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準備はおーけー?!

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「陛下は?」
「少々お待ちください。」
 護衛の兵士は扉を開け、お伺いを立てすぐにマルグリットを通す。

「どうしたんじゃ?」
「ちょっとお出かけしてくるわ、竜騎士団借りるわね。」
「・・・どこに行くつもりじゃ。」
「モート連邦国よ、ついでに友好条約の書簡も渡してくるわ、善隣外交も必要でしょう?」
「・・・。」
「どうしたのよ。」
「いやぁ、どこから突っ込んで良いものかと考えておった。」
 エイダンは天井を仰ぎ、苦笑いしていた。

「で?そう言う事になった発端は?」
「・・・チハルがモートさんに誘われて遊びに行くそうよ。」
「じゃよなぁぁぁ。」
「チハルは悪く無いわよ?」
「それも分かっとる、結果的に良い方に進んでおるのもな。」
「それじゃ何?」
「儂の胃が持たん。」
「薬もらったでしょう。」
「そう言う事じゃ無いんじゃが・・・まぁ話は進んでおるのじゃろう?」
「えぇ昼には出発するわ、アイさんに送ってもらうから道中の心配は不要よ。」
 マルグリットは腰に手を当て、勝ち誇ったように言う。

「条約の書類は出来上がっとる、ほれ、これじゃ、他に必要な物はあるか?」
「もう帝国ではないもの、問題はないわ。」
「・・・ない事は無かろう、ゴリ押しするつもりか?」
「フフッ、相手次第ね。」
 エイダンとマルグリットが話をしていると、ベランダのママドラがノックする。

「いらっしゃい、ママドラさん少しお出かけに付き合ってもらって良いかしら?」
「勿論よ、他にも連れて行く?」
「竜騎士団を連れて行くつもり。」
「あら、どこかの国でも落とすのかしら?私1人でも出来るわよ?」
「そんな物騒な事はしないわ、護衛でついて来て欲しいだけよ。」
「分かったわ、準備しておくわね。」
 ママドラはそう言うとベランダに戻り飛んで行った。

「チハルは遊びに行くんじゃろう、邪魔にならんか?」
「私はルイーズと話をするだけですもの、チハルの邪魔はしないわ。」
「ふむ・・・、分かった、それではモート連邦国の方はメグに任せる、以前話した通りで進めて構わん。」
「分かったわ、それじゃ行って来るわね。」
「メグよ、一つ聞いておきたいんじゃが。」
「何かしら?」
「・・・お前、帝国の残党を全滅させる気じゃないじゃろうなぁ?」
「さぁ?どうかしらねぇ~♪」
 フフッと笑いを残し、マルグリットはエイダン国王の執務室から退室し、チハルの部屋へ向かった。


-------------------


「ん?」
 千春は桜の木の前が騒がしくなり、庭に出る。

「なー!?」
「お?ドラゴン達じゃん。」
「これって竜騎士さん達も乗ってるじゃん、全員行くの?」
「どうだろう、あ!フィークスさん!」
 竜騎士団団長のフィークスがダフニーに乗り、庭に降りて来る。

「チハル王女殿下、ご機嫌麗しく。」
 フィークスはダフニーから降りると、騎士の敬礼をしながら千春に挨拶をする。

「・・・・10、11、12、13、全員居るじゃん?」
「はい、ママドラ様より全員招集されました。」
「は?ママドラも行くの?」
 ママドラがちょうどドラゴニュートの姿のまま降りて来る所に声を掛ける。

「は~いチハルちゃん、メグに呼ばれたから行くことになったわ。」
「えぇぇぇ、竜騎士団全員とママドラでしょ?エーデルさんとホーキンさんにもレフトとライト付いてるよ?」
「えぇ、イー、アル、サンが残るから王国は問題無いわよ、戦争しかけられても勝てるわ。」
「いや・・・誰が仕掛けてくるのよ、ドラゴンが居る国に。」
 ドラゴンが勢ぞろいしてる所を見ながらぼやく千春。

「あら~、チハル何事?」
「アルデアおひさー。」
 パタパタと蝙蝠が飛んでくると千春の前で人間に変身する、ぱっと見は千春と変わらない年頃に見えるが、今日はゴスロリと言わんばかりの服でいつもよりも若く見える。

「久しぶり、元気にしてる?」
「してるよん、イーナは?」
 千春がアルデアに聞くと、アルデアはユラ達の方を指差す、同じように人間に変身すると、可愛いフリルの付いた服を着ている。

「なに?今日はゴスロリデー?めっちゃ可愛いじゃん。」
「部屋の模様替えも終わってやる事無かったのよ。」
「え!?これアルデアが作ったの!?」
「そうよ?可愛いでしょ。」
「めっちゃ可愛いわ。」
「チハルの分も有るわよ。」
「え゛?」
「着るでしょ?」
「着ないよ!」
「何で?可愛いって言ってたじゃない。」
「可愛いと着たいは別だよ!」
 千春は手を前に出しプルプルと振る。

「で?何事?」
 アルデアは竜騎士団勢ぞろいの方を見て呟く。

「いや、元帝国に遊びに行くって言ったらなんか大事になってんのよ。」
「ふーん、ドラゴンに乗って行くの?」
「んーにゃ、アイトネに送ってもらうよ。」
「女神アイトネ?何か依頼でもされたの?」
「んー、依頼ではないんだけど、そっちは教国で終わらせてきたんだよ、元帝国の方は新しい食材とかお菓子作れたらなーって思ってさ。」
 千春がそう言うと、アルデアの目が変わる。

「へぇ・・・ふぅん、私も行っていい?」
「ん?いんじゃない?こんだけ人居たら1人2人増えても変わんないっしょ、イーナが居たらユラ達も喜ぶし。」
 ユラを見ると、イーレンと一緒にイーナも手を繋いで何か話をしている。

「それじゃあの子達はイーナが見てるわね、何か有れば私が動けるわ。」
「それは助かるかも。」
「それで、チハル、いつものお願いなんだけどぉ・・・。」
「あーヨリ、今週誰だっけ?」
「ミオじゃね?」
「ん?あ、献血ね、アルデアちゃんいらっしゃーい♪」
 美桜は手を広げアルデアを迎える、アルデアはカプリと美桜の腕に噛みつく。

チュ~~~~~。

「ぷはぁ!ありがとうミオ。」
 美桜はポシェットからポーションを噛み跡に垂らすと傷口が消える。

「ヴァンパイアも大変だねぇ。」
「血を吸わなくても生きては行けるんだけど、調子が悪くなるのよね。」
「まぁ私達が連れて来たようなもんだし、献血だと思えば可愛いもんだよ。」
 実際に数秒血を吸わせるだけで、何故か痛くない為、千春達は順番に血をアルデアに飲ませていた。

「それじゃお母様が来るまでお茶でもしますか、アルデア新しいお菓子あるよ。」
「!?いただくわ♪」
 千春達は応接間に戻りお茶タイムを、竜騎士団は遠征の為の食料や準備を進めていた。






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