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第1章
第2話(1)
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到着ロビーでゲートから出てくる人々をひとりずつ確認していた莉音は、ほどなく祖父母の姿を認めて大きく手を振った。
「おじいちゃん、おばあちゃん!」
祖父母も、すぐに莉音に気づいて笑顔で近づいてくる。
「いらっしゃい。来てくれてありがとう」
「まあまあ、莉音ちゃん。元気そうでよかった。わざわざ迎えに来ちくれち、ありがとうね」
「うううん、大丈夫。今日ね、アルフさんが電車だと荷物もあって大変だろうからって、経営してる会社の運転手さんに頼んで車出してくれたから」
莉音の説明に、祖母は目を細めた。
「あれまあ、そげえしてもろうて、気のどきぃねぇ」
莉音の手を取って、さするように何度も撫でる祖母に、莉音は大丈夫だよとにっこりとした。東京で生まれ育った莉音にとって、祖父母の話す言葉はときどき意味がわからないことがあるが、いまのは、思いがけない待遇に恐縮しているのだとわかった。
「アルフさんも、おじいちゃんたちに会えるの楽しみにしてくれてたよ。今日も仕事が終わったら早めに帰りますって。たいしたことはなにもできないけど、ゆっくりしていってくださいって言ってた」
そうかそうかと祖母は笑みを深くした。その隣で、祖父も頷いている。
「顔色もようなっち、元気そうで安心した」
「うん、すごく元気。母さんのお葬式のときはいろいろありがとう。心配かけてごめんね」
「そげなこつぁ気にせんじいい」
照れ屋な祖父は、ぶっきらぼうに言った。
不器用な祖父の優しさに触れて、莉音はふふっと小さく笑う。ふたりをうながして荷物を受け取ると、駐車場へと向かった。
はじめて訪れたヴィンセント邸の豪華さに、祖父母はただただ圧倒されたようにポカンと口を開けていた。
マンションの入り口でもかなり気後れしていたが、エレベーターを降りて家に入ってからは、しばらくのあいだ言葉も出ないようだった。
「こげな城みてえなところに住んじょん人が、本当におるんやなあ」
案内したゲストルームに荷物を置き、あらためてリビングに移動したところで、祖父がしみじみと言った。祖母もひたすら溜息をついている。
「すごいよね。僕もはじめて来たとき、緊張しちゃってなかなか部屋に入れなかった」
莉音は、当時を思い出して苦笑した。
「すごいねぇ。莉音ちゃん、あんた、こげなところに住んじょんのやなぁ」
祖母もまた、感心したように言う。そんな祖父母にソファーを勧めて、莉音はお茶の用意をすることにした。昼食は、空港からマンションへ戻る途中、ヴィンセントが予約してくれていた馴染みの料亭で、懐石料理を堪能してきた。
「アルフさんも普段は贅沢をする人じゃないんだけど、やっぱり取り引き先の会社との付き合いとか義理もあって、その一環でこのマンションも契約することになったんだって」
「まだ若えにぃ、たいしたもんだ」
祖父は窓辺に立って外の景色を眺めながら呟いた。
「おじいちゃん、おばあちゃん!」
祖父母も、すぐに莉音に気づいて笑顔で近づいてくる。
「いらっしゃい。来てくれてありがとう」
「まあまあ、莉音ちゃん。元気そうでよかった。わざわざ迎えに来ちくれち、ありがとうね」
「うううん、大丈夫。今日ね、アルフさんが電車だと荷物もあって大変だろうからって、経営してる会社の運転手さんに頼んで車出してくれたから」
莉音の説明に、祖母は目を細めた。
「あれまあ、そげえしてもろうて、気のどきぃねぇ」
莉音の手を取って、さするように何度も撫でる祖母に、莉音は大丈夫だよとにっこりとした。東京で生まれ育った莉音にとって、祖父母の話す言葉はときどき意味がわからないことがあるが、いまのは、思いがけない待遇に恐縮しているのだとわかった。
「アルフさんも、おじいちゃんたちに会えるの楽しみにしてくれてたよ。今日も仕事が終わったら早めに帰りますって。たいしたことはなにもできないけど、ゆっくりしていってくださいって言ってた」
そうかそうかと祖母は笑みを深くした。その隣で、祖父も頷いている。
「顔色もようなっち、元気そうで安心した」
「うん、すごく元気。母さんのお葬式のときはいろいろありがとう。心配かけてごめんね」
「そげなこつぁ気にせんじいい」
照れ屋な祖父は、ぶっきらぼうに言った。
不器用な祖父の優しさに触れて、莉音はふふっと小さく笑う。ふたりをうながして荷物を受け取ると、駐車場へと向かった。
はじめて訪れたヴィンセント邸の豪華さに、祖父母はただただ圧倒されたようにポカンと口を開けていた。
マンションの入り口でもかなり気後れしていたが、エレベーターを降りて家に入ってからは、しばらくのあいだ言葉も出ないようだった。
「こげな城みてえなところに住んじょん人が、本当におるんやなあ」
案内したゲストルームに荷物を置き、あらためてリビングに移動したところで、祖父がしみじみと言った。祖母もひたすら溜息をついている。
「すごいよね。僕もはじめて来たとき、緊張しちゃってなかなか部屋に入れなかった」
莉音は、当時を思い出して苦笑した。
「すごいねぇ。莉音ちゃん、あんた、こげなところに住んじょんのやなぁ」
祖母もまた、感心したように言う。そんな祖父母にソファーを勧めて、莉音はお茶の用意をすることにした。昼食は、空港からマンションへ戻る途中、ヴィンセントが予約してくれていた馴染みの料亭で、懐石料理を堪能してきた。
「アルフさんも普段は贅沢をする人じゃないんだけど、やっぱり取り引き先の会社との付き合いとか義理もあって、その一環でこのマンションも契約することになったんだって」
「まだ若えにぃ、たいしたもんだ」
祖父は窓辺に立って外の景色を眺めながら呟いた。
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