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イスタ火山、絶弦を成すは王の牙編
心は常に動くもの2*
しおりを挟む「まっ、待て待て待て! なんでそうなるんだよ!」
「何故って、決まっているでしょう。いつもとは違う行動を起こして、その結果君の体調がどう変化するのかを試すためですよ」
試すって……ようするに実験かよ。
いや、そりゃ、アドニスには俺の変化を読み取って貰ってるけど、だからって性的な悪戯をしましょうって言い方はどうなの。ヤバくないのそれ。
ていうかなんでそんな事をする必要が!
「ぶ、ブラックので充分なんじゃないの!?」
「ツカサ君、忘れたんですか? グリモアの“黒曜の使者から曜気を自由に奪える”という特性は、あの男だけが持つ物ではないんですよ。他のグリモアでも出来る事なんです。……私と君が……挿入は無いにしろ、似たような性行為を行っても、同じように曜気を奪う事が出来るんですよ」
「は、はぇ」
「ならば、もし私達が性的接触を持って“曜気を奪う”行為を行った場合……本来ならあの男と同じ数値が出るはずなのです。そしてそれは恐らく……以前、君から曜気を貰った時の記録と異なるでしょう。だが、今となってはそれも異なる数値を示すかもしれない。恋人という特異性が、もし君に何らかの変化を与え……いやしかし、それもまた机上の空論です。結局、実際に試してみない事には解らないのですよ」
「う、うん……?」
まって、俺百文字以上の解説覚えられない。
ええとその、つまり……ええと……ブラックとのえっちが、なんかよく分かんないけど特別で、それを証明するためにもアドニスとスケベな事をしろと……。
「仮に私が君と交わり、あの男との交尾の時よりも搾取される結果が出ても、結果的にあの男との交尾に関しては“何らかの変化”が起きていると証明できるのではないでしょうか。つまり、何にせよ実験する事は無駄ではない。そうは思いませんか?」
「う……ぅん……」
「君があの中年と性的接触を行った時の曜気の動きに関しては、リングを付けている期間内ではすべて記録を取ってあります。普通に他人に曜気を渡した時も、ね。ですから、君があの中年との性行為に置いて何か変化したのだとすれば、それを確かめるためには、他のグリモアとの接触と比べる他ありません。なので、今から試してみましょうかと言っているんです」
着地点やっぱりそこか。
えーと要するに、相手が違う事で数値に違いが出るのか知りたいから、スケベな事して実験しようって事だよな。で、でも……アドニスとスケベな事って……。
それにそんな事をしたらブラックが怒るんじゃないのか。そんなの嫌だぞ俺。
「あの、ブラックには……」
「大丈夫です。これに関しては、きっとあちらも怒らないでしょうから」
「え……な、なんで? なんか約束したの?」
「まあ、そう言う事ですね。……さ、ベッドへどうぞ」
ブラックが怒らないってどういう事だろう。何の約束をしたんだ?
もしかして、俺の体調が心配だから触れるだけならって事でオッケーしたのかな。だとしたら心配してくれるのは嬉しいけど、なんか許容のしどころがおかしいぞ。
いつもは寄るな触るなって言うくせして、こんな事は許可するなんて……それほど心配だったんだろうか……それならまあ……俺もやぶさかではないけど……。
…………じゃあ……出来るかどうかは分かんないけど、頑張るか。
診察の延長みたいなもんだし、アドニスは真剣に俺の力を解析しようとしてくれているんだし、ブラックが良いって言ってるなら俺が断る訳にも行かないだろう。
俺だって自分の力が安定する方法が見つかれば、願ったり叶ったりなんだから。
「えっと……腰掛けるだけでいいのか?」
柔らかいベッドにぽんと座ると、アドニスは微笑みながら近付いて来る。
何故かちょっと背筋が寒くなるが、それは前のアレとかソレが響いちゃってるからだろうか……何にせよ、ちょっとスケベがどうのって雰囲気じゃない……。
こ、こんなんでブラックと一緒にやってる事と同じ感じになるのかな。
「安心して下さい、君に直接触れるとまた面倒な事になりそうなので、ちゃんと道具を使いますから」
「え」
「まずは緊張を解すために、薬を飲みましょう。薬湯ですから安心して良いですよ」
そう言いながら、アドニスは用意していたポットから薬湯を注ぎ、こちらに持ってくる。小さなカップの中には薄桃色の液体が満たされていたが……このままだと俺も変にアドニスを意識してしまいそうだったので、素直に飲む事にした。
「あ……めっちゃ甘い」
「君は甘い物が好きですからね。少し甘めに調合しました」
「へー、薬師ってそういうのも出来るんだ!」
「体調を整える薬の改良は難しいですが、性玩具の類はグリモアの力も有って容易に調合する事が出来るんですよ」
「へ~…………」
……あれ、なんか今変な事言わなかった?
