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第十章

10-10 いざ!クローヌへ

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 朝になり、自分の寝室に戻る。
 昨晩からレルネさんも個人用の部屋ができ、そこで寝るようになった。
俺はコーヒープリンをお供えにしてラウェン様とセネカ様に祈る…。

『おはようございます。ニノマエさん。』
『おはようございます、セネカ様。今日は朝からすみません。』
『いいえ、私達には朝も夜も関係ありませんから。』
『今日はコーヒープリンというデザートを持ってきました。』
『ありがとうございます。できれば普通のプリンも欲しかったですね。』
『あ、すみません。後でお供えしますね。』
『ふふ、ありがとうございます。私達もどうしてもニノマエさんに甘えてしまうんですね。』
『神様もなんですね。』
『神様だからだと思います。
私達はすべてできるとは限りません。それにニノマエさんのように、皆を笑顔にしていく姿を見ていると、あなたがもっともっといろんなことをしてほしいと期待してしまうんです。』
『あまり期待しないでくださいね。俺は俺のやり方でしか動けませんので。』
『それでも期待してしまうんです。それにお食事も美味しいです。』
『ありがとうございます。また食べ比べとかしてみますか?』
『そうですね。他の柱も期待していますからね。』
『そう言えば、火山帯へ行くんですが、またとんでもない事件とかは発生しませんよね。』
『それはニノマエさん次第ですね。
 なにかそういう縁のようなものに引き寄せられて来るヒトは多くいますから。』
『そうなんですか? でもそろそろ体力的にも無理のような感じがしています。』
『ふふ。齢の事でしょうか?それとも違うものでしょうか?』
『齢もそうですけど、なんか神様に話すような内容ではないですね。』
『ふふ。良いんですよ。それも解消していきますので。』
『へ?もしかして…』
『そうですね。そろそろ効果が出る頃だと思うのですが…。』
『変なモノでも盛られましたか?』
『そうではありませんよ。
ふふ。彼女たちをもっと大切にしてあげてください。そのためのモノですよ。』
『絶倫とか要りませんからね。』
『それは付けていませんからご安心を。その代わりにふふ…、内緒ですわ。』
『何か変なの付けてませんよね。』
『はい。付けてません(だって、私も体験したいくらいですから)。』
『あ、そうだ。今日あたりから火山帯の街に行って来ようと思います。しばらく留守にしますが、よろしくお願いしますね。』
『はい、いってらっしゃい。
そうですね、5日で帰ってきてくださいね。そうしないとニノマエさんの出張を終える扉を違う場所で設置しなければいけなくなりますので…。
別の場所に設置するとなると、少々力が必要となりますので。』
『そうなんですか。では、それじゃ5日で帰ってきます。』

 扉をいろんな場所に作ることが難しいんだ…。

『では、ディートリヒ、ナズナ、ベリル、ニコルの5人で行ってきますね。』
『あ、できればアイナさんとミリーさんも連れて行ってあげてください。
 何か出会いの予感がしますので。』
『もしかして、伴侶とかそういう話になるんでしょうか…。』
『それは、ニノマエさんが既にお決めになっていますよ。
 ニノマエさんの心にあるもの。それもいつかはクリアになりますからね。
それを実践なされば良いのではないでしょうか。それに、他の皆さんは既に受け入れていますから。』
『そうですか…、俺だけが決めかねていたという事だったんですね。』
『そうですね。迷うことはありません。
彼女たちは彼女たちの愛したい方法であなたを愛していくでしょう。
それに応えてあげることも大切だと思います。』
『分かりました。俺、全員を笑顔にしてみせます。』
『その意気ですよ。そうすれば後2,3人くらい大丈夫ですからね。』
『へ?』
『冗談ですよ。では、いってらっしゃいませ。プリンの事忘れないでくださいね。』

 コンタクトする度に女性の人数が増えてくるのは何故なんだ?
まぁ、そんな事よりも、先ずはプリン。
リビングに下り、プリンを持ってお供えした。

 朝食はディートリヒとナズナで作ってくれたようだ。
感謝感謝だ。

「えと、今日から火山帯にあるクローヌに行こうと思っている。
 そうだな、5日以内には戻って来たいな。
そこで、行けるメンバーをと考えているんだが、ディートリヒ、ナズナ、ベリル、アイナ、ミリー、ニコルの7人で行こうと思うんだが、どうだろう?」
「カズ様、御者が2名というのは良いことですね。」
「お館様、ここからクローヌまでは20㎞ほどです。私達6名の分担はどのようにいたしますか?」
「あの辺りは鉱山の跡があるって事はドワさんが居ると思うからアイナが案内役兼御者だな。
ナズナは周辺の調査、ニコルは道中で鑑定を覚えてミリーと一緒に探索をする。ディートリヒとベリルは俺の護衛という事になるかな。」
「分かりました。では、道中は私が先行して調査しましょう。」
「いや、それには及ばないよ。
 ナズナも働きづめだから、少し馬車の中で休んでいればいいよ。
 いざとなったらお願いするからね。」
「はい!ありがとうございます。」

