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名前を呼んで…。(番外編) その後のヒナキとユグの話

口付け *

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 ヒナキが、お腹が空いて目が覚めると、ヒナキの太ももに膝枕をしたまま眠るユグを見て、思わず微笑んだ。
 身体が成長しても変わらない…。
 長い年月が経っても変わらなかった僕たちが、少し変わっているのかも知れない…。
 ヒナキはヒイロからもらった袋を開き、中から果物の実を取り出して口にする。
 甘酸っぱい香りと味が、食欲を誘う。
 ヒナキはお腹が満たされるまで、果実と焼き菓子類を食べた。
 お昼と言うより、おやつだが、食欲の無いヒナキにはこれで十分だった。
 のんびりと食べていると、木霊が小さな両手いっぱいに木の実を持って顔を出し、ヒナキに差し出してきた。
「ありがとう」
 ヒナキが受け取ると、ニコニコ笑って姿を消す。
 ヒナキはもらった木の実の皮をむき、中の果実を食べる。
 サクサクとした香ばしい味だ。
 焼くか炒めると、もっと香ばしくなるだろう…。
 そんなことを思いながら、もう一つ皮を剥くと、ユグが身動ぎして身体を起こした。
「…食べる?」
 ヒナキかユグに木の実を差し出すと、口を開けたのでユグの口の中に入れてあげる。
 ユグはモグモグと食しながらヒナキをじっと見てくる。
 そして気が付く。
 ユグの身長が伸びている…。
 気のせい?…でもないようだ…。
 顔が少し大人びて、緑色の髪の毛も伸びている。
 …なんだろう…少し大人びたユグを見て、ドキドキしてくる。
「…ユグ…だよな…」
 ユグはコクリと頷き、ヒナキの太ももの上に乗っかってくる。
 正面に向き合い、少し大人になったユグを見て、ヒナキは何故か照れ臭くて横を向くと、ユグが両手でヒナキの頬をつかみユグの方を向かされる。
 視線が合い、じっとヒナキを見てくる。
 …なんだろう…これ…。
 ヒナキはわからない感情にザワザワした。
「…ユグ…」
「…僕の…魔力…受け入れて…」
 ユグは真剣な眼差しでヒナキを見てくる。
 昼寝をする前に言っていた、ユグの提案…。
 もう…どうにでもなれ…。
 少しそんな思いも入っていた、ヒナキの決断…。
「…ああ、受け入れるよ…」
 ヒナキがそう言うと、ユグは微笑んで言った。
「…口を開けて…舌を出して…」
 ヒナキは言われるままに口を開け、舌を出すと、ユグの顔が近付いてきて、ユグがヒナキの舌を咥えた。
「?!」
 ヒナキが驚いている間もなく、ユグの舌がヒナキの口の中に侵入してきて、中で絡み合う…。
 …はぁっ…息が…苦しい…。
 そう思っていると、ユグの口の中から何か、ヒナキの方に流れ込んできた。
「…んんっっ…」
 ヒナキの喉元にソレが流れ込んで、ゴクリと飲み込んでしまう。
 ソレがヒナキの身体の中に入り、ほのかに暖くなる。
 …何…?!
 そう思っている内に、また口の中に流れ込んできた。
「…んっっ…はぁ…」
 息継ぎをする間もなく、ヒナキの口の中に流れ込んでくる固まりに翻弄され、身体の力が抜け、息が苦しくて、涙を流しながら、ユグの魔力を受け入れていた。
 ヒナキの口の中を翻弄して絡まるユグの舌が、どんどんと気持ち良くなってしまって、身体が熱くなっていく…。
「…んっっ…くちゅ…んっっ…」
 ユグの魔力を三回受け入れたときには、ヒナキはトロンとした顔をユグに向け、なんとなく身体の変化に気が付いた…。
 …ヤバい…気持ち良すぎて…って来た…。
 …それも、ユグの座っている太ももの目の前…。
 ズボンの下から押し上げて、テントを作っている…。
 恥ずかしすぎる…。
 ヒナキは頬を染め、ユグが気が付きませんように。と、祈りながら、ユグの四回目の魔力を受け入れていた。

 
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