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復讐の連鎖
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「……本当に誰に似てこんな堅物が出来ちまったのかねぇ…
そういえば、リルケはもうじき子供が生まれるんじゃなかったっけ?」
「リルケって誰なんだ?」
「こいつの妹さ。
晩生の兄が片付くのを待ってたら行きそびれるからって、さっさと結婚したんだ。
今はリルケの婿のラングがティンガの片腕として働いてくれてるよ。」
「へぇ…おまえ達、姿はあの頃と全然変わらないのに、やっぱり環境は変わってるんだなぁ…」
「そりゃあ、そうさ。
あの頃からもう20年近く経ってるんだから。
ボク達には人間程の長い感覚はないけど、それでもやっぱりいろいろと変化はあるさ。」
「ないのはおじさんだけですね!」
「なにをーーー!」
アズラエルの手がリンクの襟首をつかみ、自分の反対側へそっと降ろした。
「こいつらは一緒にいると、いつもこんななんだ。」
そう言ってアズラエルは諦め顔で小さな溜息を吐く。
そんな彼を見て、トレルは優しく微笑んだ。
「アズラエルはいつの間にかリュタンの父親になったみ
たいだな。」
「あいにくだが、ごめんこうむるよ。」
「それはこっちの台詞さ。
こんな真面目な悪魔が父親だったら敵わない。
まだ、ランディの方がマシだな。」
「おいおい、誰がマシだって?」
そう言って口をはさんだのは、焼き立ての肉料理を抱えたランディだった。
「おぉ~っ!やっと来たか!
さぁ、めしだ、めしだ!」
トレルは立ちあがり、棚の中から酒瓶を取り出した。
*
「それで、アズラエル、ルークとオルジェスの情報はどうだった?」
「おい、ランディ、食い始めたそうそうその話か。
それに、あんたは朝飯はもう食ったんじゃなかったのか?」
「俺だけ食べないと、あんたらが気を遣うと思ってな。
無理して食べてるんだ。」
トレルはランディの言葉に失笑し、グラスの酒をぐいとあおった。
そういえば、リルケはもうじき子供が生まれるんじゃなかったっけ?」
「リルケって誰なんだ?」
「こいつの妹さ。
晩生の兄が片付くのを待ってたら行きそびれるからって、さっさと結婚したんだ。
今はリルケの婿のラングがティンガの片腕として働いてくれてるよ。」
「へぇ…おまえ達、姿はあの頃と全然変わらないのに、やっぱり環境は変わってるんだなぁ…」
「そりゃあ、そうさ。
あの頃からもう20年近く経ってるんだから。
ボク達には人間程の長い感覚はないけど、それでもやっぱりいろいろと変化はあるさ。」
「ないのはおじさんだけですね!」
「なにをーーー!」
アズラエルの手がリンクの襟首をつかみ、自分の反対側へそっと降ろした。
「こいつらは一緒にいると、いつもこんななんだ。」
そう言ってアズラエルは諦め顔で小さな溜息を吐く。
そんな彼を見て、トレルは優しく微笑んだ。
「アズラエルはいつの間にかリュタンの父親になったみ
たいだな。」
「あいにくだが、ごめんこうむるよ。」
「それはこっちの台詞さ。
こんな真面目な悪魔が父親だったら敵わない。
まだ、ランディの方がマシだな。」
「おいおい、誰がマシだって?」
そう言って口をはさんだのは、焼き立ての肉料理を抱えたランディだった。
「おぉ~っ!やっと来たか!
さぁ、めしだ、めしだ!」
トレルは立ちあがり、棚の中から酒瓶を取り出した。
*
「それで、アズラエル、ルークとオルジェスの情報はどうだった?」
「おい、ランディ、食い始めたそうそうその話か。
それに、あんたは朝飯はもう食ったんじゃなかったのか?」
「俺だけ食べないと、あんたらが気を遣うと思ってな。
無理して食べてるんだ。」
トレルはランディの言葉に失笑し、グラスの酒をぐいとあおった。
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