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第5章 クラーレスカ正教国の聖女
第5章第025話 信仰に必要な物
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第5章第025話 信仰に必要な物
・Side:ツキシマ・レイコ
さて。正教国への進軍するレイコ部隊一行、五人と二匹と三頭です。
騎乗しているリシャーフさんらが移動速度の基準ですので、馬車よりは速い程度です。途中の街では一泊ましたよ。
カステラード殿下から細かい金貨銀貨を結構いただいてきましたので、そこそこ良い部屋が取れました。まぁ女性だけなので安宿という訳にはいきません。…お金はあとで清算はしなくていいそうです、太っ腹ですね。…まぁ、無駄使いはしませんけど、小市民なので。
次の日は、いつぞやの軍の駐屯地…の跡に着きました。
広く切り開かれたそこは、指揮所や上級将校の宿泊施設として使われていた六六も撤去され。一部がネイルコード国でよくみる街道の野営場所とされてました。こういう施設は、ネイルコード国は無駄にしないですよね。この辺の領地はエイゼル領に組み込まれたと聞いていますので、そういうことなのでしょう。
見れば、他にもいくつかの馬車も止っています。纏まって停留しているところを見るに小規模なキャラバンという感じですか。
ネイルコード国の南側であるこのへんなら魔獣が出ることはありません。
盗賊の類も、小規模なら護衛の居るキャラバンを襲うには無理がありますし。大規模な野盗なら、それこそ領兵によってあっという間に討伐されることになるそうです。数人レベルの盗賊は…単なる強盗ですね、街の衛兵の出番です。
まぁ、この辺の運行なら、ユルガルム領へ行くような大規模なキャラバンは必要ないのでしょうね。
リシャーフさんたちの馬の世話を手伝った後。水を汲んだ近くの河で、例の電撃漁をして魚を捕ってきました。まぁ食料は道々買い求めてもいますが、保存食っぽいものばかりでは味気ないですからね。
この辺はまだ海からそう離れていないためか、獲れる魚は鮎というよりは鮭っぽく見えます。身は白いですが。
…鮭の身が紅いのはエビ食べているからでしたっけ?
焚木の準備をしていると、女性三人に女児二人の私たちを見て、馬車組の一員と思しき女性が声をかけてきました。
「そこのあななたち! 女子供だけかい? それだと夜営は不安でしょ? こちらの焚き火に混ざらないか…いっ?!」
ミオンさんくらいの歳かな? 逞しい肝っ玉母さん感がありますね。
近寄って来て、初めて後ろで寝そべっているセレブロさんに気がついたようです。うちの頼りになる護衛ですよ? この子。
レッドさんは、セレブロさんのモフモフに埋もれていて、夕日の下では目立っていない感じ?
あ。女の人の後ろに、五六歳くらいの女の子? 娘さんですか? セレブロさんにびっくりしてお母さんの後ろにしがみついています。
セレブロさんは、馬より小さいくらいの巨大狼です。二人して表情に怯えを浮かべていますが。
「この子なら大丈夫ですよっ! ほらほーらっ!」
私とマーリアちゃん、それにトゥーラさんの三人でセレブロさんに抱きついて安全をアピールしたところ、やっと安心してくれたようです。
「な…なるほど…凄い護衛がついているんだねぇ…」
まだちょっとビビってますね?
マーリアちゃんが、女の子を手招きします。ほらほらモフモフだぞっと誘います。ほら、女の子がふらふらと吸い寄せられて、セレブロさんの首元に顔を埋めます。
「うわー、すごーい。ふわふわだー…おかーさん、きもちいーよ?この子」
うんうん。もふもふは正義です。セレブロさんも大人しくしてくれています。
ただまぁ、背中に埋もれていたレッドさんが見つかったようです。
「その赤い動物? も…もしかしてネイルコードに来られたという赤竜神の巫女様と小竜神さま? そういえば巫女様の方は黒髪の女の子だって聞いたけど…」
「レイコって、ほんと有名人よね…」
普通黒髪なら目立たないと思うのは日本人だからですかね? ここでは逆に目立つのです。…黒髪は皆無では無いんですけどね。
「ちょっとみんな! 赤竜神の巫女様と小竜様だよ! 皆出てきて最敬礼!」
あーあーあー。
びっくりした女の人が馬車の人達を呼びます! また集団に拝まれそうになったけど、必死にお断りしました。
…リシャーフさんも煽らないでください。勘弁してください。…あなた面白がっているでしょ?
