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記憶の不安と葛藤
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「「おはよう、イザベラ」」
「あ・・・えっと・・おはようございます。お父様・・お母様」
朝食を食べに部屋に向かう。
まだ記憶の話は、あまりされていない。
ただ、ある事件をきっかけに、1年以上眠りについていたようだ。
その事件はアレクサンドルが詳しいと言われた。だから彼に聞いたが、まだ話は早いと言われ教えてもらってない。
ひとまず、毎食家族と食べる事になり、体力が落ちてる私は、使用人の手を借りながら部屋に着き席に座る。
両親と言われる人達と話す時、ぎこちなく父と母と呼ぶのも少し間が空いてしまう。
その話し方をすると、両親は少し寂しげな顔をする。
まただ・・・。私が記憶がないせいで、そんな顔をさせてしまう。
「ごめんなさい」
涙を流しながら謝る。
涙を流すのは何度目だろう。
自分の名前さえ分からない。こうなった原因を言われてないが、同時に知りたくない気持ちも出てきて、不安と葛藤が大きくなる。
そして周囲の人達の顔。どことなく暗い雰囲気にさせているのも私のせいだ。
「どうして謝るの?」
母と言われる人が、ハンカチで私の涙を拭く。
「イザベラ、今日もここに来る前、目が赤かった。俺達に話せないなら、アレクサンドルでもいい。1人で抱え込むな」
父と言われる人が、私の頭に手を置く。
「・・・私のせいなんでしょ。記憶がないから、あなた達や周囲の人に悲しみや寂しさを与えてしまう。話し方もぎこちない。目覚めた時は、記憶をすぐに取り戻したいと思ってたわ。でも、何故か怖い気持ちもあって。私がこうなった原因を知るのが怖いのよ。不安で・・・どうしたらいいのか分からないの」
胸の内を明かすと、目の前の母は涙目になりながら尋ねた。
「イザベラ、抱きしめていいかしら?」
私が頷くと、思っていたより強く抱きしめられた。
「そうよね。1番不安なのは、あなたなのに、私達が表に出してしまっているから、また思い悩んでしまっている。ごめんなさい。イザベラは謝らなくていいの。自分を責めなくていいの。あなたの味方は私達以外にもいるから」
そこで、母が離れた。
「お父様とお母様以外ってアレクサンドル?」
「アレクサンドルもそうだが、友人のエミリー。そして殿下だ。覚えてるか?」
父の問いかけに首を振る。
「殿下は次の王様になる方でしょ?どうして味方なの?」
私の家は名門貴族だが、王室が味方になるような関係性なのだろうか?
「アレクサンドルは、元は殿下の騎士だったんだ。イザベラは、王室主催の舞踏会に友人のエミリーと参加した。まぁ、いろいろあって、王宮に一時期滞在していた。その間はアレクサンドルと過ごせたし、殿下とも良好なので関係と聞いている」
「・・・舞踏会」
「何か引っかかるの?」
舞踏会・・・その言葉に思考を巡らせる。
『イザベラ。僕と離れてた間、楽しく過ごせたかい?』
誰?知らない声。顔は口元しか見えない。
どうして不敵に笑ってるの?
それに、この不快感は何?
異変に気づいた父が心配そうに話しかける。
「顔色が良くないぞ」
「・・・・・男性で私の名前を呼び、自分と離れてた間楽しく過ごせたかって聞かれ、不敵に笑ってたのが頭に浮かんだわ。口元しか見えなかった。アレクサンドルじゃない。誰?この不快感は何?」
両親は血相を変える。2人が知ってる人物だと確信する。
「知ってるんでしょ!どうして教えてくれないの?」
私に催促されても、2人はすぐには話さない。
「イザベラ。落ち着いて聞いて。あなたと、その男は複雑なの。でも、今のあなたに教えるのは早いわ」
母は私の手を握る。
この不快感が、私が記憶を失くした原因に関係していると言うことだろうか。
私と先程の男性が複雑とは、どう言う意味だろうか。
聞きたいことはいろいろあるけど、2人の様子を見れば無理な事が分かる。
きっと、アレクサンドルに聞いても今は教えてくれないだろう。
よりによって、何故この一部なんだろう。
どうせなら、楽しい記憶が良かったのに。
私は、モヤモヤした気持ちのまま、その日を過ごした。
***
「イザベラがライリーを思い出した?」
俺は、ある人に手紙を届ける為に書いていたペンを止めた。
「いや、正確には思い出しかけている。ジェイクからの報告だ」
「・・・他は?」
父は首を振った。
俺は歯ぎしりをした。
どうして、最初に思い出しかけているのがライリーなんだ。
ライリーは悪い存在。
いっそ、最初からいなければ良かったのに。
「それより、イザベラに会いに行け」
「そうだが、殿下の報告が終わってから「俺から殿下に報告する。その様子では、すぐに終わらないだろう」」
俺の言葉を遮った父は、床にクシャクシャになった紙に視線を落としている。
殿下の報告が上手く纏まらず、今に至る。
「記憶がなくてもお前は特別な存在だ。アレクサンドルが、支えなければいけない。家の事は気にするな。早くイザベラの所に行け」
