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第23話 眠れる「何か」?
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学校生活では様々な誘惑がある。
週末に野球ばかりしていると女の子と遊ぶ時間すらない。
流行りの遊びにもついていけない。
それでもエースを目指すのか?
金曜日の授業が終わり、祐輝は家に向かっている。
「祐輝ー!」
「どうしたの?」
「もうすぐテストだけど理科と数学大丈夫?」
「どうでもいいよ。」
「野球で高校行くから?」
それは定められた未来。
祐輝は高校へ野球で進学するつもりだった。
中学1年生から定めた進路。
しっかりとエースとして躍動できれば実現する未来だ。
そのためには遊びも恋愛もしていられない。
ミズキが心配そうに話しているが興味なさそうに家に向かっている。
「待ってよー!」
「家こっちじゃないだろ。 試験勉強しないとだぞ。 俺の事心配してくれるのは嬉しいけど歴史がまた間違ってるぞ。 二代将軍は徳川秀忠だぞ。 家光は三代将軍だ。」
「だってー。 みんな名前似てるしさー。」
唇を尖らせているミズキを見てニコリと微笑んでいる。
スタスタと歩いていく祐輝の後ろをついてくるミズキだったが祐輝は興味なさそうに家に向かっている。
そして家に着くとミズキを見る。
「何してんの?」
「だから勉強しないの?」
「今からランニングする。 公園で壁当てもしないと。」
「壁当て?」
大きな壁に向かってボールを投げる事だが、キャッチャーがいればする必要はないが祐輝は人を誘う事があまり好きじゃなかった。
1人で壁当てをしている事が多かった。
そしてランニングをして体を温めてから壁当てをする事が日課だった。
着替えてランニング準備をしているがミズキは帰らずに待っていた。
「え?」
「ふっふーん! 実はねー自転車隠してあるのー。」
「優等生でも不正行為するんだね。 チャリ通は禁止だぞー。」
「いいのいいのー。 最近暑いしさー。」
「じゃあ俺のグローブとボール持ってくれ。」
ミズキが小さい公園に隠してあった自転車を持ってくると祐輝は道具をカゴに入れて走り出した。
祐輝の横を自転車で並走するミズキは何処か嬉しそうだった。
「なんかマネージャーみたいじゃない?」
「はあ・・・はあ・・・三代将軍は?」
「えっとー。 家光! じゃあ理科の実験で使う道具を何か1つ言ってみてください!」
「はあ・・・はあ・・・リトマス試験紙・・・じゃあ1600年に起きた戦いは?」
「えーっとー。 長篠!」
「違う・・・はあ・・・はあ・・・」
互いに問題を出し合いながらランニングをしている。
やがて公園に着くと祐輝はストレッチをして壁当ての準備を始めた。
ミズキはそれでも楽しそうに問題を出していた。
「わかんないなあ。」
「もっと理科も勉強しないとダメだよー?」
「だって将来必要ないもん。」
「またそんな事言ってー。」
「あれー? 祐輝とミズキじゃん? お前ら付き合ったの?」
久しく聞かない声に振り返る2人。
タバコを吸いながら近づいてくる少年は小学校の時に一度助けた弘人だった。
すっかり不良になっている。
3人ほど不良を連れて話しかけてきた。
「ミズキ帰ろう。」
「え?」
「おいおい久しぶりの再会なのになんだよ? お前ら付き合ってんの?」
「え? いや・・・えっとー。」
「付き合ってるよ。 文句あんの?」
ミズキはたまらず赤面して下を向いている。
弘人と不良は祐輝を囲んでいる。
そしてミズキの腕を掴んでいる。
「野球なんて辞めて俺らとつるもうぜ。 ほらミズキも来いよ。」
弘人からすれば祐輝の事は嫌いではなかった。
勝からのいじめも助けてくれた。
しかし祐輝は弘人が嫌いだった。
ミズキの腕を引っ張る弘人を見た途端、祐輝の中で眠る「何か」が目を覚ましかけた。
弘人を殴り飛ばすと残りの不良達を殴り始めた。
1人が逃げ出すと弘人達も逃げようとしたが祐輝は弘人の胸ぐらを掴んだまま離さない。
そして胸元をドンっと押すと電柱に背中をぶつけて崩れ落ちた。
祐輝はトドメと言わんばかりに弘人の腹部を蹴った。
「祐輝ダメだよ!!!」
「あっ。 ミズキ帰ろう。」
「どうしたの? 大丈夫?」
「大丈夫。」
温厚な祐輝は何かをきっかけに我を失ってしまう事があった。
これも不良への誘惑なのか?
