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巡礼路デリシア街道、神には至らぬ神の道編
13.分かり合えるのが人というもの
しおりを挟む「この村は、古くから【セウの樹】という……我々が今座り込んでおる、この大樹の恩恵を享受して連綿と続いて来た。この樹の葉を食らい、木々に集まるモンスターを採り、若芽を摘んで人族とソレを交換し様々な糧を得て来たのだ」
葉っぱを食べると聞きギョッとしたが、そういえば蜜が云々とか言ってたし、この人達も恐らくは葉っぱを調理したり色々やって食料にしているんだろう。
肉食でもあるようだから、俺達で言う白米みたいな扱いなのかな。
ともかく、この【セウの樹】は鳥人達にとっても神聖な樹木と言って良いようだ。
……まあ、神聖っていうよりかは、生活必需品って言った方が良い気もするけど、とにかく彼らにとって重要なのは間違いないよな。うん。
と言う事は、俺達が「盗った」とされるモノってのは、この樹に関係あるのかな。
そう考えた俺の表情を読み取ったのか、長老はこっくりと頷いた。
「うむ。その考えの通り、二日ほど前に我々の【祭壇】から“あるもの”が姿を消したのじゃ。それは我々にとって大事な大事なもの……」
「な、なんなんです?」
大事というのは分かったけど、何を指しているのかちっとも分からん。
早く教えて下さいと眉根を寄せると、長老はホホウと鳴いて答えた。
「その【祭壇】から消えたのは……この【セウの樹】の種じゃよ」
「種?」
「そうじゃ。【セウの樹】は特殊でのう、決して苗木やその身の一部を以って増える類の植物ではない。たった一つの方法でしか増えんのだ。それゆえ、我々はその時を待つ為に、十年前やっと生えた種が芽吹くまで、祭壇で祀っておったのだ」
「じゅ、十年も待ってたんですか?!」
そんなに「増えるその時」と言うのは来ないものなのか。
思わず素直に驚いてしまったが、さもありなんと長老は頷いていた。どうやらこの【セウの樹】は、長く生き続ける代わりに、繁殖行動が極端になっているらしい。
そのせいで見かける事も少なかったんだな……。
あの街道の村を囲んでいた【セウの樹】が同じ背丈をして村を守っていたいたのは、それこそ女神ナトラの“奇跡”の成せるワザだったんだろう。
うーむ……そうなると確かに種が貴重だってのは頷けるなぁ。
でも、そんなモン俺は知らないぞ。
種なんて自前で持ってるの以外は拾った事もないし……。
「それを俺達が盗んだと思ったから捕まえたんですか?」
「まあそれも一つの理由じゃ。だが、それだけではない。お主達の中に……つまり、種を盗んだ者達の中に【炎のグリモア】が居るという話を聞いては、ワシらも黙っておられなかったのだ。なにせ、そやつは……我々の大事な【セウの樹】を燃やそうとしたのだからのう」
「え……」
炎のグリモアが、鳥人達が大事にする【セウの樹】を燃やそうとした?
まさか俺の知ってるアイツが……いや、そんな大それたことをする奴だったかな。でも、誰かに唆されてやったって可能性も……。
しかしそう決めつけるのもどうだろう。間違いだって可能性もあるしなあ。
「炎のグリモアはワシらの敵じゃ。仇敵と呼んでもよい。かつてあの男は、我々の樹を遊び半分で燃やしてしまおうとしたのだ。それも、モンスターと勘違いしてのう」
「えっ」
「その時、旅のお方がなんとか我らを救い出し炎を止めて下すったのだ。あのお方がグリモアを制して下さらなければ、我々セウの樹の鳥人族は滅んでおった」
そんな酷い事が……でも、それだとアイツがやったにしては変だな。
俺が知っている【炎のグリモア】は、少なくとも遊び半分で他人の敷地に放火するような男じゃない。ちょっと嫉妬深くて行動が色々おかしいとは思うけど、それでもお坊ちゃんとして育てられたからか、最低限の倫理観は持っていた。
もし大樹を燃やそうとしていたとしても、遊び半分ではないはずだ。
それを考えると……もしかして、コレもっと前の話なのかな。
グリモアも俺の【黒曜の使者】みたいに代替わりしてるはずだし、グリモアに所有者が現れた……ブラックやシアンさんがグリモアを手に入れたのも、前代からかなり空白期間を置いてからだったと聞くし……もしかすると、俺達に関わりのない過去のグリモアの可能性もある。
「あの、ちょっとお聞きしたいんですけど……その話って何年前ですか?」
「年……ああそうか、お主達は季節を区切って数えておったな。そうさのう……確かそれはワシが子供の頃の話じゃから……ざっと、お主達の長老が十人くらい代わった程度の年月かの」
って事は、少なくとも百年以上……いやどうかしたら千年以上前では!?
