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第24話 期待のルーキー
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学校生活では不良の誘惑が止まらないが、エースとして成長するという気持ちも崩れていなかった。
実際に学校が終わるとランニングをして壁当てを繰り返していた。
しかし祐輝を不良界は放ってはおかなかった。
いつもの様に公園で練習していると祐輝の周りに不良が集まってくる。
「よう。」
「・・・・・・」
「この前弘人をボコしてくれたらしいな?」
「・・・・・・」
「てめえ野球なんてやってんじゃねえよ!!!」
無視して壁当てをしていると祐輝が投げたボールを奪った。
そして祐輝に向かって投げた。
腹部に当たり痛そうに顔を歪めていると祐輝の体を2人の不良が羽交い締めにした。
動けなくなった祐輝を殴ろうとした時だった。
またしても眠っている「何か」が目覚めかけた。
羽交い締めにする1人を背負投の様に投げると振り返ってもう1人の顔を殴った。
そして最初にボールを当ててきた不良の胸ぐらを掴むと壁に押さえつけた。
我を失ったかの様に無表情で壁に不良の顔を何度もぶつけている。
「祐輝ー!!!!」
「あっ。」
「お願いだから止めて!!!」
「ごめんね。 帰るわ。」
3人の不良をあっという間に倒すとミズキが止めに来た。
ミズキはこの間の様にマネージャーの真似事をしたかっただけだった。
我に返った祐輝はランニングで家に帰った。
そして家に入ろうとするとスーツ姿の男性が声をかけてきた。
「ここの息子さんでしたか。 お父さんは立派な社長さんだ。」
「誰ですか?」
「いいえ大したもんではないですよ。 東王会の恩田と言いましてね。 いやあ喧嘩がお強いあなたを会としては必要としてましてね。 高校進学せずにうちに来てはくださらないですかね?」
「野球やってるんで。 失礼します。」
「いつか良いお返事聞かせてくださいね!」
恩田と名乗るスーツ姿の男は強面だったが愛想のいい男性だった。
東王会とは?
祐輝は家に戻って母親の真美に尋ねた。
「冗談でしょあんた・・・」
「なにそれ?」
「有名なヤクザよ・・・あんたが喧嘩ばかりしているからよ・・・お願いだから暴力は止めて・・・」
「でも向こうが先にやってきたんだよ。」
「逃げなさい。 喧嘩で怪我したら野球できなくなるよ・・・頑張ってるのにもったいないでしょ・・・」
祐輝の喧嘩の強さは不良界で期待の新人とされていた。
ヤクザが勧誘に来るほどに。
それほど中学1年生とは思えない強さだった。
真美は悲しそうに祐輝のグローブを見つめている。
このグローブは真美が祐輝のたまに貯めていた貯金から買ったものだ。
貯金だけでは野球は続けられないので真美はパートも始めていた。
もう40代だ。
金持ちの夫がいるのに40代でパートをしなくてはならない。
それがどれだけ愛する息子を思う事なのかまだ祐輝にはわからなかった。
悲しそうにする真美に祐輝は何も言わなかった。
そして部屋に戻ろうとした。
「待ちなさい! 喧嘩しないって約束して。」
「それはできない。 逃げるなんて女のする事だよ。 母ちゃんは女だから逃げればいい。 でも俺は男だからね。 喧嘩売られたら戦うよ。」
ドアを閉めて祐輝は出てこなかった。
真美は泣き崩れている。
丁度祐輝の年齢だと反抗期から思春期へと変わる時期だった。
母親に素直になれないし、ヤンチャな年頃だった。
喧嘩をせずに逃げる事が自分を結果として守る事になるとは思えなかった。
桁外れに強いにも関わらずその武力を見せつけるかの様に暴れていた。
祐輝は強くないのかもしれない。
本当の「強さ」をまだ知らなかった。
14歳の少年は絶賛中二病だ。
こんな時に男親がガツンと強い男とは何か教えるべきなのかもしれない。
しかし祐輝には父親がいない様なものだった。
祐一の持つ自社ビルに暮らしているが祐輝と真美と千尋は6階に暮らし祐一は1人で7階に籠っていた。
不良になりかけている少年を変える事は母親だけでは不可能なのか?
