18 / 46
第1章
この世界について【魔法編】
しおりを挟む
「では早速、この世界の魔法について学んでいきたいと思います!」
昨日の夜約束した通りに、僕たちはこの世界について知るため、侯爵家の中にある図書館へ赴き、参考になりそうな本を借りて机に向かっている。
勉強するのは久しぶりな気がするので、少しワクワクしている。
「まずは、魔法の起源からかな。といっても、伝説しか残ってないけどね」
ーー遥か昔、この世界の創造神と、記憶の女神との間に生まれた9人の娘たちがいた。
〈歴史〉の守護者である『クリオ』、
〈喜劇〉の守護者である『タリア』、
〈悲劇〉の守護者である『メルポメネ』、
〈舞踊〉の守護者である『テルプシコレ』、
〈恋愛詩〉の守護者である『エラト』、
〈賛歌〉の守護者である『ポリュムニア』、
〈天文学〉の守護者である『ウラニア』、
〈叙事詩〉の守護者である『カリオペ』、そして
〈抒情詩〉の守護者である『エウテルペ』。
彼女たちは、この世界にそれぞれ国を創った。
クリオは〔マリーノ〕
タリアは〔カメディア〕
メルポメネは〔トゥラグエ〕
テルプシコレは〔ベリー〕
エラトは〔ヴェルレーヌ〕
ポリュムニアは〔ラシーヌ〕
ウラニアは〔アストロン〕
カリオペは〔ユーカラ〕
エウテルペは〔ウィール〕を。
そして、それぞれ時代に沿って人間が支配していくようになり、王国ができた。今では、9人の女神は、合わせてミューズと呼ばれている。
「僕たちが住んでいるウィール王国はエウテルペが創った国なんだね!ルテと名前1文字違いだ!」
確かに、小説の悪役をなんで重要な名前にしたんだろう。疑問が深まるばかりだ。
9国全てが独立して王国となっているが、どこかの国が帝国を作ろうと他国に攻めて、戦争が度々起きている。ウィール王国は一応中立を保っているが、いつ戦争が起きてもおかしくない状態。もちろん、仲良くしている国の方が多いため貿易が盛んに行われていて、ウィール王国は栄えている方だ。特にユーカラ王国やヴェルレーヌ王国、アストロン王国とは特別仲が良い。
今現在戦争が起きているところは、カメディア王国とトゥラグエ王国。この2国は昔からお互い仲が悪く、しょっちゅう戦争したり休戦したり。ウィール王国はあまり関わらないようにしている。
「次は本題の魔法についてだね」
ミューズは、それぞれ自分の力を使って一つずつ魔法の素となる魔素(マナ)を創り出し、人間がそれを使えるように、魔力の器を与えた。器の大きさは人それぞれで、遺伝との関連性はないとされているが、エウテルのように、赤い瞳を持つ人間は比較的器が大きく、膨大な魔力を持つらしい。それも、悪魔の子と忌避されている理由の1つというわけだ。
「でも、なぜかルテは魔力が少なかった。小説のルテの心が荒れる原因の一つにもなっている。使用人には、悪魔の子のくせにって罵られていたらしい...」
「そんなことが...」
おそらく、外伝に書いてあったのだろう。
キタラ家の元使用人たちは、どこまでも心が腐っているらしい。
続きを読んでみる。ミューズが創り出した魔法は、炎・風・水・氷・雷・緑・土・光・闇の9種類。そこから派生して、この前使ったような防音魔法や、日常的に使う浄化魔法、回復魔法などができた。これも、どの性質を持って生まれるかは人それぞれで、1つの人もいれば複数の人もいるし、後天性の人もいる。史上最多は5つだそうだ。5つの性質を持つ人は9人おり、最初にミューズから器を与えられたと伝説になっている。その9人は各国で王となり、国を治めたという。加えて、全員が魔力の器を持つ分けではなく、5つの性質を持つ初代国王の血を受け継ぐ王族、王族の血筋の派生である貴族以外は魔力の器がない人もいる。魔力の器がある平民は、発源すると名字が与えられ、ある程度の地位を取得することができる。
また、光の性質をもつ人間は希少であり、光魔法自体がどの魔法よりも強く、特に回復に特化した魔法のため、光魔法を使う人間は聖者と呼ばれ、平民であれ貴族であれ、保護対象となる。逆に闇魔法は、儀式を交えてでしか手に入れることができない、非常に危険な魔法。儀式には何らかの代償が必要で、どの国でも禁止されている。光と闇は相反している魔法のため、光魔法を使えば、闇魔法を消し去ることができる。
魔力を持つ人は、自分の魔力の性質が決まる15歳から学校に入学することが決まっている。殆どが貴族だが、稀に平民も入学してくることがある。
「それが、小説の主人公のメニル・リードレってわけだね」
メニルは、9歳にして魔法に目覚め、リードレという名字をもらった。さらに、メニルは水、風魔法に加え光魔法の性質も持っていた。それに気づいた教会の人間は、メニルを保護下におき、教会に通わせて貴族と同等の教育を施すことにした。そして、15歳になり、ウィール国立学園に入学する...
