見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし、リベンジ果たして成りあがる

腰尾マモル

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【第96話】謎めいた強さ

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 活力岩の町エナジーストーン。そこの門番を名乗る二人の男に来訪の理由を尋ねられた。門番はそれぞれ背の高い鎧の男と背の低い鎧の男がいて、両者とも槍を持ち、体格も良く目つきも鋭い。

しかし、強面ではあるものの排他的な雰囲気は感じない、あくまで門番として気合が入っているだけのようだ、俺は自分達の身分と旅の理由を答えた。

「俺達はシンバード領のドライアドという街から来た者だ。死の海を渡りイグノーラへ行きたいと思っている。その下準備を進める為に南方まで足を伸ばした。町に入れてもらっても構わないかな?」

 背の高い門番が指を額に当てて、思い出すように呟く。

「ほほう、シンバードか、確か大陸の北方で勢力を拡大している新生国だったな。我が町エナジーストーンは基本的に他国の人間を拒むことはないからお前達を通してやりたいところだが……お前達が本当にシンバードの人間だと証明できるか?」

 証明を求めてくるあたり何かを警戒している様に見える。とりあえず俺は商店や貿易をする際に使用する木製の身分証明手形を見せることにした。

「この手形でいいかな?」

 今度は背の低い方の門番が唸りながら呟く。

「う~む……木製の手形なんて幾らでも偽造が出来るからな、我々は何が何でも帝国の人間だけは通すわけにはいかぬのだ」

「帝国に何かされたのか?」

「まだ信用できていないお前達に帝国を通さない理由まで話すわけにはいかないな」

「だったらどうやって証明すればいいんだ?」

「そうだな、証明したければ厄介な帝国の兵器を使用せず、なおかつ帝国の武術も使わずに我々と手合わせをしろ。先頭にいる体格の良い短髪の男、お前が一人で戦うんだ。見たところかなりの手練れだろ?」

 門番はいきなり物騒なことを言い始めた。シンとの戦いといい、ドライアドで模擬試合を吹っかけてきたレックといい、どうして俺はバトル脳に絡まれる事が多いのだろうか。

今まで行った村や町のほとんどで何かしら戦闘をしている気がする……。正直少しめんどくさい。

 とはいえ手合わせをするしか道はなさそうだ。俺の事を見て手練れだと言ってくれるのはありがたい話だが、一目で力量を見極められるような奴は決まって強者だ。

そんな奴らを二人も相手にするなんて考えただけで嫌になるけれど、俺は渋々了承の返事をする。

「分かった、気乗りはしないが証明する為だ、やらせてもらうよ、それでどっちが先に俺の相手をするんだ?」

 俺が問いかけると二人の門番はゆっくりと近づいてきて、同時に槍を構えた。そして、二人は声を揃えて答える。

――――二人同時だ!――――

 まるで双子のように完璧に声を揃えた二人は一斉に俺へ槍を突きだしてきた。交差する刺撃をバックステップで避けた俺は、慌ててサンド・ストームを展開する。

 旋回する魔砂マジックサンドの量を少なめにして、外が確認できるようにしておいたものの、二人は追撃をしてくる様子はなく、防御重視で身構えている。初めて見るスキルだからこそ、警戒して深追いをさけたようだ、中々できる奴らだ。

 そんな相手ならそれなりに強い攻撃を加えても大怪我はしないだろう、そう判断した俺はサンド・ストームの中で足裏に魔力を集中させた、サンド・ステップで距離を詰める為だ。