性玩具がどうのこうのって……。
「さて、少しは緊張がほぐれましたか?」
「え……あっ……」
そういえば体がポカポカする。というか、熱い。
顔が熱くて、心臓がなんだかドキドキして来る。アドニスは「緊張をほぐす」って言ってたけど、まさかこの薬湯、媚薬とかそう言う類の奴だったんじゃ……。
「服を脱ぎましょうか」
「あっ、アドニス、お前、もしかしてこの薬湯……っ」
「媚薬ではありませんよ。発熱や動悸などの似たような症状は出ますが、催淫効果もありませんし、意識混濁は起こりませんから安心して下さい。これは君の感度を良くする薬湯です。……いくらなんでも、君だって恋人で無い相手に触れられてすぐには興奮出来ないでしょう? まあ……薬を使っても君の数値自体は変わらないようなので、そこは安心して下さい」
「あ、安心しろったってお前なあ!」
感度を良くする薬湯ったって、恋人でもないのに触れられてああーんなんて感じになる訳がないだろ。それにアドニスは仲間だぞ、仲間とこんな事してアンアン言っちゃうなんて、そんなのエロ漫画の中の話でしかないだろう。
なにより、アドニスは男だ。髪が長くて優しそうでも男なんだ。
感度を良くして触れられたからって、そんなブラックやクロウの時みたいには……
「脱がしますよ」
そう言いながら、アドニスが俺の腕に触れる。
少し冷たい、長い指をした手。綺麗だけど女とは違う男の手だ。
ブラックの物ともクロウの物とも違う、その手に触れられたのに、俺は。
「っあ……!」
…………こ、声が……出てしまった。
うそ。こんな……でも、アドニスに触れられた途端に確かに体がびくんって……ハッ、もしかして、これが感度を良くした状態って奴なのか?!
お、おいおいウソだろ、なんで仲間のアドニスに……!
「ふむ……? ツカサ君、きみ……随分と感度が良いんですねぇ。これだと薬湯を使って無理矢理高めなくても良かったんでしょうか……」
「あっ、ゃ、やだ、そんな触ったら……っ」
「触らないと服を脱がせませんよ。下も脱いでくださいね」
「やっ、ぁ、うぅ……っ!」
アドニスの長い指がつぅっと素肌の腕を滑って離れる。
思わず体を震わせた俺に構わず、アドニスは有無を言わせぬ速さでズボンと下着を抜き去ってしまった。そうして、ぐいっと足を開いて割り込んでくる。
「あっ、やだっ、そ、そんな広げる必要ないだろ!?」
慌てて足を閉じようとするけど、アドニスの手がそれを許さない。
俺の両足を簡単に抑えたままで、相手は跪いてそのまま大きく開いた俺の足の間に陣取ってしまった。そんな事をされると、もう、足を閉じる事も出来ない。
ブラックやクロウとは違う、すらっとした手。なのに、足は動かない。
この場合は俺の足の力が弱いのではなく、思った以上にアドニスの力が強いという事なのだろう。だけどそんな事に今気付いても仕方がない。
「ふむ……相変わらず可愛らしい陰茎ですね」
「う……うぅ……」
恥ずかしい。そりゃ、何度か見られてる訳だけど、やっぱりこう言う風に至近距離でじっくり見られると、恥ずかしくて体が羞恥で焼けてしょうがなかった。
アドニスの眼鏡に自分の股間がぼんやり映っているのが解って、一層居た堪れなくなる。それだけ熱心に見つめられているんだと思うと、また体が恥ずかしい事を興奮だと勘違いして変な事になってしまいそうだった。
ああもう、どうして人間の体ってのは一々バグるんだよ!