実際に学校が終わるとランニングをして壁当てを繰り返していた。
しかし祐輝を不良界は放ってはおかなかった。
いつもの様に公園で練習していると祐輝の周りに不良が集まってくる。
「よう。」
「・・・・・・」
「この前弘人をボコしてくれたらしいな?」
「・・・・・・」
「てめえ野球なんてやってんじゃねえよ!!!」
無視して壁当てをしていると祐輝が投げたボールを奪った。
そして祐輝に向かって投げた。
腹部に当たり痛そうに顔を歪めていると祐輝の体を2人の不良が羽交い締めにした。
動けなくなった祐輝を殴ろうとした時だった。
またしても眠っている「何か」が目覚めかけた。
羽交い締めにする1人を背負投の様に投げると振り返ってもう1人の顔を殴った。
そして最初にボールを当ててきた不良の胸ぐらを掴むと壁に押さえつけた。
我を失ったかの様に無表情で壁に不良の顔を何度もぶつけている。
「祐輝ー!!!!」
「あっ。」
「お願いだから止めて!!!」
「ごめんね。 帰るわ。」
3人の不良をあっという間に倒すとミズキが止めに来た。
ミズキはこの間の様にマネージャーの真似事をしたかっただけだった。
我に返った祐輝はランニングで家に帰った。
そして家に入ろうとするとスーツ姿の男性が声をかけてきた。
「ここの息子さんでしたか。 お父さんは立派な社長さんだ。」
「誰ですか?」
「いいえ大したもんではないですよ。 東王会の恩田と言いましてね。 いやあ喧嘩がお強いあなたを会としては必要としてましてね。 高校進学せずにうちに来てはくださらないですかね?」
「野球やってるんで。 失礼します。」
「いつか良いお返事聞かせてくださいね!」
恩田と名乗るスーツ姿の男は強面だったが愛想のいい男性だった。
東王会とは?
祐輝は家に戻って母親の真美に尋ねた。
「冗談でしょあんた・・・」
「なにそれ?」
「有名なヤクザよ・・・あんたが喧嘩ばかりしているからよ・・・お願いだから暴力は止めて・・・」
「でも向こうが先にやってきたんだよ。」
「逃げなさい。 喧嘩で怪我したら野球できなくなるよ・・・頑張ってるのにもったいないでしょ・・・」
祐輝の喧嘩の強さは不良界で期待の新人とされていた。
ヤクザが勧誘に来るほどに。
それほど中学1年生とは思えない強さだった。
真美は悲しそうに祐輝のグローブを見つめている。
このグローブは真美が祐輝のたまに貯めていた貯金から買ったものだ。
貯金だけでは野球は続けられないので真美はパートも始めていた。
もう40代だ。
金持ちの夫がいるのに40代でパートをしなくてはならない。
それがどれだけ愛する息子を思う事なのかまだ祐輝にはわからなかった。
悲しそうにする真美に祐輝は何も言わなかった。
そして部屋に戻ろうとした。
「待ちなさい! 喧嘩しないって約束して。」
「それはできない。 逃げるなんて女のする事だよ。 母ちゃんは女だから逃げればいい。 でも俺は男だからね。 喧嘩売られたら戦うよ。」
ドアを閉めて祐輝は出てこなかった。
真美は泣き崩れている。
丁度祐輝の年齢だと反抗期から思春期へと変わる時期だった。
母親に素直になれないし、ヤンチャな年頃だった。
喧嘩をせずに逃げる事が自分を結果として守る事になるとは思えなかった。
桁外れに強いにも関わらずその武力を見せつけるかの様に暴れていた。
祐輝は強くないのかもしれない。
本当の「強さ」をまだ知らなかった。
14歳の少年は絶賛中二病だ。
こんな時に男親がガツンと強い男とは何か教えるべきなのかもしれない。
しかし祐輝には父親がいない様なものだった。
祐一の持つ自社ビルに暮らしているが祐輝と真美と千尋は6階に暮らし祐一は1人で7階に籠っていた。
不良になりかけている少年を変える事は母親だけでは不可能なのか?
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