ともかく。普通に接してくれとお願いしまくりましたところ、やっと承知してもらえました。
女性はヤーダー・カレスケンさん。娘さんはメルケちゃん。旦那さんはキャラバンの商隊長でオウシさん。
エイゼル領庁に依頼されて、新たにエイゼル領に組み込まれた三角州側の街サルハラとエイゼル市との間で商品輸送をするキャラバンを率いているそうです。行きは日用品、帰りは果物の加工品とかを運んでいるそうです。最近はサルハラで養蜂も始めたとかで、そちらもいい商売になるとか。
ともあれ。野営では凝った饗応も出来ませんが…と夕食をご馳走してくれることになったのですが。流石に只では申し訳ないので、こちらからも追加で河魚を捕ってきて振舞うことにしました。あの白い鮭です。
早速取りに行きます。まぁ手段が手段ですので、結構簡単に獲れますよ。私以外に出来たら乱獲間違いなし。
ん? セレブロさんが白い鮭を食べたそうにしています。
「この子、エイゼル市で魚を良く食べてから、なんか好物になったっぽいのよね。あそこの魚、美味しかったから」
…そんなところも猫っぽい? そもそも猫は本当に魚好きか?って話もありますが。
ファルリード亭に居たときには、マグロならぬクローマのでかいサクをガツガツいっていましたね。キロ単位のマグロと考えれば、相当に贅沢なご飯でした。そりゃ好物にもなるってもんです。
正教国では、教都は海から離れていますし、市場に並ぶのも河魚だったそうで。まぁ河魚は清流でないと私も余り食べたくありませんね。幸いここの河は澄んでいますが。
ここの河で取れた魚は、形からして多分海でも生活していたとは思いますが、一度でも淡水に住んでいた魚を流石に生食はさせられませんね。セレブロさんは生の方が好きらしいのですが… やっぱ一度火を通しますか。ビタミンとかちょっと心配ですけど。
ここでレッドさんからのイメージが。え?これって…放射線殺菌?
放射線を使った殺菌は、地球では結構メジャーな方法でした。薬品や熱を使わずに遺伝子を壊すことで細胞の分裂を抑えます。分裂が出来なくなるだけで細胞自体が即死しないってのもメリットですので、寄生虫退治の他にもジャガイモの芽が出ないようにしたりという使われ方もします。 日本では、放射線というだけでイメージが悪いのであまり使われませんけどね。
これは、この世界では私にしか出来ないというデメリットはありますが、応用は結構できますよ? 瞬間冷凍が出来るようになるまでは、お刺身を食べる…私以外の人に食べてもらう時の唯一の手段になるかも。
ともかく、レッドさんにやり方を教わりました。要は、極小規模なレイコ・バスターですね。
マーリアちゃんやセレブロさんには念のため少し離れてもらって、しめた魚を石の上に置いて両手をかざします。
手の平で、レイコ・バスターとは比べものにならないほどのほんのごく少量のマナを崩壊させて…ほいっ!
「はうんっ!」
光も衝撃もなく照射終了…ではあるのですが。私の方と言えば、軽度のガンマ線フリーズの症状が出ました。両手が一瞬機能不全になった程度ですぐ戻りましたけど…なんかゾクンと来ましたね。
「レイコ、大丈夫? はうんって?」
「ちょっとクラっと来ただけだから大丈夫。 …これで生でも食べられる…んだよね? レッドさん?」
レッドさん、親指立ててます。OKなようです。
早速ナイフで捌いてみます。うーん…この肉質は鯛かカンパチか…。思わず、背嚢に入れてある醤油を思い出しますが。刺身で食べたいけど、真似されて生食が変に広まると危険なので、ここはセレブロさんの特権ということで我慢です。…そもそも私に寄生虫なんて関係ないのですが。…みんなと一緒に生魚食べられる日が来るんでしょうかね?
ともかく。食べ応えありそうな切り身が作れました。
「おおっ。こりゃ豪華な夕食になりそうだ」
先ほどのヤーダーさんの旦那さんのオウシさんが喜んでいます。
馬車組は全員で十人ほどですが、ソテーにしても良し、スープの具にしても良し、皆さんがっつり食べられそうです。
さて。ここで取り出す竹筒。シチューの素~っ!!
