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パイナップル番長奇譚~『私立アバロン女学院高校』の秘密〜

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ワシの名前は、『キウイ校長』じゃ。名門女子校と評判の高い、『私立アバロン女学院高校』の校長をしておる。

この高校の生徒は、みな清楚な女子ばかりで、みな優秀じゃ。

しかし、最近、困ったことがあっての。

変質者が出没するのじゃよ・・・。

当校の通学路に、全裸に腰蓑姿の南国諸島人のような巨漢が仁王立ちしておっての・・・。

その巨漢は、女子高生のスカートの裾をガン見しながら、「神風よ!吹きたまえ!」と叫ぶのじゃよ。

どうやら、その巨漢は、うちの生徒のパンチラ目当てに通学路に出没するようなのじゃ。

名前はなんといったかな・・・、そうじゃ、そうじゃ、あの巨漢は『パイナップル番長』と女学生から呼ばれているのじゃよ。

なんでも、この学校のある生徒から聞いた話によると、その『パイナップル番長』は、ある朝、突然、登校中の女子生徒たちの前に現れて、

「自分は、今年から、アバロン女学園に入学したつもりです。これから毎日この場所へ通学するから、どうか君たちのパンチラ見せてくだされ!」と大声で叫びながら土下座したそうなんじゃ。

そして、「地主:パイナップル番長』と書かれた名刺を必死に渡そうとしてくるそうじゃ。

その光景を見た生徒らは、恐怖で震え上がったらしいわい。

それでのう・・・、この『パイナップル番長』という男は、どうも妖怪のたぐいではないかという噂が立ってしまってのう・・・」

と、校長先生の話を聞いているうちに、だんだん怖くなってきた。
僕は『メスシリンダー二等兵』、キウイ校長が軍部に依頼をして、表向きでは、変質者対策担当者として派遣されたことになっている。

校長からの話を受けて、僕は「早く任務を遂行しなければ!」と思い、席を立った。

すると、隣に座っていた女子生徒が僕を呼び止めた。

「ちょっと待ってください。あなたには、まだお話があります。わたしの名前は、『小木 梢(おぎ こずえ)』といいます。まずは、あなたのお名前を教えてください。」

彼女は、なぜか僕の名前を訊ねてきた。

僕は、彼女のことを知らなかったので、正直に答えた。

「僕の名は、『メスシリンダー二等兵』と言います。ちなみに、趣味は、読書です。この学園の変質者対策で呼ばれた軍部の者です。」

すると、梢さんは、急に顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

そして、少し間を置いてから口を開いた。

「実はですね・・・。わたくしは、昨日の朝早くに、通学路を歩いていたら、突然、知らないおじさんに声をかけられまして・・・。その人は、全裸に腰蓑姿で、とても背が高くて豊満で色黒な体つきをしていました。それで、おじさんは私に向かってこう言ったのです。」

「そして、『君は、なかなか可愛い女の子だねぇー。でも、結婚するまでは貞操を守るんだよ。もし結婚する前に処女を失ったりしたら、お兄さんが君の相手の大事な所を拝んじゃうからね!』と言って、『地主パイナップル番長』と名刺を渡そうとしてきたんです。」

「私は、すぐに逃げましたが、それ以来、ずっと気持ちが悪くて仕方がないんです・・・」

そう言うと、梢さんは泣き出してしまった。

「大丈夫ですか?もう泣かないで下さい。僕も、校長から頼まれた以上は、きっと変質者を追い払ってみせますよ!」と、僕は慰めの言葉をかけたが、彼女にはまったく聞こえていない様子だった。

「あぁ、思い出すだけでも鳥肌が立ちますわ!本当に怖いですわ!!」と梢さんは怯えているようだ。

その時、ふと気付いたのだが、なぜ僕は、こんなにも梢さんのことが気になるのだろう。

それは、彼女がとても魅力的だからなのか、それとも別の理由があるのか・・・。

そんなことを考えていた時、急に校内放送が流れた。

『ピンポンパンポーン♪ 全校生徒の皆さんにお知らせします。本日の午後4時から、体育館にて部活動発表会を行います。部活動に所属している方は、必ず参加するようにしましょう。また、文化部の発表に興味のない方や部活に所属していない方々は、午後3時までに下校していただきたいと思います。繰り返します・・・』