おいおいおいブラックもアイツもそんな前から生きちゃいねえよ流石に!
「ちょっ、長老さん待って待って、そんだけ長い年月なら俺達生まれてないって! 人族の村の長老が十人以上変わってるんでしょ!? 普通に俺達じゃ無理だよ!」
長老の言葉の矛盾を思いっきり突くと――――相手はフクロウらしく目を限界まで丸々と見開いて、それから誤魔化すように笑い出した。
「……そういえばそうだの。人族はすぐ死ぬから忘れておったわ。ホッホッホ」
「うっかりし過ぎですって! でも、これで俺達が件の【炎のグリモア】じゃないって解ってくれましたよね?」
「とりあえず、そこは確かじゃな。しかし種の問題が残っておる。お主達が危険人物かも知れんという部分も完全には同意出来ん。思い込みが消えただけではのう。それに、グリモアは他にもいると聞いた事がある。あの男達が悪事を働かないと言う確証もあるまい?」
「ぐぬぬ……」
そう言われると弱い。俺には何も証明できる物が無いんだよな……。
危険人物ではないと見せようとしたって、俺は災厄の象徴とか呼ばれてたし、あのオッサンどもは自由気ままに行動しすぎて悪い風に取られかねないし。
そもそも、俺達はその「他にもいるグリモア」に関係している。
……それ、バラした方がいいのかな……取引とか出来るんじゃないのか?
いやでもポカやらかしたら大変だし、長老さんとのこの会話も「信用出来ぬ」とか思われたら強制終了されて二度と話して貰えないかも知れないし……。
けど、正直に話したらこっちが不利……いや……でも……あ、ああぁあ……。
「お、お主、頭から煙が出ておるぞ。大丈夫か」
ぐ、ぐうううう、も、もうどうしたら良いのか分かんない。
こうなったら、こ……こうなったら……。
「ちょ……長老さん……」
「な、なんじゃ?」
見据えた相手はちょっと慄いている。
俺の迫力に気圧されたのだろうか。だが、その態度に何か感情を抱いている余裕がない。頭が何かプスプス言ってるし、頭も病み上がりでぼーっとしている。
そもそも、俺にそんな取引とか何とか考えられる頭があるわけがない。
っていうか鳥人達は何も悪い事なんてしてないし、セウの樹の種を奪われただけの可哀想な人達じゃないか。彼らが俺達を捕まえたのだって、種を取り返そうとしたり、炎のグリモアを警戒しての事だ。だったら悪い奴じゃない。ということは、俺がここで取り繕ったりしても~……ええいもうまどろっこしい!