とにかく優先すべきことは片方を素早く潰して数的不利をなくすことだ。

「サンド・ステップ!」

 俺はサンド・ストームを解除したと同時に背の低い門番に向かって一気に距離を詰め、瞬時に左側面へ回り込んだ。

「なっ!」

 一瞬で距離を詰められた背の低い門番は驚きの声をあげ反応も遅れた。攻撃のチャンスだ! 俺は拳に回転砂を纏わせ、背の低い門番の横腹へ叩き込んだ。

「吹き飛べ、サンド・インパクト!」

 俺の拳に砂と鎧の感触が響き渡る、クリーンヒットだ。

「グヘェァッ!」

 うめき声をあげた背の低い門番は勢いよくゴロゴロと転がっていった。痛い思いをさせて申し訳ないが、鎧の上から殴ったから大丈夫だと思いたい。

とにかくこれで一対一の状況を作り出す事ができたはずだ。今度は背の高い門番の方に構えた俺だったが、背の高い門番は不敵に笑っている。

「フッフッフ」

 背の高い門番は一人でも勝てる自信があるぐらい強いのだろうか? 余裕そうな表情が気になった俺は背の高い門番に尋ねた。

「随分と余裕がありそうだな、一人でも勝つ自信があるのかい?」

「いや、そういう訳ではないさ、私一人なら確実に勝てないだろうね、そう、一人ならね」

 背の高い門番が意味深に呟くと、それと同時に倒れていた背の低い門番が勢いよく起き上がった、どう見ても彼は元気そうだ。

多少は手加減したものの、ここまでダメージがないのは想定外だ。相当苦しそうな呻き声をあげていた点からも確実に戦闘不能に出来たと思ったのだが。

 背の低い門番は鎧についた土汚れを手で払ったあと、俺を見ながら生唾を飲み込み呟いた。

「この男やっぱり相当な手練れだぜ兄貴、おまけに見た事のない砂のスキルまで使いやがる。互いにフォローし合える距離で戦わないとやられちまうぜ」

「そうだな、とにかく二対一を崩されないようにするのが重要だ。特に砂使いの彼はコメットサークル領での戦いに慣れていないはずだから、その点を突いていかなければな」

 コメットサークル領での戦いに慣れる? 不思議な物言いをする背の高い門番もとい兄貴の真意が気になるところだが、さっぱり分からないし聞いたところで敵に答えは教えてくれないだろう。

 とにかく今は兄弟門番のうちの片方をやっつけることに集中するべきだろう。俺は棍を握りしめ、再び背丈の低い弟の方へ攻撃を仕掛けた。しかし、兄貴の方がすかさずフォローに入り中々決定打を与えられない。

 その後も門番兄弟は交互に俺を攻撃することで体力を節約しながら、じわじわと俺にダメージを与えてきた。俺が片方にダメージを与えて吹き飛ばしても、直ぐにもう片方が盾になり短時間で体力を回復させて戦線に復帰してくるという流れが続いた。

 さっきのバトルウルフといい、この土地の生き物は耐久力と回復力が増加する薬でも服用しているのだろうかと疑いたくなるぐらいタフである。このままではキリがないどころか俺のスタミナ切れで負けかねない。

 俺は門番には申し訳ないが火力を上げることにした、きっと彼等なら大怪我はしないだろう。深く呼吸をした俺は緋色の魔力を解放した。

「すまんが、ギアを上げさせてもらうぞ……緋纏ひてん!」

 俺の身体から緋色のオーラが迸ると、危険を感じた門番兄弟が後ろへ跳んで距離を取った。しかし、戦いを止めるつもりはないようだ。

互いに武器を構え直し、どちらが先に攻めるか伺っていると、俺達の間に聞いたことのない大声が飛び込んできた。

「そこまでだ! お前達、武器をおろせ!」

 大声のした方を振り向くと、入口詰所の屋根の上に浅黒い肌をした恰幅のいい男が立っていた。男はわざとらしく「とうっ!」と掛け声をあげて屋根から飛び降り、前宙しながら俺達の前に着地した。

 魔獣も門番も謎の男も全員暑苦しいというか何というか、ここはそういう土地柄なのだろうか? 今度はどんなことを言われるのだろうか……長旅と戦闘の影響もあり少しだけ溜息が漏れた。



=======あとがき=======

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