父の言葉に頷き、俺は急いでイザベラの所に向かった。
「あ・・・えっと・・おはようございます。お父様・・お母様」
朝食を食べに部屋に向かう。
まだ記憶の話は、あまりされていない。
ただ、ある事件をきっかけに、1年以上眠りについていたようだ。
その事件はアレクサンドルが詳しいと言われた。だから彼に聞いたが、まだ話は早いと言われ教えてもらってない。
ひとまず、毎食家族と食べる事になり、体力が落ちてる私は、使用人の手を借りながら部屋に着き席に座る。
両親と言われる人達と話す時、ぎこちなく父と母と呼ぶのも少し間が空いてしまう。
その話し方をすると、両親は少し寂しげな顔をする。
まただ・・・。私が記憶がないせいで、そんな顔をさせてしまう。
「ごめんなさい」
涙を流しながら謝る。
涙を流すのは何度目だろう。
自分の名前さえ分からない。こうなった原因を言われてないが、同時に知りたくない気持ちも出てきて、不安と葛藤が大きくなる。
そして周囲の人達の顔。どことなく暗い雰囲気にさせているのも私のせいだ。
「どうして謝るの?」
母と言われる人が、ハンカチで私の涙を拭く。
「イザベラ、今日もここに来る前、目が赤かった。俺達に話せないなら、アレクサンドルでもいい。1人で抱え込むな」
父と言われる人が、私の頭に手を置く。
「・・・私のせいなんでしょ。記憶がないから、あなた達や周囲の人に悲しみや寂しさを与えてしまう。話し方もぎこちない。目覚めた時は、記憶をすぐに取り戻したいと思ってたわ。でも、何故か怖い気持ちもあって。私がこうなった原因を知るのが怖いのよ。不安で・・・どうしたらいいのか分からないの」
胸の内を明かすと、目の前の母は涙目になりながら尋ねた。
「イザベラ、抱きしめていいかしら?」
私が頷くと、思っていたより強く抱きしめられた。
「そうよね。1番不安なのは、あなたなのに、私達が表に出してしまっているから、また思い悩んでしまっている。ごめんなさい。イザベラは謝らなくていいの。自分を責めなくていいの。あなたの味方は私達以外にもいるから」
そこで、母が離れた。
「お父様とお母様以外ってアレクサンドル?」
「アレクサンドルもそうだが、友人のエミリー。そして殿下だ。覚えてるか?」
父の問いかけに首を振る。
「殿下は次の王様になる方でしょ?どうして味方なの?」
私の家は名門貴族だが、王室が味方になるような関係性なのだろうか?
「アレクサンドルは、元は殿下の騎士だったんだ。イザベラは、王室主催の舞踏会に友人のエミリーと参加した。まぁ、いろいろあって、王宮に一時期滞在していた。その間はアレクサンドルと過ごせたし、殿下とも良好なので関係と聞いている」
「・・・舞踏会」
「何か引っかかるの?」
舞踏会・・・その言葉に思考を巡らせる。
『イザベラ。僕と離れてた間、楽しく過ごせたかい?』
誰?知らない声。顔は口元しか見えない。
どうして不敵に笑ってるの?
それに、この不快感は何?
異変に気づいた父が心配そうに話しかける。
「顔色が良くないぞ」
「・・・・・男性で私の名前を呼び、自分と離れてた間楽しく過ごせたかって聞かれ、不敵に笑ってたのが頭に浮かんだわ。口元しか見えなかった。アレクサンドルじゃない。誰?この不快感は何?」
両親は血相を変える。2人が知ってる人物だと確信する。
「知ってるんでしょ!どうして教えてくれないの?」
私に催促されても、2人はすぐには話さない。
「イザベラ。落ち着いて聞いて。あなたと、その男は複雑なの。でも、今のあなたに教えるのは早いわ」
母は私の手を握る。
この不快感が、私が記憶を失くした原因に関係していると言うことだろうか。
私と先程の男性が複雑とは、どう言う意味だろうか。
聞きたいことはいろいろあるけど、2人の様子を見れば無理な事が分かる。
きっと、アレクサンドルに聞いても今は教えてくれないだろう。
よりによって、何故この一部なんだろう。
どうせなら、楽しい記憶が良かったのに。
私は、モヤモヤした気持ちのまま、その日を過ごした。
***
「イザベラがライリーを思い出した?」
俺は、ある人に手紙を届ける為に書いていたペンを止めた。
「いや、正確には思い出しかけている。ジェイクからの報告だ」
「・・・他は?」
父は首を振った。
俺は歯ぎしりをした。
どうして、最初に思い出しかけているのがライリーなんだ。
ライリーは悪い存在。
いっそ、最初からいなければ良かったのに。
「それより、イザベラに会いに行け」
「そうだが、殿下の報告が終わってから「俺から殿下に報告する。その様子では、すぐに終わらないだろう」」
俺の言葉を遮った父は、床にクシャクシャになった紙に視線を落としている。
殿下の報告が上手く纏まらず、今に至る。
「記憶がなくてもお前は特別な存在だ。アレクサンドルが、支えなければいけない。家の事は気にするな。早くイザベラの所に行け」
父の言葉に頷き、俺は急いでイザベラの所に向かった。
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