それを聞いていた校長先生の顔色が一瞬で変わった。

「しまった!!今日は、部活動発表会じゃったか!!!忘れておったわい!急いで準備しなければ間に合わんぞ!」

そう言って、校長先生は慌てて職員室から出て行ってしまった。

それからしばらく経つと、他の教師たちも慌ただしく動き出した。

「みんな、急いで用意をするんだ!」と男性の教師が叫んだ。

「お前たち、さっさと準備しなさい!」と女性の教師たちが叫んでいる。

どうやら、これから何かがあるらしい。

僕は、状況がよく分からなかったので、近くにいた女子生徒から事情を聞くことにした。

「いったい何があるんです?」と質問すると、彼女は、答えてくれた。

「実は・・・、私たちの学校では、月末の放課後に、各部ごとに発表を行う時間を設けているんですよ。今日は月末だから各部が集まって発表することになっているんです。」

「ちなみに、我が校の演劇部は、『南国姫』を上演する予定なんですけど・・・。実は、その演目が問題なんです。」

「というのも、去年、うちの学校のOBである、ある女優さんが演じた作品なんですけど・・・。内容があまりにも過激すぎて、PTAからクレームがついたらしいんですよ。」

「それで、今年からは上演禁止になったらしいのですが・・・。どうも、その作品は、うちの高校で実際に起こった事件をモデルにしているらしくて・・・」。

「なんでも、通学路に現れた全裸に腰蓑姿の色黒巨漢が、通行中の女子高生のパンチラを拝んだらしいのです。」

「それで、その女子高生は、ノイローゼになってしまったようで、精神が崩壊し、自分は南国島のお姫様なんだと言い始めたそうなんです。」

「それで、その事件の真相を確かめるために、うちの高校の卒業生で、その事件について調べていた人がいて……。その人の研究結果として特別に上演することになったそうなんですよ。」

「その変質者の名前は、確か……、『パイナップル番長』とかいう名前だったような気がするんですが……」彼女の話を聞いた僕は、思わず吐きそうになった。

どうも、僕が対策を命じられたのは、『パイナップル番長』という厄介な相手だった。

僕は、とりあえず、学校の周辺を調査してみようと、校舎の外へ出ることにした。

しかし、校門から出た瞬間、誰かにぶつかった。

僕は、謝ろうとしたが、その人物を見て驚いた。

なぜなら、その人物は、全身を包帯でグルグル巻きにしたミイラのような格好をしていたからだ。

「失礼しました。怪我はないですか?」と僕が尋ねると、

彼は、「ぬほほほほほ!気にしないでください!」と答えた。
そして、「ところで、貴殿は、どこへ行くのかね?、自分も一緒に行って良いかな?」とミイラは言った。

僕は、「僕は仕事中ですが、良いですよ。」と答えると、彼と一緒に歩き始めた。

すると、彼が突然、「ところで、君の名前は、なんというのだね? 自分の名前は、『ミスターP』と言う。よろしく頼む」と言ってきた。

僕は、「僕は、『メスシリンダー二等兵』と言います。こちらこそ、よろしくお願いします」と挨拶した。

「ところで、君は、この学園の生徒ではないようだが・・・、もしかすると転校生かい?、だとしたら、自分と同じだね」とミスターPさんが言った。

「いいえ、自分は学校の頼まれ事をしているだけですよ。」と僕が答えると、彼は、「実は、自分はこの学校に通っているのだよ」と教えてくれた。

「え!?、あなたは女学生だったのですか?、おっさんみたいな声してますね。でも、なぜミイラみたいな恰好をしているのですか?もしかして、そういう趣味を持っているんですか?」と僕は疑問をぶつけた。

「ぬほっ!質問が多いのう。まぁ、よいでしょう。順番に答えよう。まず、自分がこのような姿をしているのは、とある目的があってのことです。そして、その理由は、他でもない。この学校の調査のためですよ。」

「調査って、どういうことですか?まさか、あなたも、この学校に雇われているのですか?」と僕は尋ねた。

「ぬふふ!、そういえば、詳しい自己紹介をしていませんでしたね。自分は訳あって、この学園の女子高生の研究を生業としています。ぬほほほほほ!」と『ミスターP』さんは答えた。