煮詰めた出汁を、小麦粉とバターのホワイトソースの要領でドロドロにしたものを竹筒にいれて蓋を蝋封したものです。シチューのルーみたいなもんですね。
この鍋の大きさだと、竹三本くらいかな? 作っている最中のスープに、その竹を包丁で割ってそのまま放り込みます。竹はもちろん、後で取り出しますよ。
具は、芋や根菜、そして先ほどの魚の切り身をたっぷり。
「…こりゃうまいね。パンを浸しながら食べるのも良いな。その"シチューノモト~"ってのはどこで売っているんだい?」
「近いうちにエイゼル市のガロウ商会で販売するって聞いてます。今は、どれだけ保存できるのかの試験中ですね」
出発時に、ジャック会頭が試作品をいくらか持たせてくれました。
出汁を煮詰める段階は、熱源がマナ板なこの世界なら燃料代はさほど気にせずに作れるのですが。鶏ガラとか豚骨とかを入手するのがちょっと面倒なのと、試作の時の匂いがね… 出来上がった物は好評だったけど、製作は離れの小屋でやってました。
「ガロウ商会、あそこのお知り合いか。家の仕事の半分はあそこにお世話になっているからな。これはまた… うん、これは売れるだろ。簡単にうまいスープが飲めるのはありがたい」
郊外に作業場作って、冬には一般販売予定だそうです。思ったよりガラと骨のコストがかかるので、最初はそこそこな値段になりそう…とか言ってましたけど。野営用には十分需要があるかも。
具沢山のシチューに、白鮭のソテーをサンドにしたりとかで。もちろん醤油も提供しましたよ、焼き魚に合わない訳がないのです。 オウシさんは、醤油を味わうのは今回が初めてだそうですが。食べ見て、早速次の交易品に仕入れようと言ってました。
ジャック会頭が、醤油生産はガロウ商会に移管したって言ってましたね。去年は、近隣に生えていた分の醤油の実を全部取り尽くしたようですが。今年からは畑で作るそうです。広まると良いですね。
野営にしてはちょっとリッチな食事も後片付けまで終わり。
せっかく河が近くにあるのですから、露天風呂しましょうと、ヤーダーさん親娘を誘いました。
いつぞやと同じく、河原の砂利を掘り下げて、水を引いたらレイコ・ガンで加熱。
マントをいくつか持ってきて吊して着替え場所作って。覗き防止の見張りは、今回はセレブロさんですよ。
うーん、リシャーフさんけっこう着痩せしますね? まぁ騎士服ならしかたないんだろうけど。
「…なるほど、これは気持ちいいですね…」
聖女様でも、お湯に浸かることはあまりないとか。
「盥にお湯くらいなら経験ありますけど。洗うのが目的であって、脚を伸ばして浸かるってのは初めてです」
「ふー。おかーさん、これいいねー」
ヤーダーさんたちには好評ですね。
メルケちゃんが、ぷかーと浮かんでるレッドさんをくるくる回しています。
皆で浸かりながら空を見上げます。
雲はまばらで、満天の星と共に神の玉座が登っていました。神の玉座って、太陽との位置関係で、夏にしか見えないんですよね。
「神の玉座、綺麗ですね。」
リシャーフさんが感嘆します。…やっぱ宗教的に意味があるんですかね?
「…レイコ、星ってなんなの?」
お。いきなり革新的な質問。マーリアちゃんにもどちて坊やの素質ありますね。
「ん? あれは別の太陽です」
「え?太陽なの? …ってことは凄く小さい太陽なんだ」
「逆よ。多分だけど、青い星なら太陽の1000倍とか1万倍とかそれくらい明るい星でね。小さく見えるのは、もんのすごぉく遠くにあるからだね。光の速さで何十年とかそれくらい遠く」
「…光に速さがあるの? 音に速さがあるのは知ってたけど。 …レイコの知識も、想像を超えるわよね」
「私なんて知ってるだけだから大したことないよ~」
実際に星の海を越えてきたメンターに比べれば、まだまだちっぽけです。
「ふーん。あの赤い霧みたいなのは何?」
赤というか紫というか、ガス雲が肉眼で見えるってのも、凄い星雲です。…オリオン座大星雲を肉眼で見たことはあるかな。規模はこちらの方が遙かに上だけど。
「霧は星の材料だね。あれが集まって星になるの。神の御座ってのは、生まれたばかりの星のゆりかごだね」
「太陽よりずっと大きいのに、まだゆりかごにいるの?」
「星って、大きいほど寿命がものすごく短くなるのよ。ものすごく短いって言っても、百万年とか千万年って単位だけど。で、最後は爆発してその一生を終えてしまう…ほら、神の御座の左下に泡みたいのがぽつんとあるでしょ? あれたぶん、比較的最近に星が爆発した跡だね」
「お星様の寿命も長い短いのがあるのかい?。なんか世知辛い話だね」
地球なら、だれでも学べる内容ですしね。証明しようとするとまた大変でしょうけど。
「お天道様なら、まだあと数十億年はもつから心配しなくても良いですよ」
「はぁ…赤竜神の巫女様って、そんなことまで分るんですね」
子供に興味保って欲しいな…と思ったけど。メルケちゃんはレッドさんと遊んでます。
ルシャールさん達も聞いていますけど。なんか呆けていますね。神の御座については教会でもいろいろ物語付けとかあるのでしょうが、今ので全部チャラになっちゃったとかかな?
