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第4章 空気の震えが音と成りて

110:グランドクエストⅤ-9

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 それから数試合を行ったが、チェインさん程の強者ではなかったので、
 苦戦することなく最終戦に進むことが出来た。
次はファイナル休憩室は次の王が観戦する試合というだけあって、今までの場所と違い王の部屋に近い闘技場の近くになった。


 城の休憩室

「ふ~なんと最後までいけたな」

アクア
「主!さすがです」

アネゴ
「まあ、あなたなら出来ると思ったわ」

 アクアさんとアネゴが褒めてくれた。

先生
「ふん、本番はこれからじゃ」

 先生の言葉にみんな頷く。

アクア
「そうですね」

 一同気合を入れ直す。

 そこへ…

ヨッジー
「おう!噂のダインさんおめでとう」

 ヨッジーがやってきた。

ヨッジー
「やめてくれよ、お前も良いとこまで残ったんだろ」

「ああ、最後は瞬殺でやられたがな」

「そうなのか」

 そんな話をしていると…

ウィズ
「ダイン!すごいですね!」

 ウィズさんが興奮気味に入ってきた。

「いやいや、とりあえず落ち着いて」

ウィズ
「インターネット上でもダークフォースとして話題ですよ!」

「嬉しくないな…」

ウィズ
「私なんて一回戦落ちでしたから、ダインさんを尊敬しますよ」

「いやいや、それよりも全員揃ったから話を始めよう」

ヨッジー
「ああ、OKだ」

 ヨッジー達が俺の周りに集まる。

「良いか、俺の試合が始まったらみんなはダーニャ探しを始めてくれ、ココに俺が見てきた部屋のまでの地図がある」

 俺は幽体離脱で見てきたルートをメモった紙を渡す

「ヨッジーとウィズさんは客席からになるから少し遠い位置からになるが極力急いでアクアさん達と合流してくれ」

「おうよ」

「はい」

「アクアさんとアネゴはこの休憩室からのスタートになるから行き成り戦闘領域になるので絶対に無理しないでゆっくりで良いので慎重に進んでくれ、難しそうならヨッジーや俺の合流を待っていて下さい」

アクア
「わかりました」

アネゴ
「わかったわ」

「先生もアクアさん達の方へ」

先生
「うむ」

「俺は試合が始まった瞬間にリタイヤしてすぐ追いつくから」

ヨッジー
「ちょっと勿体なく無いか?」

 ヨッジーが言ってきたが…

「優勝するつもりも無いし、ダーニャの方が大事だしな」

ヨッジー
「まあ、そうだな そろそろ時間か」

 ウィズ
「救出作戦成功させましょう」

 ダーニャ救出作戦は開始された。



 ~とあるオフィス~

「これはどういうことかしら?」

 女上司が例の如く怒っている。

「すみません、想定外です…まさか勝ち進み最深部までこられるなんて…」

「手は打っているのでしょうね」

「はい、仕掛けトラップ等を初期配置からターゲットの部屋までに急いで集約しました」

「他には」

「はい!決勝の戦闘にNPCキャラを参戦するように仕向けました、ただ今NPCが交渉にあっています」

「他には!」

「えっと参戦予定では無かったNPCを城の護衛に加わる用に説得しています」

「もう!なんで説得とか交渉しなければならいの!こちらで配置してしまえば!」

「すみません、このゲームは自立型AIで作られてるので下手にいじれないんです」

「ホントに面倒な!あいつのせいで…」

「とりあえず!作業を急ぎなさい!それにやれることは全てやりなさい!」

「はい!えっと 決勝大会にでるNPCの強化を試みます」



 ~王宮~


「困ったことになったな…あの決勝に出てきたダインというものダーニャを連れてきた奴だったな」

家臣
「はい」

 家臣の一人が答える。


「このまま勝たれては面倒だ」

家臣
「王よ、以前 酒場であったあの女性に音の力を授けてみては、あの様な美しい声を持つモノならそれ相応の力になるかと」


「うむ…そうだな、パフィル殿を呼べ!」


 ~対戦プレイヤー控室~

???
「やっとだ…やっとこの前の借りを返せるぜ」

 一人不敵な笑いを浮かべる…

???
「ダイン待っていろ…」



 いろいろな思いが交差する決勝が今始まろうとしていた…
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