僕は、彼の話をもっと詳しく聞こうと思ったが、ちょうどその時、学校の部活動発表会が始まるようであった。

「『ミスターP』さん、すみませんが、僕は、体育館の中で調査をしなくちゃならないので、また後でゆっくりお話ししましょう。」

ミスターPさんは「ぬほほほほほ!」と笑っていた。

そして、僕は、そそくさと体育館に入った。

すると、すでに多くの生徒たちが集まっていた。

僕は、舞台裏に待機することにした。

しばらくすると、校長先生が現れた。

キウイ校長は「みなの者、よく集まってくれた!これより、第24回アバロン女学院高等学校の部活動発表会を開催する!」と叫んだ。

すると、大勢の生徒が拍手をした。

「まずは、演劇部から始める!部長は前へ!!」と校長先生が叫ぶと、一人の女性がステージに上がった。

「皆様、こんにちは。今回の演題は、『南国姫(なんごくひめ)』と言います。この作品は、私たちの学園に起こった実話を元に作ったものだそうです。」

「この作品の内容は、通学途中に見知らぬ男にパンティーを見られた少女の心の傷を描いたものです。」

「私は、この作品で少しでも人々の心に残るようなものを作りたいと考えています。」

そう言うと、彼女は一礼してステージから降りていった。

次に、吹奏楽部による演劇のオープニング曲の演奏が始まった。

そして、いよいよ、舞台の幕が上がった。

司会者:「それでは、『南国姫』を上演いたします。」

そう言うと、ステージに二人の美少女が登場した。

一人は、金髪碧眼の西洋風の顔立ちの少女で、もう一人は、桃色の髪色をした和風美人といった感じの女性である。

演劇部員全員が、10年前に採用されていた私立アバロン女学院高校の制服を身にまとい。お姫さまのように美しく見えたのである。

彼女たちが舞台に登場すると同時に、会場の空気が変わったように思えた。おそらく観客たちは、彼女達の美しさに圧倒されているのであろう。

そして、演劇は始まった。

最初のうちの内容は、よくある恋愛物であったが、その完成度は高く。素人とは思えないほどの演技力に驚かされた。

「あの子たちすごいな!」と僕は呟いた。

そうこうしているうちに、やがて、クライマックスのシーンが訪れた。

主役を務める女学生が通学途中、パイナップル番長という怪人に出くわすのだ。

パイナップル番長役の女学生は褐色の肉襦袢を着て、腰蓑を着けていた。

パイナップル番長役:「ぬほほほほほ!一目惚れしました。結婚してください。いや、まずは、パンツを見せてください!。神よ!、最強の神風を吹かせたまえ!!!」

大道具担当の女学生が巨大扇風機のスイッチを入れた。

激しい突風が舞台を駆け抜ける。

ヒロイン役:「きゃあああ!スカートがめくれるぅ!!」

ヒロイン役の女学生は、必死になってスカートを押さえていた。

しかし、パイナップル番長役は、そんなことは関係なしに彼女に近づいていく。

そして、ついに彼女の前に辿り着くと、さらに両手に団扇をもって、ヒロインのスカートを扇ぎはじめた。

ヒロイン役:「ああっ!!だめぇー!!!恥ずかしいぃぃ!!」
ヒロインの悲鳴と共に強風によって、スカートが捲れ上がってしまった。

パイナップル番長役:「ぬほほほほほ!なんと!純白のパンティーを拝むことができました。神様、ありがとうございます(感涙)!」

その光景を見た僕は、「なんてふざけた演劇内容なんだ!そして『パイナップル番長』という男は変質者の極みだな・・・」と怒りを覚えたのだった。

そして、再度、舞台を見てみると、何故か、あの『ミスターP』が舞台に立っていた。

「あれは・・・、さっきのミイラか?、演劇部だったのか?」と僕は不思議に思った。

ミイラ:「皆さん、この劇は真実の話ではないです!。でも安心してください。これから、私が本物をお見せします!」

そう言って、彼は包帯を取り始めた。すると、その下からは、先ほどの『パイナップル番長』の本物が現れた。

女学生たち:「キャーーー!!!、変質者が侵入してるわーー!!!助けてぇ~!!!」

観客の女子生徒はパニックになりながら逃げ始めた。

本物のパイナップル番長が登場したことにより、体育館は阿鼻叫喚の状況になり、部活動発表会どころではなくなってしまった。

その状況に乗じて、パイナップル番長は逃げ去ってしまい、その姿は見えなくなっていた。

その後、すぐに警察が到着して、事件現場には警察官が駆けつけたが、パイナップル番長を捕まえることはできなかった。

それからしばらくしてから、僕は校長先生から呼び出しを受けた。

どうも、僕は、パイナップル番長の共謀者として疑われているらしい。

「メスシリンダー二等兵君、君は何か知っているんじゃないかね?」と校長先生が言った。

僕は、「いいえ!何も知りません!」と答えた。

「本当かね?君が『パイナップル番長』と仲良く話しながら一緒に歩いていたとの証言があるのだが?。」

「違います!自分は無関係です!。信じてください!」

僕が否定しても、誰も信用してくれなかった。

どうも、僕は、変質者と関わり合いのある人間として疑いをかけられているようだ。

こうなったら仕方がないと思い、僕は、真実を話すことにした。

僕は、「実は、僕は軍隊からの任務を受けて この学校の潜入捜査をしていました。とある人物を捕獲するために使命を受けた工作員です・・・」と、守秘義務を犯してしまったが、事態を改善するために本当のことを話すことにした。