「巫女様はこれからどちらに向かわれるんです? ネイルコードから旅立ちってのなら、国挙げて送迎しそうなもんだけど。女五人だけってのはちょっとね…」
「あははは。お世話になっていた宿屋を正教国の狂信者に燃やされちゃいましてね。ちょっと意趣返しに正教国まで行くところです」
マーリアちゃんが隣で、それ言っちゃうんだって顔しています。
リシャーフさんが気まずそうになっています。タルーサさんとトゥーラさんは顔色が悪くなってます。…まぁ気にするなとはまだ言えませんが。
ヤーダーさんが馬車組の家事でちょっと忙しいとき、侍従のタルーサさんがメルケちゃんを見てました。物静かで年上っぽいな…と思っていたら。タルーサさん、なんとお子さんが二人いるそうです。下の子がメルケちゃんと同じくらいの歳なので、気になってしょうがなかったようですね。
…当たり前ですが、教都に家族がいるのなら、巫女が教都を壊滅させるなんて事態は絶対に避けたいはずで、この旅に同行した理由も分ります。カリッシュがファルリード亭に火を付けたって話を聞いて、一番に恐々としたのはこの人かもしれませんね。
「…タルーサさん。基本的に教都で街や建物を壊すって事は予定していませんので。ご安心を」
不安だらけで旅が続くのも精神衛生によろしくないので、今の内に言っておきます。
瞬間、びっくりしたかのような表情をしたタルーサさん。ですが。ホッとした感じで頭を下げてきます。
大陸の宗教の総本山、歴史ある教都なのですから、荘厳な建物とかが沢山あるのでしょう。正教国に対しては良い印象は無いですが。当代随一の職人さんたちが全身全霊で作ったそれらを壊したいとは思いません。正教国を観光したいってのは、嘘ではないのです。そういうの大好きですから。
…レッドさんがダーコラの王宮で花瓶割っていましたけど。本当に価値があるのなら水入れて花生けたりしないそうで、レッドさんの鑑定では、安物という程ではないけど市場でも買える程度の品だったそうです。失礼しましたレッドさん。
「それはまた……酷い話もあったもんだね。私も生まれた街の教会に記帳されている信者ではあるし、そこの祭司様達はいい人だったけど。正教国からは正直あまり良い噂は聞こえてこないね。にしても、どこの国でも火を付けるなんてことをすれば普通に捕まるだろうに…」
「さらに。それで正教国に文句言ったら、クライスファー陛下を破門するって脅しをかけてきまして…」
「…ぐぬぬ」
トゥーラさんから変な声が漏れます。
「クライスファー陛下って…この国の王様じゃないのっ!?」
「破門されたくなかったら私達を寄越せって言ってきたから、だったら行ってやろうじゃないかとね。あははは、楽しみだなぁ正教国」
リシャーフさんがだんだん小さくなってきています。ぶくぶくぶく。
「レイコ様は、ダーコラ国との紛争の時に一人で軍を退けたとか、タシニで岩山砕いたって話を聞いているけど。このお風呂を簡単に沸かしたところをみるにお力に偽りはないようだけど。…無茶はなされないでくださいね?。クライスファー陛下なら多分、破門されても構わないと考えていらっしゃるんじゃないかしら?」
「でもまぁ、ちまちま嫌がらせされたら鬱陶しいですから。向こうでまとめて話を付けてきますっ!…ってのがこの度の趣旨ですね」
なんか心配されちゃいましたけど、物理的にはどうにもされようのない私なのです。…精神的にはもう、けっこう来ていますけど。マーリアちゃんが付いてきてくれてホント良かった。
「…ほんと今夜は神の御座が綺麗だね…赤竜神様はあそこから来られたってのは本当かい?」
「詳しい方向は知らないけど。あそこよりもっと遠いところですね」
太陽系の太陽は、二百光年以上も離れているのなら、ここからは見えても九等星くらい。今の私の視力でもまず分解できないですね…
「うーん。神の御座までどれくらい離れているのかも想像できないけど。それよりさらに遠くに神の国はあるんだね。 …ともかく、あなたたちの旅が平穏であることを祈っておくよ」
こちらでの祈りの形に手を組む奥さん。
「ありがとうございます。…リシャーフさん、これくらいで良いんですよ信仰ってのは」
「…分る気がします」
見れば、リシャーフさん達も神の御座に祈りを捧げていました。何を祈っているのでしょう?