 うん、良い笑顔だよ。

「ミリーとニコルは遠征が初めてになるけど、余り難しく考えなくていいからね。
 それと馬車の中で、少し魔法を勉強してもらうから。」
「分かりました。」

「レルネさんとスピネルは、申し訳ないけどお留守番をお願いしたい。
石鹸としゃんぷりんの生産は二人しかできないし、ミリーも今回の遠征で魔法を覚えるから、それまで待ってほしい。」
「主様、私は全然問題ありません。むしろ、研究室でいろんな研究ができることが楽しくてなりませんし、昨晩は姉様と二人で愛してくださいましたから、主様の力が私の中でいっぱいですからね。」
「ふふ。若い事は良い事じゃの。
 イチよ、留守は任せておけ。それとジョスとかいう奴の作業も数日で終わるんじゃろ?
 そのあたりも見ておくから問題はないぞ。」
「ありがとうございます。
あ、それと、そろそろアデリンさんたちがビーイから来る頃かもしれませんので、別館の2,3階で好きな部屋を使ってくださいと伝えておいてください。」
「イチよ。そちも酔狂じゃの。
ヒトにハイエルフ、ダークエルフ、ハーフエルフ、ドワーフに妖狐族、さらに竜人族まで。次は何族を従えてくるのか楽しみで仕方ないの。」
「従えるなんて、そんな事はしませんよ。皆で仲良く笑顔で生活できればいいんですからね。
あ、スピネルさん、もし料理する時間がなければ、レルネさんも連れて琥珀亭に行って食べてくださいね。ヤットさんもラットさんもいますから。」
「主様、分かりました。」

 スピネルに琥珀亭に料理分として大銀貨10枚を渡しておく。
アイナとニコルは馬を借りに馬屋に行っている。

馬車の準備をし、ヤットさんラットさんに5日間出かけることを伝えて置き、メシは琥珀亭で十分食ってくれと伝えておいた。

「さて、今回のお馬さんの名前は何ですか?」
「はい…、オグリンとナリタンになりました…。」
「ニコルの意見か…。」
「はい…。私がじゃんけんで負けて…。」

 この世界でも、じゃんけんってあるんだよな…。
 
「で、3頭目からはメジロンとかマチカネ何とかとか?」

 もしかしてキタ〇ンブラックとかも名づけるんだろうかね?

「え、何で知ってるんですか?キング〇イローとか、トウ〇イ〇イオーとか言ってましたが。」

 ニコルさん、あんた転生者か何かだな?
でも、そんな事神様言ってなかったけど…。

 馬車の牽引棒に馬を軛(くびき)に付け出発する。
いつものように、御者席にアイナとナズナ、後部席にベリルが座り、馬車の中には俺とディートリヒ、ミリーとニコルが座り出発する。

 馬車の中では魔法の勉強が始まる。
マナの移動を復習し、自身のできる魔法を確認していく。
ミリーは錬金関係の魔法が強くなってきた。抽出、分離、集合もできるようだ。鑑定も出来ている。
ニコルは元が回復師なので、そっち系が強い。彼女に鑑定を教えていく。
ディートリヒも鑑定を学ぼうとしている。

 だが、2人の鑑定はなかなかうまくいかない。
何か具体的なものを鑑定すればできるのかと思い、少し試してみる。

「ディートリヒ、ニコル、ここに二つのダガーがある。この2つのうち俺が肌身離さず持っているダガーはどちらでしょう。」
「そんなの簡単です。こちらです。」

ディートリヒはすぐに当てることができた。

「では、何故こっちが俺のだと分かったの?」
「それは、カズ様のマナを感じますので。」
「うん。それが鑑定の第一歩なんだよ。」
「へ?」
「生き物だってモノだってマナが流れているから、そのマナを感じることができるようになればそれが何かが分かるようになるんだよ。」

「魔法をかければ、全部見えるようになる訳ではないんですか?」
「え、俺、鑑定に魔法なんてかけてるんだろうか?」
「へ(へ)?」

 二人があんぐりしてる…。
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