すると、校長先生は、「なるほどミ・・・。君は軍の工作員だったのか・・・。」と言った。

「はい。自分は軍の特殊部隊『シコシコ隊』の兵士です。」と僕は答えた。

「あなた方が『パイナップル番長』と呼ぶ男は、本名は『岩丼 泰好(いわどん やすよし)』と言う人物だと軍では推測しております。元々は『初老部隊』の部隊長であり、当時は立派な軍人だったそうなのです。そのことの真相を明らかにするため、私は動いていました。」と僕は説明した。

校長は、「『パイナップル番長』が元軍人じゃと!?」と驚いている様子だった。

「はい。しかし、彼はある時を境に豹変してしまったとのことです。」

「そのきっかけになった出来事があったそうです。軍に残されている資料に記述があります。どうやら、40歳以上が集められた初老部隊の中で、岩丼泰好だけが真正の童貞だと言うことが判明したらしいのです。しかも、生まれて以来、女性とまともに付き合ったこともありませんでした。彼女や妻とのアバンチュールを話し合う部隊員を見ながら、彼は悩み続けたそうです。その結果、ついに精神に異常をきたしてしまったのです。」

「ある日、そんなパイナップル番長が、風の強い日、たまたま通学路を歩いていると、美しい女子高生のパンチラを目撃してしまい、強烈な勃起を体験したようで、それ以来、もう一度、パンチラを拝みたいと、通学路に出没する変質者になったようなのでした。」と、僕は上官から言われた内容を説明した。

校長先生は、「そう言えば、『初老部隊』という組織は聞いたことがあるぞ!、なんでも、加齢臭と放屁を使って戦闘をする集団だと聞いておったが・・・?」と言ってきたので、僕は、「はい、『初老部隊』とは、岩丼泰好が設立した部隊で、老い初めても少年の心をもって戦場に赴くという理念を掲げた変態集団でした。」と答えた。

校長先生は、「まさか、うちの学校が元軍人のパイナップル番長のターゲットになっていたとは・・・!。」と頭を抱えていた。

「とにかく、自分は無実なのです!信じてください!」と僕が懇願すると、校長先生は、「わかった。君の潔白を信じよう。どうか、パイナップル番長から この学園を守ってほしい!」と言ってきたので、僕は「わかりました。」と返事した。

こうして、僕は、『パイナップル番長』こと岩丼泰好と戦うことになったのであった。

『パイナップル番長』と対決することになった僕は、とりあえず、彼の情報を集めようと考えた。

そこで僕は、パイナップル番長の生家があるとされている東京都荒川区に行ってみることにした。

僕は、電車に乗って東京へ向かった。そして、都電に乗り込むと、僕はあることに気が付いた。

それは、僕の乗っている都電車両内には、若者が誰一人いなかったのである。全員が老人であったのだ。

僕は、不安を覚えながらも、都電に揺られていた。

しばらくすると、運転手がマイクでアナウンスを行った。

「次は、『荒川大台駅』でございます。この駅で下車される方はお忘れ物のないようにお願いします。」

僕は慌てて、降車の準備を始めた。

そして、駅のホームに降り立った瞬間、得体の知れない強烈な臭いが漂ってきた。僕は、思わず吐きそうになったが、臭いの元を辿ることにした。

臭いを辿っていくうちに僕は気づいたことがあった。

どうやら駅の近くに悪臭を放つ場所があるということに・・・。

その場所に近付いていくにつれて、ますます臭いが強くなっていった。

そして、悪臭の根源に到着した時、そこにあったものは、「岩丼」と表札が掲げられた大きくて古い家だった。

その戸建の家は、都内では珍しいほど大きな庭がある家だが、その庭には、死んでから大分経ったような3匹の犬の死骸が放置されていた。また、その犬のものと思える糞が、足の踏み場もないほどに撒き散らされていた。

僕は、「なんなんだ!ここは!この家の住人は狂ってるのか?!」と取り乱してしまった。厳しい訓練を乗り越えてきたはずの僕が、こんなにも取り乱すなんて・・・。

そして、恐る恐る大きな門の方へ進んでいったところ、家の中から一人の腰蓑を装着した巨漢が姿を現した。

「ぬほほほほほ!、こんにちは!、自分に何か用事ですか?」と、男は話しかけてきた。

どうやら僕は、いきなりパイナップル番長の自宅を見つけることができたらしい。

僕は、緊張しながらも、彼に質問をした。

「あなたは、岩丼泰好さんですね?。」

「ぬほほ!その名は捨てました。今は『パイナップル番長』という名前で生きています。それで、自分に会いに来たということは、軍の命令でここに来たということでよろしいでしょうか?」