さて。女性陣がお風呂に入ったら終わり…ではなく、今度は男性陣の番です。
今回は浴槽部分を拡充しなくても良いですが。風呂の湯で洗濯する人続出で、お湯の追加を一回しましたとさ。
ヤーダーさんも洗濯してました。…すっぽんぽんの男性陣に混じっても堂々としていましたよ。
神の御座の煌めく下、河辺の湯船でお湯に浸かりながら湯気を纏い、テオーガル領の収穫祭の歌だというものを大声で合唱する男性陣。夜鳥も逃げるというものです。
ちなみに。身分は隠していますが美人揃いの正教国組が、男性陣からアタックされそうになっていましたけど。ヤーダーさんに"説得"されていましたよ。
ただ、決め手はタルーサさん。
「あの…私はケッコンしていて、子供もいますので…」
残り二人まで結婚しているわけではありませんが。男性陣、まぁこれだけの美人ならもう婚約者くらいいて当たり前だよな…と現実的に考えたようです。
・Side:ツキシマ・レイコ
さて。正教国への進軍するレイコ部隊一行、五人と二匹と三頭です。
騎乗しているリシャーフさんらが移動速度の基準ですので、馬車よりは速い程度です。途中の街では一泊ましたよ。
カステラード殿下から細かい金貨銀貨を結構いただいてきましたので、そこそこ良い部屋が取れました。まぁ女性だけなので安宿という訳にはいきません。…お金はあとで清算はしなくていいそうです、太っ腹ですね。…まぁ、無駄使いはしませんけど、小市民なので。
次の日は、いつぞやの軍の駐屯地…の跡に着きました。
広く切り開かれたそこは、指揮所や上級将校の宿泊施設として使われていた六六も撤去され。一部がネイルコード国でよくみる街道の野営場所とされてました。こういう施設は、ネイルコード国は無駄にしないですよね。この辺の領地はエイゼル領に組み込まれたと聞いていますので、そういうことなのでしょう。
見れば、他にもいくつかの馬車も止っています。纏まって停留しているところを見るに小規模なキャラバンという感じですか。
ネイルコード国の南側であるこのへんなら魔獣が出ることはありません。
盗賊の類も、小規模なら護衛の居るキャラバンを襲うには無理がありますし。大規模な野盗なら、それこそ領兵によってあっという間に討伐されることになるそうです。数人レベルの盗賊は…単なる強盗ですね、街の衛兵の出番です。
まぁ、この辺の運行なら、ユルガルム領へ行くような大規模なキャラバンは必要ないのでしょうね。
リシャーフさんたちの馬の世話を手伝った後。水を汲んだ近くの河で、例の電撃漁をして魚を捕ってきました。まぁ食料は道々買い求めてもいますが、保存食っぽいものばかりでは味気ないですからね。
この辺はまだ海からそう離れていないためか、獲れる魚は鮎というよりは鮭っぽく見えます。身は白いですが。
…鮭の身が紅いのはエビ食べているからでしたっけ?
焚木の準備をしていると、女性三人に女児二人の私たちを見て、馬車組の一員と思しき女性が声をかけてきました。
「そこのあななたち! 女子供だけかい? それだと夜営は不安でしょ? こちらの焚き火に混ざらないか…いっ?!」
ミオンさんくらいの歳かな? 逞しい肝っ玉母さん感がありますね。
近寄って来て、初めて後ろで寝そべっているセレブロさんに気がついたようです。うちの頼りになる護衛ですよ? この子。
レッドさんは、セレブロさんのモフモフに埋もれていて、夕日の下では目立っていない感じ?
あ。女の人の後ろに、五六歳くらいの女の子? 娘さんですか? セレブロさんにびっくりしてお母さんの後ろにしがみついています。
セレブロさんは、馬より小さいくらいの巨大狼です。二人して表情に怯えを浮かべていますが。
「この子なら大丈夫ですよっ! ほらほーらっ!」
私とマーリアちゃん、それにトゥーラさんの三人でセレブロさんに抱きついて安全をアピールしたところ、やっと安心してくれたようです。
「な…なるほど…凄い護衛がついているんだねぇ…」
まだちょっとビビってますね?
マーリアちゃんが、女の子を手招きします。ほらほらモフモフだぞっと誘います。ほら、女の子がふらふらと吸い寄せられて、セレブロさんの首元に顔を埋めます。
「うわー、すごーい。ふわふわだー…おかーさん、きもちいーよ?この子」
うんうん。もふもふは正義です。セレブロさんも大人しくしてくれています。
ただまぁ、背中に埋もれていたレッドさんが見つかったようです。
「その赤い動物? も…もしかしてネイルコードに来られたという赤竜神の巫女様と小竜神さま? そういえば巫女様の方は黒髪の女の子だって聞いたけど…」
「レイコって、ほんと有名人よね…」
普通黒髪なら目立たないと思うのは日本人だからですかね? ここでは逆に目立つのです。…黒髪は皆無では無いんですけどね。
「ちょっとみんな! 赤竜神の巫女様と小竜様だよ! 皆出てきて最敬礼!」
あーあーあー。
びっくりした女の人が馬車の人達を呼びます! また集団に拝まれそうになったけど、必死にお断りしました。
…リシャーフさんも煽らないでください。勘弁してください。…あなた面白がっているでしょ?