それとも・・・
週末に野球ばかりしていると女の子と遊ぶ時間すらない。
流行りの遊びにもついていけない。
それでもエースを目指すのか?
金曜日の授業が終わり、祐輝は家に向かっている。
「祐輝ー!」
「どうしたの?」
「もうすぐテストだけど理科と数学大丈夫?」
「どうでもいいよ。」
「野球で高校行くから?」
それは定められた未来。
祐輝は高校へ野球で進学するつもりだった。
中学1年生から定めた進路。
しっかりとエースとして躍動できれば実現する未来だ。
そのためには遊びも恋愛もしていられない。
ミズキが心配そうに話しているが興味なさそうに家に向かっている。
「待ってよー!」
「家こっちじゃないだろ。 試験勉強しないとだぞ。 俺の事心配してくれるのは嬉しいけど歴史がまた間違ってるぞ。 二代将軍は徳川秀忠だぞ。 家光は三代将軍だ。」
「だってー。 みんな名前似てるしさー。」
唇を尖らせているミズキを見てニコリと微笑んでいる。
スタスタと歩いていく祐輝の後ろをついてくるミズキだったが祐輝は興味なさそうに家に向かっている。
そして家に着くとミズキを見る。
「何してんの?」
「だから勉強しないの?」
「今からランニングする。 公園で壁当てもしないと。」
「壁当て?」
大きな壁に向かってボールを投げる事だが、キャッチャーがいればする必要はないが祐輝は人を誘う事があまり好きじゃなかった。
1人で壁当てをしている事が多かった。
そしてランニングをして体を温めてから壁当てをする事が日課だった。
着替えてランニング準備をしているがミズキは帰らずに待っていた。
「え?」
「ふっふーん! 実はねー自転車隠してあるのー。」
「優等生でも不正行為するんだね。 チャリ通は禁止だぞー。」
「いいのいいのー。 最近暑いしさー。」
「じゃあ俺のグローブとボール持ってくれ。」
ミズキが小さい公園に隠してあった自転車を持ってくると祐輝は道具をカゴに入れて走り出した。
祐輝の横を自転車で並走するミズキは何処か嬉しそうだった。
「なんかマネージャーみたいじゃない?」
「はあ・・・はあ・・・三代将軍は?」
「えっとー。 家光! じゃあ理科の実験で使う道具を何か1つ言ってみてください!」
「はあ・・・はあ・・・リトマス試験紙・・・じゃあ1600年に起きた戦いは?」
「えーっとー。 長篠!」
「違う・・・はあ・・・はあ・・・」
互いに問題を出し合いながらランニングをしている。
やがて公園に着くと祐輝はストレッチをして壁当ての準備を始めた。
ミズキはそれでも楽しそうに問題を出していた。
「わかんないなあ。」
「もっと理科も勉強しないとダメだよー?」
「だって将来必要ないもん。」
「またそんな事言ってー。」
「あれー? 祐輝とミズキじゃん? お前ら付き合ったの?」
久しく聞かない声に振り返る2人。
タバコを吸いながら近づいてくる少年は小学校の時に一度助けた弘人だった。
すっかり不良になっている。
3人ほど不良を連れて話しかけてきた。
「ミズキ帰ろう。」
「え?」
「おいおい久しぶりの再会なのになんだよ? お前ら付き合ってんの?」
「え? いや・・・えっとー。」
「付き合ってるよ。 文句あんの?」
ミズキはたまらず赤面して下を向いている。
弘人と不良は祐輝を囲んでいる。
そしてミズキの腕を掴んでいる。
「野球なんて辞めて俺らとつるもうぜ。 ほらミズキも来いよ。」
弘人からすれば祐輝の事は嫌いではなかった。
勝からのいじめも助けてくれた。
しかし祐輝は弘人が嫌いだった。
ミズキの腕を引っ張る弘人を見た途端、祐輝の中で眠る「何か」が目を覚ましかけた。
弘人を殴り飛ばすと残りの不良達を殴り始めた。
1人が逃げ出すと弘人達も逃げようとしたが祐輝は弘人の胸ぐらを掴んだまま離さない。
そして胸元をドンっと押すと電柱に背中をぶつけて崩れ落ちた。
祐輝はトドメと言わんばかりに弘人の腹部を蹴った。
「祐輝ダメだよ!!!」
「あっ。 ミズキ帰ろう。」
「どうしたの? 大丈夫?」
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温厚な祐輝は何かをきっかけに我を失ってしまう事があった。
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それとも・・・
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