「あのっ、あのお! 実はですね、俺達、炎のグリモアじゃないんですけど!」
「ホウ?」
――――というワケで、俺は「確かにグリモアがいる」という事と、しかし俺達は今の今まで旅をしていて鳥人の集落など知らなかった事を話してしまった。
でも仕方ないよな。だって、隠してたって心証を悪くするだけなんだから。
相手は……そりゃ、過剰防衛だけど、被害者という事実は揺らがないのだ。
それなら話を聞いてくれるうちに正直に全部話した方が良い。こっちだって悪い事なんて何もしてないんだから、隠し立てする事もないもんな。
それに、グリモアったって相手も違いくらいは理解してくれるはずだ。そうでなければ長老も一対一で俺から話を聞こうなんて思わなかっただろうし……。
俺のそんな期待を知ってか知らずか、こちらの拙い説明を聞いた長老は、またもや「ホッホッホ」とフクロウらしく笑うと、俺の頭を羽でポンポンと叩いた。
「まあそんな事じゃろうとは思っておったよ。お主と話した時、あまりにもお主の心が顔に透け過ぎておったからのう」
「え゛っ、そ、そんなに」
「まあ隠し事をしておるのは察しておったがの。じゃが、お主のように明け透けな者には搦め手などは逆に通用せぬ。ゆえに、こうしてワシも腹を割ったのだ。……とは言え、ここまで正直に何もかも話してくれるとは思ってなかったがのう」
ぐう……笑われるとちょっと恥ずかしい。
でも、そんな風に思ってくれていたならあそこで認めてくれても良かったのに。
ニワトリ頭目が邪魔しそうだったから話せなかったのかな。アイツ、性格が直情型ぽいもんな。ブラックがグリモアだってバレると余計話がこじれそう。
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そういう顔をすると、相手は「そういう風に考えて、そういう顔をするからじゃ」とか言ってまた笑った。良く解らないけど……まあ、信用してくれるならいいか。
「あの長老さま、俺達のこと解放してくれますか? ホントは色々教えて欲しかったんだけど、グリモアが厄介者扱いならアレなんで、俺達すぐ出て行きますから……。あっ、でも盗人の事が解決してないのか……」
「そうじゃのう。ソレが解決せん事には、いくらお主達が無害で無実でも牢から出すワケにはいかん。お主の言葉に嘘がないとは言え、丸々信用するのはのう……せめて、真犯人が分からん事にはクック達も納得させられん」
アヤツは頑固じゃからのう、と丸々したお腹をふぅと膨らませる長老。
ぐうう、でっかいフクロウなだけあって、やっぱり可愛く見えてしまう。嘴の下に白髭が有っても獣人系は物凄く可愛い……いやそんな場合じゃない。
しかし真犯人か……。俺が探すとしても、手がかりも何も無さそうだしなぁ。
そもそも、その【種】ってどんな物なんだろう。ソレが解れば、ペコリア達に協力して貰って探す事も出来るかも知れないんだが……。
「あの、長老。盗まれたその【種】は、どんな形のものなんですか?」
「ム? そうさのう……形は何かの果実のようでな」
「はい」
種だと言うからクルミのような形だと思っていたら、どうやら違うらしい。
果実のようなという事は、種っぽい特徴が薄いんだろうか。
頭の中で色々な果実を想像しつつ、俺は長老の話を注意深く聞いた。
「こう、な……人族の尻のように割れ目があって」
「はい……」
「空色と若葉の色を交互に組み合わせてある色味をしておるぞ」
「は……ぃ……いぃい……?」
尻のような割れ目、果実のような形、空色と若葉の組み合わせの色……。
あれ……なんか聞いた事あるぞ。てか、俺それ何か知ってるんだが。
長老さん待って、あの、それ、それってまさか…………
「クックが言うにはのう、お主達から【セウの樹】の匂いがしたというから、ワシらはてっきりお主達が盗んだものと思い込んでしまっておったのだが……そうか、村の外には同じ樹があるのだったな。それならば、やはりワシらの早とちり……」
「わーっ違いますっ違うんですごめんなさい知らなかったんですううう!!」
「ホォオッ!?」
いきなり土下座したので驚かれてしまったが、こうしないワケにはいかない。