ともかく。普通に接してくれとお願いしまくりましたところ、やっと承知してもらえました。
女性はヤーダー・カレスケンさん。娘さんはメルケちゃん。旦那さんはキャラバンの商隊長でオウシさん。
エイゼル領庁に依頼されて、新たにエイゼル領に組み込まれた三角州側の街サルハラとエイゼル市との間で商品輸送をするキャラバンを率いているそうです。行きは日用品、帰りは果物の加工品とかを運んでいるそうです。最近はサルハラで養蜂も始めたとかで、そちらもいい商売になるとか。
ともあれ。野営では凝った饗応も出来ませんが…と夕食をご馳走してくれることになったのですが。流石に只では申し訳ないので、こちらからも追加で河魚を捕ってきて振舞うことにしました。あの白い鮭です。
早速取りに行きます。まぁ手段が手段ですので、結構簡単に獲れますよ。私以外に出来たら乱獲間違いなし。
ん? セレブロさんが白い鮭を食べたそうにしています。
「この子、エイゼル市で魚を良く食べてから、なんか好物になったっぽいのよね。あそこの魚、美味しかったから」
…そんなところも猫っぽい? そもそも猫は本当に魚好きか?って話もありますが。
ファルリード亭に居たときには、マグロならぬクローマのでかいサクをガツガツいっていましたね。キロ単位のマグロと考えれば、相当に贅沢なご飯でした。そりゃ好物にもなるってもんです。
正教国では、教都は海から離れていますし、市場に並ぶのも河魚だったそうで。まぁ河魚は清流でないと私も余り食べたくありませんね。幸いここの河は澄んでいますが。
ここの河で取れた魚は、形からして多分海でも生活していたとは思いますが、一度でも淡水に住んでいた魚を流石に生食はさせられませんね。セレブロさんは生の方が好きらしいのですが… やっぱ一度火を通しますか。ビタミンとかちょっと心配ですけど。
ここでレッドさんからのイメージが。え?これって…放射線殺菌?
放射線を使った殺菌は、地球では結構メジャーな方法でした。薬品や熱を使わずに遺伝子を壊すことで細胞の分裂を抑えます。分裂が出来なくなるだけで細胞自体が即死しないってのもメリットですので、寄生虫退治の他にもジャガイモの芽が出ないようにしたりという使われ方もします。 日本では、放射線というだけでイメージが悪いのであまり使われませんけどね。
これは、この世界では私にしか出来ないというデメリットはありますが、応用は結構できますよ? 瞬間冷凍が出来るようになるまでは、お刺身を食べる…私以外の人に食べてもらう時の唯一の手段になるかも。
ともかく、レッドさんにやり方を教わりました。要は、極小規模なレイコ・バスターですね。
マーリアちゃんやセレブロさんには念のため少し離れてもらって、しめた魚を石の上に置いて両手をかざします。
手の平で、レイコ・バスターとは比べものにならないほどのほんのごく少量のマナを崩壊させて…ほいっ!
「はうんっ!」
光も衝撃もなく照射終了…ではあるのですが。私の方と言えば、軽度のガンマ線フリーズの症状が出ました。両手が一瞬機能不全になった程度ですぐ戻りましたけど…なんかゾクンと来ましたね。
「レイコ、大丈夫? はうんって?」
「ちょっとクラっと来ただけだから大丈夫。 …これで生でも食べられる…んだよね? レッドさん?」
レッドさん、親指立ててます。OKなようです。
早速ナイフで捌いてみます。うーん…この肉質は鯛かカンパチか…。思わず、背嚢に入れてある醤油を思い出しますが。刺身で食べたいけど、真似されて生食が変に広まると危険なので、ここはセレブロさんの特権ということで我慢です。…そもそも私に寄生虫なんて関係ないのですが。…みんなと一緒に生魚食べられる日が来るんでしょうかね?
ともかく。食べ応えありそうな切り身が作れました。
「おおっ。こりゃ豪華な夕食になりそうだ」
先ほどのヤーダーさんの旦那さんのオウシさんが喜んでいます。
馬車組は全員で十人ほどですが、ソテーにしても良し、スープの具にしても良し、皆さんがっつり食べられそうです。
さて。ここで取り出す竹筒。シチューの素~っ!!
