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一回帰るよ!

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「イイかおり!」
「甘い匂いだー!」
 ユラとイーレンは朝から千春と厨房に来ていた。

「サフィー、はい。」
「はい。」
 千春はフレンチトーストを作り皿に乗せサフィーナに渡すと、サフィーナはバニラアイスを乗せ、すぐにアイテムボックスへ入れて行く。

「バニラエッセンスはまだ出来て無いけど、バニラビーンズをゲット出来たのは有難いなぁ。」
「このフレンチトーストにも入れてるんでしたっけ?」
「うん、これは王都の商業ギルドでも仕入れて貰わないとね。」
 手持ちのパンを焼き終わり、片付けて仕舞うと、千春は客間に戻る。

「ただいまー、みんな起きた?」
 部屋に入ると、頼子がモリアンとお茶をしていた。

「まだだよー、起こす?」
「ん、私が起こすよ。」
 そう言うと、アイテムボックスからフライパンとオタマを出し、寝室に行く、そして。

ガンガンガンガン!

「起きろー!飯じゃー!」
「うるさ~い。」
「昭和の母ちゃんかょぉぉ。」
「あははは!何それチハル。」
「一回やってみたかっただけ、フレンチトースト作ったよ、食べるっしょ?」
「「「たべる!」」」
 皆は着替えを済ませ、朝食を食べ出す。

「千春、一回帰るんだよね?」
「うん、お母様に怒られたく無いからねー。」
「またアイトネ様?」
「リリ、フェアリーリング作れる?」
 千春は小さなスプーンでアイスを食べているリリに問いかける。

「作れますわー、また教国に来るんですの~?」
「来るかもしれないじゃん?」
「どこに作りますの?」
「教会には用事ないから、外が良いかな、教会関係者に見つかるとめんどくたい。」
「確かにねー、目的は買い物だけなら近くの森とか?」
「離れててもいんじゃね?ロイロちゃんに乗せて貰えばすぐじゃん。」
 フレンチトーストを食べながらまったりと食事を済ませると、千春は立ち上がる。

「さて、帰るか。」
「こっちも準備オッケーだよ。」
 頼子が答えているとノックが鳴る、サリナがドアを開けると、エーデルが入ってくる。

「カーディー枢機卿がお見えです。」
「なにかな?入ってもらって下さい。」
「はっ。」
 千春が許可を出すと、ニコニコと笑みを浮かべるカーディーが入ってきた。

 「おはよう御座います聖女様、ご機嫌麗しく、本日のご予定はどうされますでしょうか。」
「あ、帰ります。」
「・・・・は?」
「アイトネ・・・女神様の用事終わったので。」
「え?あの、え?」
 昨日来たばかりで、まさか次の日には帰ると思わず、カーディーは言葉が出なかった。

「それではお世話になりました、新しい食材も見つける事が出来たので来て良かったです♪」
 満面の笑みで答えると、千春は庭にゴンドラを出す。

「ロイロよろ!」
『おー、皆乗り込めー。』
 ロイロが言うと、皆はワラワラとゴンドラに乗り込む、エーデルとホーキンはレフトとライトに跨る。

「では!しゅっぱーつ!」
 ロイロは大きく羽ばたき、レフト、ライトも同じく羽ばたくとフワリと浮き上がり、空へ消えていった、カーディーは口を開けたまま無言で呆けていた。


-----------------


「はぁ・・・。」
「マルグリット様、どうされました?」
 マルグリットの付き人エリーナはお茶を注ぎながら声を掛ける。

「ユラもチハルも居ないんだもの。」
 手に持っている紙をテーブルに置き、また溜息を吐く。

「トモミ達が来るのも明後日でしょう、チハル達帰ってこないかしら。」
「昨日行かれましたから、数日は泊まられるのでは?」
 エリーナはそう言うと、ふと視線を扉に向ける。

「戻られたようですよ?」
 エリーナは微笑みながらマルグリットに伝える。

「おかあさま!ただいまっ!」
「ユラ!?どうしたの?!」
「お母様おはようございます。」
 ユラはマルグリットに抱きつき、千春とイーレンが手を繋ぎ部屋に入る。

「教国の用事は終わりましたから帰ってきました、それで、モートさんに誘われて元帝国に行きたいんですけど。」
「帝国に?何をしに行くの?」
「・・・えー、遊びに。」
「まだ一部の帝国派の残党がいるわ、安全じゃ無いわよ?」
「そこは大丈夫だと思います、モートさん呼べるようになったので、何かあれば秒で来ますから。」
「えぇぇ、んーーー・・・そうね、いつ行くの?」
「お母様の許可が貰えたらすぐ行く予定ですけど。」
 マルグリットは眉間に皺を寄せ考える。

「移動手段は?ルルとポポに頼むの?」
「行きはアイトネが送ってくれるそうなんで。」
「そう・・・行くのは教国に行ったメンバーかしら。」
「はい、その予定ですせど。」
「分かったわ、ただ護衛にエーデルとホーキンだけでは不安ね・・・、必要な書簡も準備がいるわ、出発はお昼からにしてもらえる?」
「はーい。」
「ユラ、イーレン、チハルの所で遊んでらっしゃい。」
「はーい!」
 マルグリットはユラとイーレンに微笑むと、2人は千春の手を取り部屋を出る。

「あ!チハル!」
「はい?!」
「アイさん呼べる?」
「はい、アイトネー。」
『はーい♪なぁに?』
「アイさん、ちょっとお話があるの、チハルは部屋で待っててね。」
 千春はマルグリットに返事をすると、自室に戻った。


-----------------


「はぁ。」
『心配要らないわよー、私とモートが付いてるわ』
「そうね、アイさんとモートさんが居るなら安心ではあるのだけれど、お国の問題もあるわ、女神様が干渉しても大丈夫?」
『んー、私が手を出す時はチハル達に何かある時だもの、国は関係無いわよ?』
「モートさんが手を出したら漏れなく冥界行きよね?」
『そうね♪』
「・・・私も行くわ、ルイーズとも話をしたいし。」
 マルグリットはそう言うと立ち上がり窓を開け、手を出す、すると小鳥が一羽手に止まる。

チチチッ!

「良い子ね、ママドラを呼んでちょうだい、王様の所で待ってるって伝えてくれる?」
 小鳥はマルグリットの手から離れ、空へ飛んで行った。

「それじゃアイさん、また後で、よろしくね。」
 笑みを浮かべアイトネに言うと、アイトネも微笑み、姿を消した。








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