転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
373 / 1,219
第二十三章 ルルーさんの結婚式と新たな命の誕生

五百六十九話 不埒な者を成敗!

しおりを挟む
 すると、ジェリルさんとランカーさんが、膝から崩れ落ちてしまいました。

「うっ、うぅ……、確かに私は剣しか取り柄のない女よ……」
「だからって、人を騙す様な事をしなくても……、ぐす」

 もう、ジェリルさんとランカーさんは号泣モードです。
 そんな二人の肩を、おばちゃんとジュリさんが優しく抱いていました。

「こんな可愛い子を騙すなんてね。あんたは全く悪くないわよ」
「そうよ。私も妻だから分かるけど、その男が最悪であってあなた達は悪くないわ」
「「うぇーん!」」

 ジェリルさんとランカーさんが落ち着くまで、少し時間がかかりました。
 その間、ティナおばあさまがいつものタブレット型の魔導具をポチポチといじっていました。

「軍務卿と連絡が取れたわ。もう薬草採取をする状況ではないし、王城に行って話をつけましょう」
「「「おー!」」」

 おお、ティナおばあさまは笑顔で話をするけど、目が全く笑っていません。
 ここに集まった全ての人も、やる気になっています。
 あえて、何をやる気になったかは言わないでおきましょう。
 僕は直ぐに王城の軍の駐留所にゲートを繋いで、皆で王城に向かいました。
 既に軍務卿だけでなく、何故か騎士服を着た王妃様も待っていました。

「あの馬鹿の件だが、ちょうど処分をしようと思っていたんだよ。流石に被害が出ているからな」
「王家を守るべき近衛騎士が、こんな醜態を見せるとは。ふふふ、お仕置きのしがいがありますわね」

 軍務卿の言い分はともかくとして、確かに王家を守る近衛騎士に悪影響を与えているのは不味いよね。
 王妃様についている他の近衛騎士も、うんうんと頷いています。
 先ずは全員で、王城にある訓練施設に向かいます。
 そして、全員がフル装備をします。

「悪い人は、リズがやっつけるよ!」
「腐りきった性根を叩き直さないと」
「人として更生できるか、ちょっと不安ですね」

 勿論、リズ達だけでなくおばちゃんとジュリさんも武装をしています。
 そして、スラちゃんが王城の陛下の側にいるマグワイアを長距離転移で呼び寄せました。

「うん? 何だこれは?」
「はっ? えっ?」

 スラちゃんは、マグワイアだけでなく何故か陛下も呼び寄せていました。
 陛下は昼食前のおやつタイムだったのか、手にはマロード男爵領名産のお煎餅を持っていました。
 マグワイアは確かに見た目は超イケメンだけど、何だかナルシストな感じもするよ。

「あなた、ちょっと」
「う、うむ。なんだね?」
「あ、あわわわ……」

 ハルバードを肩に担いだ王妃様が、ニコリとしながら状況がよく分からない陛下を呼び寄せました。
 一方のマグワイアは、自分が何故訓練施設に連れてこられたのか理解して顔が真っ青になりました。
 そして、王妃様から話を聞いた陛下がマグワイアをギロリと睨みつけました。

「マグワイア。闇ギルド対策もあるから、軍に限らず王城で働く者はより一層の綱紀粛正を命じたはずだ。それをあろうことか近衛騎士である貴様が破るとは、一体どういう事だ? そう言えば、王妃直属の侍従にも声をかけておったな。まさかとは思うが……」
「へ、へ、へ、陛下、も、申し訳ありません」

 うん、今度は陛下が激おこモードです。
 軍の規律を乱したばかりか、退職したいと言う程のセクハラまでしていたからね。
 更には、王妃様直属の侍従にも手を出していたのを陛下に見られていたとは。
 マグワイアは土下座モードで陛下に謝っているけど、これは謝って許される事ではないでしょうね。
 マグワイアは、完全に調子に乗りすぎましたね。

「詳細な処分は軍務卿に一任するが、先ずは余の権限においてマグワイアの近衛騎士としての任務を解く。おお、ちょうど複数の勲章を持った者がここにおるではないか。貴様の腐った性根を叩き直して貰うが良い」
「陛下、畏まりました」
「ヒィィィ……」

 陛下は、おばちゃんがこの場にいる事に気がついたみたいです。
 おばちゃんは何回も魔獣と戦って、国から複数の勲章を貰っています。
 実績で言えば、実はおばちゃんは物凄いんだよね。
 おばちゃんは陛下に一礼をすると、マグワイアの首根っこを掴んで訓練施設のど真ん中に引きずって行きました。
 まあリズもスラちゃんもいるから、例えマグワイアの手足が一本無くなっても直ぐに対応出来るでしょうね。

「あーあ、私は何やってるんだろうね」
「そうね、まさかアイツがあそこまでクズだとは思わなかったよ」

 大勢に囲まれていてマグワイアがどうなっているか分からないけど、そんな人だかりを見ながらジェリルさんとランカーさんがポツリと呟いていました。
 もう、マグワイアの名前を口にするのも嫌な感じです。
 すると、一緒に森に来ていた近衛騎士の男性が、突然ジェリルさんとランカーさんの手を握りしめました。

「ジェリル先輩、そんなに落ち込まないで下さい。その、力不足ではありますが、私がジェリル先輩を支えます」
「ランカー先輩が傷心しているところで卑怯だと思いますが、私も本気です。ランカー先輩にいつも優しくされて、本当に恩返ししたいと思っていたんです」
「「えっ……」」

 おやおやおや?
 周りの人がマグワイアをボコボコにするのに熱中していてこちらに全く気がついていないけど、とっても熱くて純粋なやり取りが行われているよ。

「陛下、近衛騎士同士の結婚って問題ありますか?」
「うん? 何も問題ないぞ。そもそも、伯母上も近衛騎士同士で結婚していたし。不足したら、軍から代わりを補えば良いだけだ」

 あ、確かにティナおばあさまも元は近衛騎士だったもんね。
 近衛騎士同士の結婚は、全く問題ないですね。
 という事で、ジェリルさんとランカーさんを巡る恋の騒動は一先ず決着しました。
 因みに、マグワイアは王城に勤めている女性兵だけでなく侍従にも手を出していた事が正式に判明して、僻地の男性だけの現場に送られたそうです。
 軍務卿曰く、下手に解雇するよりもキツイ事が待っているそうです。
 どうも、性欲が溜まりまくっている兵が沢山いる所らしいです。
 うん、確かにマグワイアは大変な事になるかもね。
しおりを挟む
感想 293

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。