煮詰めた出汁を、小麦粉とバターのホワイトソースの要領でドロドロにしたものを竹筒にいれて蓋を蝋封したものです。シチューのルーみたいなもんですね。
この鍋の大きさだと、竹三本くらいかな? 作っている最中のスープに、その竹を包丁で割ってそのまま放り込みます。竹はもちろん、後で取り出しますよ。
具は、芋や根菜、そして先ほどの魚の切り身をたっぷり。
「…こりゃうまいね。パンを浸しながら食べるのも良いな。その"シチューノモト~"ってのはどこで売っているんだい?」
「近いうちにエイゼル市のガロウ商会で販売するって聞いてます。今は、どれだけ保存できるのかの試験中ですね」
出発時に、ジャック会頭が試作品をいくらか持たせてくれました。
出汁を煮詰める段階は、熱源がマナ板なこの世界なら燃料代はさほど気にせずに作れるのですが。鶏ガラとか豚骨とかを入手するのがちょっと面倒なのと、試作の時の匂いがね… 出来上がった物は好評だったけど、製作は離れの小屋でやってました。
「ガロウ商会、あそこのお知り合いか。家の仕事の半分はあそこにお世話になっているからな。これはまた… うん、これは売れるだろ。簡単にうまいスープが飲めるのはありがたい」
郊外に作業場作って、冬には一般販売予定だそうです。思ったよりガラと骨のコストがかかるので、最初はそこそこな値段になりそう…とか言ってましたけど。野営用には十分需要があるかも。
具沢山のシチューに、白鮭のソテーをサンドにしたりとかで。もちろん醤油も提供しましたよ、焼き魚に合わない訳がないのです。 オウシさんは、醤油を味わうのは今回が初めてだそうですが。食べ見て、早速次の交易品に仕入れようと言ってました。
ジャック会頭が、醤油生産はガロウ商会に移管したって言ってましたね。去年は、近隣に生えていた分の醤油の実を全部取り尽くしたようですが。今年からは畑で作るそうです。広まると良いですね。
野営にしてはちょっとリッチな食事も後片付けまで終わり。
せっかく河が近くにあるのですから、露天風呂しましょうと、ヤーダーさん親娘を誘いました。
いつぞやと同じく、河原の砂利を掘り下げて、水を引いたらレイコ・ガンで加熱。
マントをいくつか持ってきて吊して着替え場所作って。覗き防止の見張りは、今回はセレブロさんですよ。
うーん、リシャーフさんけっこう着痩せしますね? まぁ騎士服ならしかたないんだろうけど。
「…なるほど、これは気持ちいいですね…」
聖女様でも、お湯に浸かることはあまりないとか。
「盥にお湯くらいなら経験ありますけど。洗うのが目的であって、脚を伸ばして浸かるってのは初めてです」
「ふー。おかーさん、これいいねー」
ヤーダーさんたちには好評ですね。
メルケちゃんが、ぷかーと浮かんでるレッドさんをくるくる回しています。
皆で浸かりながら空を見上げます。
雲はまばらで、満天の星と共に神の玉座が登っていました。神の玉座って、太陽との位置関係で、夏にしか見えないんですよね。
「神の玉座、綺麗ですね。」
リシャーフさんが感嘆します。…やっぱ宗教的に意味があるんですかね?
「…レイコ、星ってなんなの?」
お。いきなり革新的な質問。マーリアちゃんにもどちて坊やの素質ありますね。
「ん? あれは別の太陽です」
「え?太陽なの? …ってことは凄く小さい太陽なんだ」
「逆よ。多分だけど、青い星なら太陽の1000倍とか1万倍とかそれくらい明るい星でね。小さく見えるのは、もんのすごぉく遠くにあるからだね。光の速さで何十年とかそれくらい遠く」
「…光に速さがあるの? 音に速さがあるのは知ってたけど。 …レイコの知識も、想像を超えるわよね」
「私なんて知ってるだけだから大したことないよ~」
実際に星の海を越えてきたメンターに比べれば、まだまだちっぽけです。
「ふーん。あの赤い霧みたいなのは何?」
赤というか紫というか、ガス雲が肉眼で見えるってのも、凄い星雲です。…オリオン座大星雲を肉眼で見たことはあるかな。規模はこちらの方が遙かに上だけど。
「霧は星の材料だね。あれが集まって星になるの。神の御座ってのは、生まれたばかりの星のゆりかごだね」
「太陽よりずっと大きいのに、まだゆりかごにいるの?」
「星って、大きいほど寿命がものすごく短くなるのよ。ものすごく短いって言っても、百万年とか千万年って単位だけど。で、最後は爆発してその一生を終えてしまう…ほら、神の御座の左下に泡みたいのがぽつんとあるでしょ? あれたぶん、比較的最近に星が爆発した跡だね」
「お星様の寿命も長い短いのがあるのかい?。なんか世知辛い話だね」
地球なら、だれでも学べる内容ですしね。証明しようとするとまた大変でしょうけど。
「お天道様なら、まだあと数十億年はもつから心配しなくても良いですよ」
「はぁ…赤竜神の巫女様って、そんなことまで分るんですね」
子供に興味保って欲しいな…と思ったけど。メルケちゃんはレッドさんと遊んでます。
ルシャールさん達も聞いていますけど。なんか呆けていますね。神の御座については教会でもいろいろ物語付けとかあるのでしょうが、今ので全部チャラになっちゃったとかかな?