「僕は炎と雷と水だっかな。ルテは、緑と土だよね」
エウテルは比較的価値の低い緑魔法と土魔法だった。加えて運動神経も悪く、勉強も中の下だったらしい。顔はめっちゃいいけどフィジカルはちゃんと平凡だったんだな...
「外伝にしか書いてないのって、ちょっと意地悪だよね...ルテが可哀想」
「作者はどういう意図だったんだろう...」
ただの気まぐれなのか、何かしらの意図があったのか。
「今日は、ここまでにしよっか」
結構な情報量だった。まだまだ知っておかなければならないことが沢山あるのに、この先大丈夫かな..
「明日は小説の登場人物を思い出していこう!」
「そうだね、一番重要かも」
味方にできる人がどれくらいいるか..
出来れば、メニルとのいざこざもなく平和に卒業できるのがベストかもしれない。
昨日の夜約束した通りに、僕たちはこの世界について知るため、侯爵家の中にある図書館へ赴き、参考になりそうな本を借りて机に向かっている。
勉強するのは久しぶりな気がするので、少しワクワクしている。
「まずは、魔法の起源からかな。といっても、伝説しか残ってないけどね」
ーー遥か昔、この世界の創造神と、記憶の女神との間に生まれた9人の娘たちがいた。
〈歴史〉の守護者である『クリオ』、
〈喜劇〉の守護者である『タリア』、
〈悲劇〉の守護者である『メルポメネ』、
〈舞踊〉の守護者である『テルプシコレ』、
〈恋愛詩〉の守護者である『エラト』、
〈賛歌〉の守護者である『ポリュムニア』、
〈天文学〉の守護者である『ウラニア』、
〈叙事詩〉の守護者である『カリオペ』、そして
〈抒情詩〉の守護者である『エウテルペ』。
彼女たちは、この世界にそれぞれ国を創った。
クリオは〔マリーノ〕
タリアは〔カメディア〕
メルポメネは〔トゥラグエ〕
テルプシコレは〔ベリー〕
エラトは〔ヴェルレーヌ〕
ポリュムニアは〔ラシーヌ〕
ウラニアは〔アストロン〕
カリオペは〔ユーカラ〕
エウテルペは〔ウィール〕を。
そして、それぞれ時代に沿って人間が支配していくようになり、王国ができた。今では、9人の女神は、合わせてミューズと呼ばれている。
「僕たちが住んでいるウィール王国はエウテルペが創った国なんだね!ルテと名前1文字違いだ!」
確かに、小説の悪役をなんで重要な名前にしたんだろう。疑問が深まるばかりだ。
9国全てが独立して王国となっているが、どこかの国が帝国を作ろうと他国に攻めて、戦争が度々起きている。ウィール王国は一応中立を保っているが、いつ戦争が起きてもおかしくない状態。もちろん、仲良くしている国の方が多いため貿易が盛んに行われていて、ウィール王国は栄えている方だ。特にユーカラ王国やヴェルレーヌ王国、アストロン王国とは特別仲が良い。
今現在戦争が起きているところは、カメディア王国とトゥラグエ王国。この2国は昔からお互い仲が悪く、しょっちゅう戦争したり休戦したり。ウィール王国はあまり関わらないようにしている。
「次は本題の魔法についてだね」
ミューズは、それぞれ自分の力を使って一つずつ魔法の素となる魔素(マナ)を創り出し、人間がそれを使えるように、魔力の器を与えた。器の大きさは人それぞれで、遺伝との関連性はないとされているが、エウテルのように、赤い瞳を持つ人間は比較的器が大きく、膨大な魔力を持つらしい。それも、悪魔の子と忌避されている理由の1つというわけだ。
「でも、なぜかルテは魔力が少なかった。小説のルテの心が荒れる原因の一つにもなっている。使用人には、悪魔の子のくせにって罵られていたらしい...」
「そんなことが...」
おそらく、外伝に書いてあったのだろう。
キタラ家の元使用人たちは、どこまでも心が腐っているらしい。
続きを読んでみる。ミューズが創り出した魔法は、炎・風・水・氷・雷・緑・土・光・闇の9種類。そこから派生して、この前使ったような防音魔法や、日常的に使う浄化魔法、回復魔法などができた。これも、どの性質を持って生まれるかは人それぞれで、1つの人もいれば複数の人もいるし、後天性の人もいる。史上最多は5つだそうだ。5つの性質を持つ人は9人おり、最初にミューズから器を与えられたと伝説になっている。その9人は各国で王となり、国を治めたという。加えて、全員が魔力の器を持つ分けではなく、5つの性質を持つ初代国王の血を受け継ぐ王族、王族の血筋の派生である貴族以外は魔力の器がない人もいる。魔力の器がある平民は、発源すると名字が与えられ、ある程度の地位を取得することができる。
また、光の性質をもつ人間は希少であり、光魔法自体がどの魔法よりも強く、特に回復に特化した魔法のため、光魔法を使う人間は聖者と呼ばれ、平民であれ貴族であれ、保護対象となる。逆に闇魔法は、儀式を交えてでしか手に入れることができない、非常に危険な魔法。儀式には何らかの代償が必要で、どの国でも禁止されている。光と闇は相反している魔法のため、光魔法を使えば、闇魔法を消し去ることができる。
魔力を持つ人は、自分の魔力の性質が決まる15歳から学校に入学することが決まっている。殆どが貴族だが、稀に平民も入学してくることがある。
「それが、小説の主人公のメニル・リードレってわけだね」
メニルは、9歳にして魔法に目覚め、リードレという名字をもらった。さらに、メニルは水、風魔法に加え光魔法の性質も持っていた。それに気づいた教会の人間は、メニルを保護下におき、教会に通わせて貴族と同等の教育を施すことにした。そして、15歳になり、ウィール国立学園に入学する...