だってソレ、本物なら俺達が持ってるんだもの。保存してるんだもの。
【セウの樹】の種、俺達が何故か所持してしまってたんだものおおおおおお。
「あああごめんなさいでもペコリアは悪くないんです、俺が怪しい人から勝手に物を貰っちゃダメってちゃんと教えてなかったからこれは俺の落ち度」
「お、落ち着け、落ち着かんか! とにかく、種はお主が持っておるんじゃな!? だったら何故持っておるのか、順序立てて話してみんか!」
平謝りしている俺に困惑しつつ、長老は羽で俺の背中を擦ってくれる。
うう、流石は酸いも甘いも噛み締めたお爺ちゃん。俺を的確に宥めてくれる。ああ羽がくすぐったいけど気持ち良い……。
大きな羽に癒された俺はすぐに冷静になり、改めて種の事を話した。
先日の夜、ペコリア達が「緑の誰か」に実を渡され、俺達が預かっているという事を出来るだけ詳しく。長老はその話を黙って聞いてくれていたが――――話し終わると、何やら難しげな顔をして指羽で己の白髭を撫ぜた。
「ふぅむ……今更お主の話を疑うこともないが……しかし、妙な話だのう」
「そうですよね……」
「まるで、お主達に【種】の盗人という罪を着せたかったようではないか」
「え……え? それって、あの……どういう事です……?」
長老の思っても見ない言葉に目を丸くすると、相手は俺が本当に気付いてなかった事を理解してくれたのか、ちょっと憐れむような目でまた俺の頭を撫でてくれた。
……なんかバカにされているような気もするけど、仕方がない。
説明を求めると、長老は俺に分かり易いように話してくれた。
「つまりじゃな、種盗人が本当に種を欲しければ、そこらのモンスターに渡すワケ無いじゃろ? 苦労して盗んだ物をむざむざ捨てる理由がない。それに、モンスターに何の躊躇いもなく渡したという所もおかしい。普通、森の中にいる綿兎のような物に、物を与えるはずもない。相手は獣じゃ、油断すれば襲われるのだから倒すのが道理。しかし、種盗人は近付いて手渡した……ということは」
「と言う事は?」
「その盗人は、お主のペコリアが“人族に従属する存在”だと知っていた事になる」
「あ……っ」
そ、そうだ。相手が種を盗んだ犯人だと仮定すれば、そうなるよな。
「緑の人」は、臆病ではあるがモンスターには違いないペコリアに対して、怯える様子もなく近付いて種を「手渡した」んだ。つまり、相手には恐怖も警戒心も無く、そしてその種が誰に渡るのかも予め知っていた事になる。
鳥人にとって凄く大事な【種】を盗んだ理由だって、仮にモンスターにやって悪戯したかったダケだとしても、鳥人達は匂いを辿って追えるんだからペコリアみたいな可愛いモンスターにあげてもすぐに捕まえられるし意味がない。
それに、ペコリアは臆病だ。人慣れしていると解れば、彼らが【守護獣】である事は誰だって分かってしまう。それでも【種】をあげたのだから、相手はソレが他人に渡る事を理解していたはず。
とすれば……その「緑の人」は、完全に「誰かを種盗人にしたいがため」に、俺の可愛いペコリア達に【種】をプレゼントしたって事になるワケで……。
「うわーっ、俺達ハメられたんですか!」
「理解が遅いのう……まあ、こちらが情報を渡さなければお主達は知らぬことだっただろうしのう……。もしかして、それも計算の内でお主達に【種】を渡したのか?」
「知らないの一点張りで鳥人を激怒させて、処刑されるように……とか?」
「そうさのう。【種】を盗むのはそれほどの重罪ゆえ、我らも断罪したかも知れぬ」
「ヒィ……」
サラッと長老が「断罪」とか言うので、背筋が寒くなる。
そうか、俺達が正直に話さず延々と言葉の取引を繰り広げていたら、あのニワトリ頭目に処刑されていた可能性もあったのか……。
よ、良かった。風邪ひいて正直に話して本当に良かったぁあ……。
ふんどし一丁で胸を撫でおろしてしまうが、長老は未だに少し引っかかる所が有るようで、難しそうに眉間に皺を寄せながら白髭を扱いた。
「しかし解せぬのう」
「げせぬって……何がですか?」
「その仕業じゃよ。ヤケにお主達の内情を知っておると思わぬか?」