「巫女様はこれからどちらに向かわれるんです? ネイルコードから旅立ちってのなら、国挙げて送迎しそうなもんだけど。女五人だけってのはちょっとね…」
「あははは。お世話になっていた宿屋を正教国の狂信者に燃やされちゃいましてね。ちょっと意趣返しに正教国まで行くところです」
マーリアちゃんが隣で、それ言っちゃうんだって顔しています。
リシャーフさんが気まずそうになっています。タルーサさんとトゥーラさんは顔色が悪くなってます。…まぁ気にするなとはまだ言えませんが。
ヤーダーさんが馬車組の家事でちょっと忙しいとき、侍従のタルーサさんがメルケちゃんを見てました。物静かで年上っぽいな…と思っていたら。タルーサさん、なんとお子さんが二人いるそうです。下の子がメルケちゃんと同じくらいの歳なので、気になってしょうがなかったようですね。
…当たり前ですが、教都に家族がいるのなら、巫女が教都を壊滅させるなんて事態は絶対に避けたいはずで、この旅に同行した理由も分ります。カリッシュがファルリード亭に火を付けたって話を聞いて、一番に恐々としたのはこの人かもしれませんね。
「…タルーサさん。基本的に教都で街や建物を壊すって事は予定していませんので。ご安心を」
不安だらけで旅が続くのも精神衛生によろしくないので、今の内に言っておきます。
瞬間、びっくりしたかのような表情をしたタルーサさん。ですが。ホッとした感じで頭を下げてきます。
大陸の宗教の総本山、歴史ある教都なのですから、荘厳な建物とかが沢山あるのでしょう。正教国に対しては良い印象は無いですが。当代随一の職人さんたちが全身全霊で作ったそれらを壊したいとは思いません。正教国を観光したいってのは、嘘ではないのです。そういうの大好きですから。
…レッドさんがダーコラの王宮で花瓶割っていましたけど。本当に価値があるのなら水入れて花生けたりしないそうで、レッドさんの鑑定では、安物という程ではないけど市場でも買える程度の品だったそうです。失礼しましたレッドさん。
「それはまた……酷い話もあったもんだね。私も生まれた街の教会に記帳されている信者ではあるし、そこの祭司様達はいい人だったけど。正教国からは正直あまり良い噂は聞こえてこないね。にしても、どこの国でも火を付けるなんてことをすれば普通に捕まるだろうに…」
「さらに。それで正教国に文句言ったら、クライスファー陛下を破門するって脅しをかけてきまして…」
「…ぐぬぬ」
トゥーラさんから変な声が漏れます。
「クライスファー陛下って…この国の王様じゃないのっ!?」
「破門されたくなかったら私達を寄越せって言ってきたから、だったら行ってやろうじゃないかとね。あははは、楽しみだなぁ正教国」
リシャーフさんがだんだん小さくなってきています。ぶくぶくぶく。
「レイコ様は、ダーコラ国との紛争の時に一人で軍を退けたとか、タシニで岩山砕いたって話を聞いているけど。このお風呂を簡単に沸かしたところをみるにお力に偽りはないようだけど。…無茶はなされないでくださいね?。クライスファー陛下なら多分、破門されても構わないと考えていらっしゃるんじゃないかしら?」
「でもまぁ、ちまちま嫌がらせされたら鬱陶しいですから。向こうでまとめて話を付けてきますっ!…ってのがこの度の趣旨ですね」
なんか心配されちゃいましたけど、物理的にはどうにもされようのない私なのです。…精神的にはもう、けっこう来ていますけど。マーリアちゃんが付いてきてくれてホント良かった。
「…ほんと今夜は神の御座が綺麗だね…赤竜神様はあそこから来られたってのは本当かい?」
「詳しい方向は知らないけど。あそこよりもっと遠いところですね」
太陽系の太陽は、二百光年以上も離れているのなら、ここからは見えても九等星くらい。今の私の視力でもまず分解できないですね…
「うーん。神の御座までどれくらい離れているのかも想像できないけど。それよりさらに遠くに神の国はあるんだね。 …ともかく、あなたたちの旅が平穏であることを祈っておくよ」
こちらでの祈りの形に手を組む奥さん。
「ありがとうございます。…リシャーフさん、これくらいで良いんですよ信仰ってのは」
「…分る気がします」
見れば、リシャーフさん達も神の御座に祈りを捧げていました。何を祈っているのでしょう?
さて。女性陣がお風呂に入ったら終わり…ではなく、今度は男性陣の番です。
今回は浴槽部分を拡充しなくても良いですが。風呂の湯で洗濯する人続出で、お湯の追加を一回しましたとさ。
ヤーダーさんも洗濯してました。…すっぽんぽんの男性陣に混じっても堂々としていましたよ。
神の御座の煌めく下、河辺の湯船でお湯に浸かりながら湯気を纏い、テオーガル領の収穫祭の歌だというものを大声で合唱する男性陣。夜鳥も逃げるというものです。
ちなみに。身分は隠していますが美人揃いの正教国組が、男性陣からアタックされそうになっていましたけど。ヤーダーさんに"説得"されていましたよ。
ただ、決め手はタルーサさん。
「あの…私はケッコンしていて、子供もいますので…」
残り二人まで結婚しているわけではありませんが。男性陣、まぁこれだけの美人ならもう婚約者くらいいて当たり前だよな…と現実的に考えたようです。
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