「はい。そうです。」と、僕は答えた。

「ぬほほ!、そうですか!そうですか!、それなら話は早い!、さっそく家に上がってくだされ。」

「え?、こんなに汚いところに上がっても大丈夫なんですか?得体の知れない病原体とかいないですよね?」と僕は尋ねた。

パイナップル番長は、「ぬふふ・・・。ご心配なく!、ここにあるものは全て自分と愛犬の体から出たものですので、安全です(感涙)」と言ったので、僕は、「そうですか・・・、仕方が無い。」と言いながら渋々と家の中に入った。

すると、そこには信じられないものが広がっていた。

広い玄関に入ると、すぐにリビングルームになっていて、そこには、大量のVHSのビデオテープが山のように積み上げられていた。

僕は、その光景を見て、「これは何だ?」と疑問に思った。

パイナップル番長は、「これ全部が裏ビデオです。先祖の土地から得た駐車料金を費やして集めました。3000本以上はありますぞ!」と彼は自慢げに語った。

僕は、「あの・・・。これらの作品は、あなたの性癖に関係があるのですか?」と僕は恐る恐る聞いた。

「ぬほほ!もちろんです!、自分は幼い頃から、たくさんのアダルトビデオを観てきて、様々なジャンルを嗜んで来ましたが、特に好きなのが『ロリータ』です!、中でも『市民プールの盗撮画像』シリーズが一番好きです!、そして、最近は『純白のパンティー』をテーマにした作品がお気に入りです!皆さんにも是非とも見てもらいたいものです!。」

「なるほど・・・、ちなみにVHSをどうやって観るのですか?、僕はビデオテープなんていうものを見たことがないです。」と聞いた。

「ぬほほ!そんなことも知らないんですか!。この『ビデオデッキ』という機械を使えば簡単に見られますよ!」と彼は言って、部屋の隅にあるテレビを指差した。

僕は、「なに!?、こんなにも古い機械を使用しているのか!!!」と驚いた。

「えっ?、この旧式のビデオデッキは、20年前に発売された製品でして、当時は1台5万円ぐらいしましたけど・・・。」とパイナップル番長は言った。

僕は、「パイナップル番長は、こんなにも時代遅れな製品を未だに使用しているのか・・・。」と呆れ返った。

「はい・・・。でも、自分のコレクションを見るためには必要ですからね・・・。」と彼は答えた。

それから、僕は、パイナップル番長の部屋に案内された。

そこは、巨大な書斎となっていて、壁一面が天井まで届くほどの棚で埋め尽くされており、整理されていないが、全てがエロ本であることがハッキリと判った。

パイナップル番長は、「これが、全て自分が集めたエロ本です!、裏も表も全てありまぞ!、どうです!すごいでしょう!?」と言った。

僕は、「確かにすごい量だ。これを一人で集めるのは大変だっただろう・・・。」と思いつつ部屋を観察していると、本の間に挟まっていた写真を発見した。

それは、『岩丼家の家族の集合写真』だったのだが、中年男性と老婆、幼い頃の岩丼泰好が写っていた。

じっくりと見てみたが、その写真には母親の姿はなかった。

「この写真に写っているのは、あなたとお父様とお婆様だけみたいですけど、お母様はいないのですか?」と僕は尋ねた。

すると、パイナップル番長の顔から笑顔が消え、深刻な表情に変わった。

「母は、自分が3歳の時に亡くなりました・・・。」と彼は言った。

「え!?、そんなに早くに亡くなったのですか?」と僕は驚いてい
た。

すると、「母の死因は産後の肥立ちが悪かったためだったそうです・・・。自分が殺したようなものですよね・・・」とパイナップル番長が苦しい表情を浮かべて説明した。

「そうでしたか・・・。それは悪いことを聞いちゃいましたね・・・」と、僕はパイナップル番長がこうなってしまったのも、幼い頃に母親に甘えられなかったからなんじゃないかなと、朧気ながら理解したような気がした。

そうは思ったものの、まだ僕には疑問点があったので質問を続けた。

「ところで、どうして、あなたは、軍隊内で反乱を起こしてまで、私立アバロン女学院高校に出没するようになったのですか?その理由を教えてくれませんか?」

「ぬほほ!、わかりました!、お話ししましょう!、あれは今から10年ほど前のことです。」

「自分は、当時、軍人として、とある作戦に参加していました。その任務とは、敵のスパイを捕まえることでした。しかし、仕組まれたように、自分が逆に捕まってしまい、敵から拷問を受けました。チンポの包皮を極限までに伸ばされるという拷問です。ぬほほほほほ!」

「その結果、自分は、重度の包茎になり、さらには、敵側へ、初老部隊の機密情報を漏らしてしまいました。そして、そのことが将校にバレてしまい、軍法会議にかけられることになりました。しかし、自分は、何とか命だけは助かりました。懲役300年ですがね。ぬほほほほほ!」

「その後、自分は軍の刑務所に収監されたのですが、ある日、男が面会にやってきたのです。その人物は、かつての部下であり、初老部隊長の後任者でもある人物でした。その人は、自分に『岩丼隊長は悪くない!、岩丼隊長を陥れた奴が悪いんだ!』と言ってくれました。しかし、自分はその言葉を受け入れることができませんでした。そんな自分を慰めるために元部下が差し入れてくれた本が『ロリコンポルノ』と呼ばれる小説だったのです。ぬほほほほほ!」

「はじめは抵抗がありましたが、初めて読んだ時の衝撃は、今でも覚えています!!。幼い女性の魅力や、処女の素晴らしさを確信したのです!!。それ以来、『自分の初めての相手は未成年の処女だ』と思うようになりました。そして、『いつか女子高生のパンチラを拝む』という誓いを立てて生きてきたのです。ぬほほほほほ!」

「しかし、軍の刑務所にいては、一生、童貞のままです。自分は、軍に謀反を起こして脱獄することを決意しました。そして、自分の謀反は成功しました。見事に、軍内部の秩序を崩壊させて、自分の罪も消滅しました。自由を手に入れたのです。変装として、自分は全裸に腰蓑姿になっていました。ぬほほほほほ!」

「神のお導きなのか、ある風の強い日、全裸に腰蓑姿で、たまたま歩いていた私立アバロン女学院高校の通学路で、一人の美しい女学生のパンチラを拝むことができたのでした。その姿は、まるで天使のように神聖で美しいものでした。見ただけで、自分は射精しておりましたよ。ぬほほほほほ!」

「そして、自分は、できるものならば、もう一度、あの美しい少女のスカートの中を覗いてみたいという思いでいっぱいになりました。そこで、自分は、全裸に腰蓑姿になり、私立アバロン女学院高校の通学路で仁王立ちして、パンチラ出現を待つことを人生の生業とすることに決めたのです!、ぬほほほほほ!」

僕は、「なるほど・・・。それが『パイナップル番長』の正体だったというわけですか・・・。」と納得していた。

パイナップル番長:「それからというもの、自分は毎日のように通学中に出没しては、女子生徒のスカートの裾を凝視し続けてきました。しかし、人生とは上手くいかないものです。パンチラが起こるような風の強い日は、全くありませんでした。ぬほほほほほ!」

パイナップル番長:「ぬほほほほほ!、そんなある日のことです。自分はいつも通り、女子校の前で仁王立ちしていると、突然、強風が吹きました。そして、目の前を美しい女子生徒が歩いてきました。そして、その時、自分は見たのです!彼女のスカートが捲れて、純白のパンティーが露わになったことを!!。」

「ぬほっーー!!!!、彼女の名前は、『小木 梢(おぎ こずえ)』と言いました。私は、彼女と結婚するつもりです。ですので、メスシリンダー二等兵殿、自分の邪魔をしないでくれるかな?!」

突然、パイナップル番長の目つきが変わった。

「いえ・・・。僕はあなたの結婚を妨害するつもりはないですよ。ただ、あなたが私立アバロン女学院高校の通学路に出没するのを辞めて欲しいだけです。そして、もう一度、軍の刑務所に戻っていただけないですか?」と僕は答えた。

「ぬほほ!!、何を言っているのですか!?、このメスシリンダー野郎め!、お前みたいな苦労も知らない若造が、このパイナップル番長に意見するつもりなのですかな?!!」と彼は叫んだ。