「え……と言うと……えっと……俺達の中にグリモアが居て、可愛い守護獣達と旅をしているって事とか……ですか?」
俺のスマートな答えに、長老は頷いた。
確かに、言われてみるとそうだよな。俺は“寄らずの森”に入るまで、ペコリア達を外に出してはいなかった。だから、旅の途中で誰かがこの事を知るはずもない。
それに、グリモアが居るなんて事、それこそ限られた人しか知らないんだ。
もしそれを狙って俺達に【種】を渡して一悶着起こそうとしていたのなら……確かに内情を知り過ぎているような気もする。
だけど、グリモアの事を知っている人達は、ほとんど俺の知り合いだ。その人達が非道な事をするとは思えない。
「種の事はともかく……グリモアの事は偶然なんじゃないですか……?」
「そうじゃのう、そうとも言えるが……川に小石を投げて、偶然大魚が浮かんでくるものかのう……」
「………………」
何か、モヤモヤするな……。
偶然と片付ければそれだけだし、今回の件は愉快犯の犯行だったと終わらせる事も出来るけど、妙に違和感が残る。なにより「緑の人」が何を思って【種】を盗み、俺のペコリア達に【種】を渡したのかが全然分からなくて、本当に気味が悪かった。
もし故意に行った事だとしても、理由が分からない。
俺達を鳥人に殺させるつもりだったんなら、自分でやればいいじゃないか。
それなのにどうして……。
またもや答えの出ない事をに突き当たり考え込んでしまう俺に、長老はバサバサと羽を動かして空気を換えると、話題を区切るように息を吐いた。
「フム……まあともかく、ワシらは【種】さえ返して貰えればお主達を罪には問わんよ。巻き込まれた事だけはハッキリしておるしの」
「あの、でも……良いんですか? 俺達が持って行っちゃった事は確かなのに」
そう言うと、長老は目を弧に歪ませて笑った。
「ワシも面倒ごとは嫌いでのう。まあ、知らずのうちに【種】が盗まれたのだから、知らずの内に【種】が戻っていても……誰も損は無いじゃろう?」
と言う事は、俺達はお咎めなしで、こっそり長老が戻してくれるのか。
じゃあブラックもクロウも痛い目に遭わずに済むんだな?!
「あ、ありがとうございます……!」
二人が解放される事を思って堪え切れず嬉しさに満ちた声で礼を言ってしまう俺に、長老はホッホと笑いながら羽を動かした。
「ま、ワシらも無実の人族に【ポヤポヤ】を嗅がせてしまったからのう……その詫びと言う事で、今回は収めて貰えるといいのじゃが」
「それはもう……あ、でも、その【ポヤポヤ】って薬、いつ効果が消えるんですか。俺達出来れば旅を急ぎたくて……」
もうお互いを疑う必要はないので素直に問いかけたのだが、長老は笑みを治めて、今度は少し困ったように顔を歪める。
「それは、すまんことをしたのう……。今日はもう薬を嗅がせてしもうたから、多分あと二日ほどはあのままじゃ」
「えっ!?」
「すまんのう……人族は小賢しいゆえ、念には念を入れての処置だったのじゃが……悪い事をしてしもうたのう。申し訳ないが、薬が切れるのを二日待っておくれ」
そんなに効果が持続してしまうのか。
思わず「そんなぁ」と言いそうになってしまったが、ぐっと堪えて俺は頷いた。
だって、今回の事は誰が悪いワケでもないもんな。
いや「緑の誰か」は絶対に悪い奴だけど、鳥人達が悪いわけではない。もちろん、俺達も悪い事なんて何もしてないんだから、今回の事はお互いを責められない。
だから、二日で戻ると言うのなら俺もその間待たせて貰う事になるワケで。
まあそれは全然良いし、滞在させて貰えれば嬉しいんだけど……。
「あの……」
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というかこのまま外を歩くのなんてゴメンだ。俺は露出癖とかねーんだぞ。
そう思っての発言だったのだが、何がおかしかったのか長老は思いっきり俺を見て笑ったのだった。……な、なんで笑うんだ……鳥人のツボはよくわからん。
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