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435 お仕置き明けて激オコなノア
しおりを挟むアークのお仕置きお籠もりが終わった次の日。
終わった直後はノアは爆睡していて全く何も気付かなかったが、どうやら一度、獣人国と話し合いの場を設けたらしい。
それで軽く話を聞けば、精霊王とフェンリルも何やら関係していて、ノア達が籠もっている間に色々やらかしていたようで・・・。
「---で? エレフは古の森に自主的に謹慎中で、ヴァンに至ってはまだ獣人国だと・・・?」
「---まあ、概ねソレであってるな」
ノアの低い声にアークが苦笑して応える。
アークもウラノス達から話を聞いたときは思わず『ア”ア”ン?!』と地を這うような声を出したモノだ。
精霊王はまだ良いとしても、ヴァンは怒られたくなくて帰ってこないのか単に忘れて遊んでいるのか・・・。
うーん、どちらも有り得る。
「・・・ヴァンはひとまず放っといていいや。あとでご飯抜きだな。ソレで義父様、一応俺が獣人国に行くのは断ったんだよね?」
「ああそうだね。ソレでもノアはポーションくらいは作ると言ったから、メーレ王妃の容態を聞こうとしたらちょうど精霊王が向こうの精霊に頼んで記録してきてくれて・・・。見るかい? 見たらたぶん、放って置けなくなると思うけど・・・」
ウラノスが心配そうにそう告げる。
その前のヴァンの事には全く触れずに。
その事にアークもレーゲン達も触れずに頷いた。
---ヴァンのご飯抜きは決定事項である。
ノアは軽く頷いて言った。
「どのみちここまで首を突っ込んだんだ。薬師としてとことんやれることはやるつもり。ソレが薬師だし、俺には錬金術もある。相手がどうしようも無いクズだったら、ちょっと悩むかもしれないけど」
「悩むのちょっとなんだ?」
ノアの言葉にアークが思わずツッコむ。
ソレに苦笑して応えるノア。
「うーん、うん。その時は直してから、正当な罰を受けてもらうけどね。悪いことしたのに償いをしないで簡単に死に逃げちゃいけないと思うし」
「・・・そうだね。まあ、メーレ王妃はそんな極悪人じゃ無いと思うよ。じゃあ、記録媒体の魔導具で再生しよう」
ウラノスがレーゲンに再生を頼むと、ノアとアークがソレをジッと見つめた。
実はアークもこの映像を見るのは今が初めてである。
話だけはザッと聞いたが、先入観を持たないようにノアと見ると決めていた。
---そして見始めるとノアは瞬時に薬師としての目付きになり、一つも見逃さないように凝視していた。
アークも映像の情報から何か得られないかと黙って見ていた。
やがて映像を見終えたノアは、険しい表情を浮かべたまま言った。
「---何の毒かは映像では分からないけど、このままだと、俺のポーションでも長くは保たない・・・。ポーションでは体力は回復しないから、王妃様はギリギリ限界だと思う」
「・・・・・・やはり毒を盛られていたか」
「うん。あの熱はおそらく毒を排除するために身体が過剰反応を起こしているせい。たぶん定期的に毒を盛られていて、引っ切りなしに熱を出すから体力が削られて更に毒に冒されやすくなる・・・・・・悪循環だね」
ウラノスにそう告げるノア。
更に自分の見解を続ける。
「元々、王侯貴族って小さい時から色んな毒に耐性をつけるんでしょ? 王妃様だって当然。なのにこんなに苦しんでるって事は、今まで身体に入ったことの無い新しい毒って事だよね。ソレに俺のポーションでは消しきれないくらいって事は、俺も知らない薬草で作られたことになる。---となると、やっぱり古の森に自生してるのかな?」
---精霊王が謹慎中っていうのはコレのせいか。
自分のところの薬草が原因の可能性に気付いたのか。
「---はあ。エレフをかなり扱き使うけど良いよね?」
詳しい話とやらかしていた事への叱責はあとにして、まずはメーレ王妃の方だ。
「ソレは全然構わないけど・・・・・・何するんだい?」
精霊王の扱いはともかく、ちょっとノアのこの後の行動が読めなくて心配なウラノスはノアに確認をした。
ノアはキョトンとしたあとアークを見てからウラノス達を見てにっこり笑って言った。
「もちろん、コレからメーレ王妃様を攫いに行きます」
---アークを始め、大公家の全員が悟った。
ノアは静かに、でもかなり怒っている。
獣人国も精霊王もヤバいかもしれない。
「・・・・・・頼むから流血沙汰や人死には出さないでね?」
ウラノスはそう言うしかできなかった。
※静かに激オコのノアさん。ぷっつんキレかけてます。
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