「そう恥ずかしがらないで下さい、ツカサ君。男の性感を高めるには、陰茎を弄るのが一番簡単な方法なんですよ。……まあ、君の場合は未成熟な陰茎ですから、別の所を刺激した方が良いのかも知れませんが」
「ぐ……っ、だっ、だれが未成熟だあ! ふざけんな!!」
「はいはい、怒るぐらいなら早く済ませましょうね」
「うぐ……」
……ま、まあそりゃそうだけど……。
でも、そう冷静に言ってくれたらちょっと安心するかな……。だって、アドニスは俺に変な感情を持ってこんな事をしてる訳じゃないって解るし。
これはあくまで診察だから、こんな風にぽんぽん言葉を返してくれるんだ。
そう思うと……ちょっとは恥ずかしくなくなってくるかも。
いや、恥ずかしがってちゃ駄目なんだよな。だってこれは診察なんだもん。
アドニスは俺の体を調べるために色々やってくれてるだけであって、スケベな事をされているとは言っても、これはきっとアドニスの本意じゃないんだ。
だから俺だって真面目にやらなければ。恥ずかしくない。大股開きになっても恥ずかしくない。大丈夫、診察だから、診察だからこれ……。
「さて、ツカサ君。てっとり早く君を絶頂させるために、これを使いましょうか」
そう言いながら、アドニスは不意に俺に何か変なものを見せて来る。
「……? これなに?」
持って来たのは、何やらピンク色で半透明の円筒。
なんだか内部が蛇腹な感じでたわんでいるが、一体どういうものなのか。
首を傾げていると、アドニスは変なピンク色の物を持って急に立ち上がった。そうして、ベッドに乗り上げ俺の背後に陣取って来る。
「えっ、た、体勢変えるの?」
「すみませんね。どういう状態で君から曜気を摂取できるのかが不明なので、まずはこうして抱かせてください。……気分が悪いと言うのならやめますが」
そう言いながら、背後から俺の体に腕を回して来た。
背中にアドニスの服の感触を感じる。それと同時に、髪や耳の端に吐息が掛かったのが解り、俺は反射的にひくりと反応してしまった。
……初めて感じる、感覚だ。ブラックともクロウとも違う感触。俺の体がすっぽり入ってしまう胸の広さはあるけど、あの二人よりも少し狭くて薄い感じがした。
って……なに比べてんだ。これも診察の一環だってのに。
「……嫌ですか?」
ああほら、返事が遅れたからアドニスの声が少し沈んだ。
そらビクビクして黙ってたら、言われたら誰だって「嫌われたのかな」って思って悲しくなるわ。いかんいかん、勘違いさせちまった。
慌てて俺は首を振って、誤解だとアドニスに示した。
「い、嫌じゃない。その……アドニスとこんな事したの、初めてだから、つい……」
そう言うと、背後から息を呑むような音が聞こえた。
「……そう、です、か。まあ、不快ではないのなら、構いません。……では、今から君を……弄りますよ」
「い、いじ……。う、うん……お手柔らかに……」
弄るって言われるとすげえ恥ずかしくなるんだけど……。
診察とはいえもうちょっとその、違う言葉を使って欲しかったような。
変に恥ずかしくなってまごまごしていると、視界の端から手が伸びて来る。その手には確かにさっきの道具が握られていて、どうするのかと思ったら――――
萎えたままの俺の物を掴み、強引にその物体の中に入れた。
「うえぇ!? なっ、ちょっ、こ、これ!?」
「男専用の自慰道具ですよ。名付けて【桃色スライム妻】です。形は妙ですが、この性玩具はかなり人気が有りましてねえ。内部の作り込みは少々甘いなと自分でも思うんですが、あのスライムの感触を植物の肉で上手く再現できたと思うのですよ」
「んっ、んんん!?」
ちょっと何その名前、どこのアダルトグッズ……ってアダルトグッズじゃん!!