「僕は炎と雷と水だっかな。ルテは、緑と土だよね」
エウテルは比較的価値の低い緑魔法と土魔法だった。加えて運動神経も悪く、勉強も中の下だったらしい。顔はめっちゃいいけどフィジカルはちゃんと平凡だったんだな...
「外伝にしか書いてないのって、ちょっと意地悪だよね...ルテが可哀想」
「作者はどういう意図だったんだろう...」
ただの気まぐれなのか、何かしらの意図があったのか。
「今日は、ここまでにしよっか」
結構な情報量だった。まだまだ知っておかなければならないことが沢山あるのに、この先大丈夫かな..
「明日は小説の登場人物を思い出していこう!」
「そうだね、一番重要かも」
味方にできる人がどれくらいいるか..
出来れば、メニルとのいざこざもなく平和に卒業できるのがベストかもしれない。
73
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました
キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。
けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。
そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。
なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」
それが、すべての始まりだった。
あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。
僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。
だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。
過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。
これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。
全8話。
【8話完結】恋愛を諦めたおじさんは、異世界で運命と出会う。
キノア9g
BL
恋愛を諦め、ただ淡々と日々を過ごしていた笠原透(32)。
しかし、ある日突然異世界へ召喚され、「王の番」だと告げられる。
迎えたのは、美しく気高い王・エルヴェル。
手厚いもてなしと優しさに戸惑いながらも、次第に心を揺さぶられていく透。
これは、愛を遠ざけてきた男が、本当のぬくもりに触れる物語。
──運命なんて、信じていなかった。
けれど、彼の言葉が、ぬくもりが、俺の世界を変えていく。
全8話。
転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~
トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。
突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。
有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。
約束の10年後。
俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。
どこからでもかかってこいや!
と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。
そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変?
急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。
慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし!
このまま、俺は、絆されてしまうのか!?
カイタ、エブリスタにも掲載しています。
婚約破棄されて追放された僕、実は森羅万象に愛される【寵愛者】でした。冷酷なはずの公爵様から、身も心も蕩けるほど溺愛されています
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男アレンは、「魔力なし」を理由に婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡され、社交界の笑い者となる。家族からも見放され、全てを失った彼の元に舞い込んだのは、王国最強と謳われる『氷の貴公子』ルシウス公爵からの縁談だった。
「政略結婚」――そう割り切っていたアレンを待っていたのは、噂とはかけ離れたルシウスの異常なまでの甘やかしと、執着に満ちた熱い眼差しだった。
「君は私の至宝だ。誰にも傷つけさせはしない」
戸惑いながらも、その不器用で真っ直ぐな愛情に、アレンの凍てついた心は少しずつ溶かされていく。
そんな中、領地を襲った魔物の大群を前に、アレンは己に秘められた本当の力を解放する。それは、森羅万象の精霊に愛される【全属性の寵愛者】という、規格外のチート能力。
なぜ彼は、自分にこれほど執着するのか?
その答えは、二人の魂を繋ぐ、遥か古代からの約束にあった――。
これは、どん底に突き落とされた心優しき少年が、魂の番である最強の騎士に見出され、世界一の愛と最強の力を手に入れる、甘く劇的なシンデレラストーリー。
【本編完結済】神子は二度、姿を現す
江多之折(エタノール)
BL
1/7外伝含め完結
ファンタジー世界で成人し、就職しに王城を訪れたところ異世界に転移した少年が転移先の世界で神子となり、壮絶な日々の末、自ら命を絶った前世を思い出した主人公。
死んでも戻りたかった元の世界には戻ることなく異世界で生まれ変わっていた事に絶望したが
神子が亡くなった後に取り残された王子の苦しみを知り、向き合う事を決めた。
戻れなかった事を恨み、死んだことを後悔し、傷付いた王子を助けたいと願う少年の葛藤。
王子様×元神子が転生した侍従の過去の苦しみに向き合い、悩みながら乗り越えるための物語。
※小説家になろうに掲載していた作品を改修して投稿しています。
描写はキスまでの全年齢BL
【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる