそうそうあることではない。
特にその悪魔は強力な者だったと聞く…」
「だけど、アズラエル…
そいつは愛人にやられたんだろう?
アノ時には、力の強い奴だって気が緩んでしまうもんだぜ。
ふだんよりずっと無防備になる時だからな。」
「そんなことはわかっている…
だからこそ、私も混乱するんだ。
ただの考え過ぎのようにも思える…だが、そうでない気もする…
いくら考えてもその答えが出ない…
この状況はけっこう辛いものだぞ。」
アズラエルは、目を伏せぼんやりと一点にその視線を注ぐ。
「何かわかったのか!?」
アズラエルが話し始めた途端、ランディが身を乗り出した。
少し困ったような顔をしながら、アズラエルは俯き加減に首を振る。
「残念ながら、あれからなにもみつからないのだ。
彼らが立ち寄りそうな場所は、隈なく聞きこんだつもりなのだがな…」
「じゃあ、見当も付かないような場所にいるってことか…」
「ただ……」
それだけで、アズラエルは言葉を切った。
「なんだよ?何かあったのか?」
「少し前に、上級悪魔が殺され、心臓を食われると言う事件があったそうだ。」
「それが、オルジェスの仕業だと言うのか!?」
今度はトレルが、真剣な顔つきでアズラエルに迫る。
「いや、そういうわけではないのだ…
……犯人は彼の愛人の男らしい。」
「それが、オルジェス達と関係あるのか?」
「いや…違う…ただ……」
「なんだよ、アズラエル。はっきり言えよ!」
言い澱むアズラエルに代わり、リンクが口を
開いた。
「アズラエルはそれがルシファーの仕業じゃないかって考えてるんだよ。」
「なんだって!?ルシファーの…?
でも、ルシファーは…」
「そうだ…ルシファーはミューラントによって封印された。
それは私にもよくわかっている…だが、どうしても、この胸の奥でなにか不気味なものを感じてしまうのだ。
言いようのない胸騒ぎが止まらないんだ…」
アズラエルは、その根拠がうまく説明できないもどかしさに唇を噛み、さらに言葉を続けた。
「上級悪魔が殺られるということはそうそうあることではない。
特にその悪魔は強力な者だったと聞く…」
「だけど、アズラエル…
そいつは愛人にやられたんだろう?
アノ時には、力の強い奴だって気が緩んでしまうもんだぜ。
ふだんよりずっと無防備になる時だからな。」
「そんなことはわかっている…
だからこそ、私も混乱するんだ。
ただの考え過ぎのようにも思える…だが、そうでない気もする…
いくら考えてもその答えが出ない…
この状況はけっこう辛いものだぞ。」
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