上 下
444 / 878
第二十三章 ルルーさんの結婚式と新たな命の誕生

五百七十話 薬草採取リベンジ

しおりを挟む
 色々とあって薬草採取が流れちゃったので、翌日薬草採取のリベンジをする事になりました。

「なんで私は、そんな面白いイベントに立ち会えなかったのよ……」
「ま、まあまあ落ち着いて」
「良い感じに落ち着いたんだからね」

 今日は、カミラさんとルリアンさんとナンシーさんが、僕達の護衛についてくれます。
 というのも、近衛騎士の再編の話をしないとならないので、ジェリルさんとランカーさんは勿論の事、ティナおばあさまとノエルさんも王城で打ち合わせをする事になりました。
 結婚式関連はジンさんとレイナさんが主に対応するから、今日はカミラさん達の予定が空くそうです。
 それにしても、カミラさんの悔しがり具合は物凄いね。
 女性は、恋バナが本当に大好きだね。

「いやあ、昨日はあの馬鹿をボコボコにするのに夢中で、肝心の良い所を見損ねたよ」

 冒険者ギルドで一緒になったおばちゃんからも、ジェリルさんとランカーさんが後輩から告白されるシーンを見逃して悔しいといっていました。
 確かに、あのシーンはちょっとドラマティックだったもんね。
 因みに、マグワイアはリズとスラちゃんの合体魔法が必要な位にボコボコにされたそうです。
 あの場にいた誰もが、ボコボコにされたマグワイアに同情しなかったけどね。

「ここが森だよ。薬草をここで採るんだよ」
「へえ、そうなんだね」

 昨日はいなかったけど、今日は新人さんが一人います。
 若い女性で、帝国との国境近くの村の出身なんだって。

「私の家は子沢山なので、いつかは家を出ていかなければならなかったんです」
「へえ、そうなんですね」

 カミラさんが女性の話を聞いているけど、この国は子沢山だから前にも家を出て冒険者になった人がいたよね。

「それに、冒険者になるのも一つの夢だったんです。だいぶ前に帝国に行く王子様とお姫様を見て、小さいのにとっても綺麗で美しくて。冒険者になれたら、もしかしたら会えるのかもって思ったんです」

 うん?
 帝国に向かう小さな王子様とお姫様?
 ちょっと頬を赤らめて女性が話した内容に、僕とカミラさんは思わず顔を見合わせてしまいました。
 それってもしかして……

「おお、王子様とお姫様ってお兄ちゃんとリズの事だよ!」
「えっ? えっ?」

 リズが元気よく手を挙げてバラしちゃったので、女性は大混乱です。
 うん、ここはキッチリと話をした方が良いよね。
 という事で、道端にシートを広げて座って話をする事にしました。

「実は僕とリズは王族で、小さい時にその国境の街を経由して帝国に向かいました。因みに、ここにいるカミラさんとルリアンさんとナンシーさんも、僕達の護衛として帝国に行きました」
「ほ、ほえー、いきなり目的の人に会えるなんて……」

 僕が経緯を話したら、女性は若干混乱しつつも話を飲み込んでくれました。
 まあ、冒険者登録をして一緒に薬草採取をしようとした人が王族だなんて、普通は分からないよね。

「僕たちは、普段は辺境伯領に屋敷があって王城と行き来をしています。冒険者をしている時は、普通に接して欲しいです」
「公務じゃなかったら、普通に話してきて大丈夫だよ!」
「わ、分かりました」

 何とか、こちらの説明に納得して貰いました。
 まあ、暫くは混乱するよね。

「じゃあ、一緒に薬草を採ろう! リズが教えて上げるよ」

 なら、普通に薬草採取をしようと言う事で、リズは張り切って女性に薬草の採り方を教えていました。
 十分もすれば、女性陣は仲良くなってお喋りを始めていました。

「久々に帝国に行った事を思い出しました」
「あの時から、アレク君とリズちゃんは親しみやすい王族だったからね」

 おばちゃんと周囲の警戒をしながら、ちょっと昔話をしました。
 もう、そんなに経つんだね。
 因みに強烈な怒気を昨日放った人がいたので、今日も僕達の周囲はとても安全でした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

竜人の溺愛

クロウ
ファンタジー
フロムナード王国の第2王子であるイディオスが 番を見つけ、溺愛する話。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。