つまりこれってオナホだろ、やっと解ったけどオナホだろ!?
そりゃそんな名前にもなるわ!
「スライムの自慰道具は潤滑剤なしでぬめる感覚が楽しめるのが好評でして。次はもっと女性器の形か名器と呼ばれる腸壁を調べて形を模そうと思ってるんです。で、ついでですからツカサ君もこの桃色スライム妻を試して、不満点を言って下さい」
「ひっ、ぃ!? やっ、ちょっ、う、動かさないでっ、急にしたらっ……!」
待って待って、なにこれ、なんでローションも何もないのにヌルヌルするの。
動かされると中の蛇腹の部分が絡みついて来て、腰が勝手に反応してしまう。
オナホってこんななの……!?
「ああ、勃起してきましたね……感度が高いからでしょうか?」
「ぃうっ、ぅ、やっやあぁ……! う、うごかすのっやっやだ、やだぁあ……!」
「どうして? ツカサ君の可愛らしい陰茎は気持ち良いって言ってますよ」
背後から、熱い吐息が耳に掛かる。
その息も声も今までこんなに近くで触れた事のない奴の物だと思うと、体が勝手に緊張して、余計にオナホの感触を感じ取ってしまう。
「ひぐっ、ぅ、うあぁあっ、いあぁあ……!」
根元をきゅうっと抑えて離さない入り口に、動かされるたびにぐぷぐぷと音を立てながら、俺のモノに絡みつき撫でて来る内部のヒダ。
そして、押し付けられると、先端にスライムオナホの先っぽがちゅっちゅって吸い付いて来て、今までにない感覚に思わず体がえびぞってしまう。
だけど、こんな事を他人にされて、それを見られていると思うと、恥ずかしくて。
思わず足をぎゅっと閉じてしまうけど、太腿が震えるのが解っただけで、何の解決にもならなかった。それどころか、アドニスは俺の耳に息を吹きかけながら、オナホの動きを更に早めて来て……。
「ああ……ツカサ君、良いですねその顔……。恥ずかしがっている君を見ていると、私まで変な気分になってきますよ……」
「っあぁああ、やっ、あ、あぁあああっあっあぅうう……!」
「診察で、本当に良かった」
何言ってんの、意味が解らない。どういうこと。
解らないのに、体は勝手に熱くなっていって、その体を背後からギュッと強く抱き締められて。その事に何故か、俺の体は強く反応してしまい……――――
「ぃう゛っ、ぁ、あぁあああ……――――!!」
体が張り詰めて、一瞬息が止まった。と、同時……俺は、達してしまっていた。
「はぁっ、は……はぁっ、はぁ…………」
…………う、ううう……いつもながら、何で俺ってこう気持ち良い事に弱いんだ。
こんなの早漏って言われても何も言えないぞ……。
流石に一回だけでは頭がバカになる事も出来ず、思わず賢者タイムに入っていると……背後から俺を抱き締めていたアドニスは、俺の首筋に柔らかい物を当てた。
「ふあっ!?」
な、なにっ。なんでそんな。
もしかしてアドニスも疲れちゃったのか。そうだよな、俺の事支えて抱き締めてたんだもんな。しかも手もシコシコ動かしてたんだし……あ、ああ、どうしよう。
思わず心配になってアドニスを見ようとすると、呟く声が聞こえた。
「…………はぁ……。これはまた……なるほどねえ。やみつきになるわけだ」
「……?」
やみつき?
何にやみつきになるってんだ。もしかして、スライム妻か?
……確かに……正直な話……このオナホ、ちょっと癖になりそう……かも……。
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