「話を聞かないなら、実力手段に出るまでですが?」と僕は言った。

「ぬほほ!、やってみなされ!返り討ちにしてくれるですぞ!。」と彼は言った。

僕は、戦闘態勢に入った。

そして、彼の顔面に向かって殴りかかった。

すると、彼は僕の拳を片手で受け止めると、「ぬほほ!弱い!弱すぎるぞ!。」と言った。

さすがは初老部隊の元部隊長だけのことはある。

「くそ!これならどうだ!」と、僕は叫びながら蹴りを繰り出したがパイナップル番長は余裕な表情を浮かべていた。

「ぬほほ!そんな攻撃では、自分を倒すことはできないですぞ!」と言いながら、彼は僕の足を掴んで放り投げた。

僕は、「ぐはっ!」と言いながら地面に叩きつけられた。

「ぬほほほほほ!、特殊部隊の訓練は受けているようですが、まだまだですな!。」とパイナップル番長は言いながら近づいてきた。

僕は、「うっ・・・。」と言いながら立ち上がり、「こうなったら、最終兵器を使うしかないな・・・。」と言った。

「なんですか? それは? 見せてみなさい!」とパイナップル番長は挑発してきた。

僕は、「これでも食らえ!」と言いながら、ポケットの中から手榴弾を取り出した。

パイナップル番長:「なに!手榴弾ですと!どこから出した?」とパイナップル番長は驚いていた。

僕は、「秘密です!」と言って、ピンを外して、パイナップル番長に投げつけた。

パイナップル番長:「ぬはーー!!、危ない!、避けなければ!」と言いながら彼は横に飛び退いた。

爆発音が鳴り響き、辺りは煙に包まれた。

「やったか?」と僕は呟いた。

しばらく時間が経ったが、何も起こらないので、「よし!勝ったぞ!」と僕は思った。

すると、後ろから「ぬはーー!!、メスシリンダー殿!、よくもやってくれたな!、ご先祖様からいただいた大切な自宅が木っ端微塵になったじゃないか!!」と声が聞こえたので振り向いた。

すると、そこには無傷のパイナップル番長がいた。

「え!?、なんで?、どうして生きているの?」と僕は驚いた。

「ぬほっ!なぜだと思う?、教えてあげましょうか?、実は、手榴弾の爆風をチンポの包皮で防いだんだよ!。」とパイナップル番長は自慢げに語った。

「なるほど・・・。そうだったのか・・・。パイナップル番長が極度の包茎だったとは・・・」と僕は呟いた。

パイナップル番長は、「これで、終わりですな。メスシリンダー殿!!。」と言って、僕に襲いかかってきた。

「仕方がない・・・。奥の手だ!」と僕は叫んで、ポケットの中に手を入れた。そして、「喰らえ!」と言って、中からスタンガンを出した。

パイナップル番長は「無駄ですぞ!そんなものが効くわけないでしょうが!!!」と言った。

「どうかな・・・」と僕は答えた。

「くらえー!!!」と僕は叫びながら、パイナップル番長の腹部にスタンガンを押し当てた。

「バチッ!」と大きな音と共に激しい電撃が走った。

「ぬひーー!!、うギャァァァ!」と悲鳴をあげながら、彼は倒れた。

「やったか?」と僕は呟いた。

すると、すぐにパイナップル番長が起き上がった。

「やばいほどに痛かったですけど・・・。全然、大丈夫です!」と無傷のパイナップル番長は言った。

「え!?、嘘でしょう・・・。こんなに強力な特殊部隊専用の電気ショックなのに・・・。」と僕は驚いていた。


「まだやりますか?」と彼は聞いてきたので、僕は「もちろんです!」と答えた。

すると、パイナップル番長は「それじゃあ、第二ラウンド開始ですね・・・」と言って、再び襲い掛かって来た。

僕も覚悟を決めて、戦い始めた。実は、上官から貰った対パイナップル番長用の兵器があったのだ。

それは、何故だか『チクワブ』だったので、今まで使用しなかった。

しかし、敗戦濃厚の今では、もう、上官を信じて、このチクワブを使うしかないと覚悟を決めた。

「喰らえ!、これが僕の最終兵器だ!!!。」

そう叫ぶと同時に、僕はチクワブをパイナップル番長の巨大な口に突っ込んだ。

途端、「グホッ……」と言って、パイナップル番長は気絶した。

やはり、パイナップル番長はチクワブを苦手としているということは本当だったんだ。

そして、僕は、パイナップル番長の身柄を拘束した。後は、軍の応援を呼んで引き渡すだけだ。

そう思ったのだが・・・。


しかし、ここで問題が発生した。

そう・・・、肝心の無線機や携帯電話を家に忘れてしまったことに気が付いたのだ。

僕は焦った。

今から家に戻る時間など無いし、パイナップル番長を置いていくわけにもいかないし・・・。

とりあえず、僕は、パイナップル番長を放置して、いったんは自宅に戻ろうと決心した。


しかし、そんな時、運良く、所属する軍隊の将校が現れたのであった。

将校は、「おや?メスシリンダー二等兵!、よくやった。裏切り者のパイナップル番長を捕らえることができたぞ!」と、嬉しそうな声で言った。

「はい。」と僕は返事をした。

「ところで、メスシリンダー二等兵は、何を持っているのだ?」と将校は尋ねた。

「ああ、これは、パイナップル番長が苦手とするチクワブですよ。」と僕は説明した。

「なるほど。そういうことか・・・。」と将校は納得していた。

「ところで、メスシリンダー二等兵、おまえは童貞なのか?、もし童貞ならば、お前を 次の初老部隊の隊長に任命してやる!」と将校が言ってきた。

「え?、初老部隊ですか?、その部隊は、確か、年齢制限があるはずでは?」と僕は質問した。

「実は、私が裏で手を回して、年齢制限を撤廃したのだ。」と将校が答えた。

「なるほど・・・。恥ずかしながら、僕は童貞です。」と僕は正直に告白した。


途端、とてつもない爆音が生じた。


パイナップル番長が起き上がったのだ。


パイナップル番長は「童貞isマイフレンド!!!」、そう叫びながら・・・。


「うわぁ!。」と僕は叫んだ。

パイナップル番長:「さっきはよくもやってくれましたね!。」

「くそ!起き上がりおったか!」と将校は言った。

パイナップル番長:「メスシリンダー殿、童貞同士は親友も同じですぞ。ぬほほほほほ!ところで、コルヴェール将校よ、おまえは妻がいたよな?」と彼は聞いた。

「そりゃ、この年だから、当然にヤリチンだ!」と将校は答えた。

「ヤリチンは、世界の敵だ!、自分をはめて、刑務所に入れた黒幕は、コルヴェール将校、おまえだろう? ぬほほほほほ!」パイナップル番長は確信をもって尋ねた。

「わははははっ!!、そうだ!、私は、おまえを陥れた張本人だ!」と将校はあっさり認めた。

「やっぱり、そうだったのか・・・。」とパイナップル番長は納得していた。

「では、この場で仕返しをしてやりましょう!、ぬほほほほほ!、コルヴェール将校よ、かかってきなさい!」と、パイナップル番長は挑発してきた。

「面白い!返り討ちにしてくれる!」と将校は言って、パイナップル番長に殴りかかった。

パイナップル番長は、「甘い!ぬほほ!、偉くなって体が鈍っているようですな」と笑いながら、彼の拳を片手で受け止めた。

「しまった!。」と、コルヴェール将校は叫んだ。

パイナップル番長:「ぬほほ!喰らえ!」と言って、パイナップル番長は将校に強烈な膝蹴りを喰らわせた。

コルヴェール将校は、「ぐほぉ!」と言って倒れた。

「うわっ!、なんてことだ!」と僕は叫んだ。

「まだまだ!、ぬほほ!」とパイナップル番長は言いながら、さらに攻撃を加えた。

「ぬほほ!、ぬほほ!、ぬほほ!、ぬほほ!、ぬほほ!」と彼は何度も攻撃を繰り返した。

「まずい!このままではコルヴェール将校が死んでしまう・・・・。もう勘弁してあげてください!!!」と僕は叫んだ。

すると、パイナップル番長がこちらに視線を向けた。

「ぬほほほほほ!、これくらいで、私利私欲に目がくらんでいるコルヴェール将校のことを許してやるか。それはそうと、メスシリンダー殿、どちらに正義があるのか、自分で考えなさい!」とパイナップル番長は言った。

「え?どういう意味だ?」と僕は首を傾げた。

「では、さらばだ!、ぬほっ!」と言いながら、パイナップル番長は姿を消した。

僕は、しばらく考えてみたが、この国の軍部の上官たちは、裏で莫大な利権を得ているとの噂を思い出した。


そして、僕は、ある結論に達したのであった・・・。


そう・・・、軍部こそが、悪者だったのだ。


おそらく、パイナップル番長は、軍部の裏の利権を暴露するために活動を起こし、刑務所に入れられていたんだろう。


そう思うと、自分も軍人を続けるべきなのか迷いが生じてきた。


だが、迷っていても仕方がないと思い、僕は軍を辞めて、キウイ校長にお願いしてにアバロン女学院高等学校の保健体育の教員として就職することにした。



これからは、教員として、女学生を守るために、パイナップル番長と対峙することになるだろう。僕の戦いはまだ始まったばかりなのだ。もちろん、股間にはチクワブを装着してある・・・



―――  完  ―――


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。また、性的嗜好や差別を助長させる目的で書かれたものではありません。
(注:この文章を読んでいるあなたの世界にも、あなたにしか見えないパイナップル番長が存在し、また、どこの世界にも必ずパイナップル番長は存在するのです。)


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