煩わしきこの日常に悲観

さおしき

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第五章

第一話

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 おきてよはやく
 起きて?早く?俺は寝ているのか?
 はやくおきて
 何故泣いているんだ?それにこの声は…
 お願いだからおきて
 雫……!
 その瞬間、俺は目が覚めた。
 「夢か…」
 この夢は一体何なんだ?毎回見るのも何故なんだ?謎過ぎる。
 「翔!早く支度しなさい!雫ちゃん来てるわよ!」
 母さんの怒号が聞こえてくる。時計に目をやると朝8時。ヤバっ、約束の時間過ぎてんじゃん。俺は急いで支度して、玄関へ。
 「すまん、遅くなった」
 「遅い、私を待たせるなんて」
 雫は不服な態度だった。
 「悪い悪い、昨日寝れなかったんだよ」
 「そう」
 雫は恥ずかしそうに、短くそう返す。
 「そんなことより早く学校行くぞ」
 そうして俺たちは学校へと向かう。昨日までとは違う関係で。
 「翔はテスト勉強進んでる?」
 テスト勉強……そう、今は学生にとって1番と言っていいほど嫌なイベント、テスト期間中の真っ最中だ。
 「実は数学が……」
 そう、俺は大の数学嫌いだ。あんなのどうやったら点数稼げるんだよ。
 「だと思った。翔はホントに数学ダメだよね」
 「助けてほしいくらいだよ」
 「ならさ、今日の放課後一緒に勉強しない?」
 「別に良いけど、どこでやるんだ?」
 すると雫は照れながら
 「私の部屋とか…どうかな?」
 雫の部屋だと!それってまさか、お家デート的なサムシングなのか。
 「良いのか?行っても」
 「全然大丈夫!むしろ来てほしいくらいだし……」
 「っつ……」
 毎回破壊力がえげつないんだよ…
 「なら今日の放課後な」
 「うん!」
 雫はとても嬉しそうにそう頷いた。
 
 「翔はテスト大丈夫なのかい?」
 教室では彼方が俺にそう聞いてくる。
 「今度は彼方か…」
 「どうかしたのかい?」
 彼方は不思議そうに聞いてくる。
 「いや、何でもない。いつも通り数学がヤバいくらいかな」
 「流石は翔だね。期待を裏切らない」
 「バカにしてんのか」
 「まぁまぁ。それよりあの後如月先輩はどうなったの?」
 自分で聞いておいてそれよりって。
 「麻雀部に入るとかで、楽しそうだったけど」
 「そうなんだ。楽しそうだったなら依頼達成なのかな?」
 「多分な」
 「葉月さんは何も言ってないの?」
 彼方はどこか不思議そうに聞いてくる。
 「まぁな。あの後用事があるとか言って何も言わずに帰っていったから」
 「成程ね。それは葉月さんが来たら聞くとして、翔、放課後あたり、テスト勉強でも一緒にどうかな?」
 「悪いな」
 俺はそうキッパリと返す。
 「何かあるのかい?」
 彼方はまたもや不思議そうに聞いてくる。
 「ちょっと用事があってな」
 「へー、それはまたなんとも珍しいね。彼女でもできた?」
 コイツ、鋭いな…
 「んな事よりお前は大丈夫なのか?テスト勉強」
 「だから誘ったんだけど、まぁ予定があるなら仕方ないね。また誘うよ」
 なんとか誤魔化せたのか、彼方はそう言って自分の席に戻っていった。
 なんてったって今日の放課後は雫の部屋でテスト勉強だからな。いくら親友とはいえど、雫とは歴が違うからな。雫とは赤ちゃんの時から、彼方とは中学から。
 ん?待てよ。彼方とは中学の時のいつ知り合ったんだ?でも彼方が中学の時からずっと一緒のクラスって言ってるくらいだから中1の時だろう。にしても、中学での出会いを忘れるなんてな。DHAでも足りてないのか?
 なんて思っていると、葉月が教室に入ってきた。
 「よう、葉月」
 俺は何気なく話しかける。
 「何よ、翔から話しかけてくるなんて珍しいわね」
 「別に珍しく無いだろ……それより、如月先輩の依頼はあれで達成で良いのか?」
 「それをさっき本人に確認したんだけど、これからは自分で頑張る、って言っていたわ」
 先輩……やっぱりカッケーわ。
 「なら依頼達成だな」
 「そうね。ちなみにだけどテスト期間中でも依頼があれば引き受けるから」
 おいおいマジカよ…
 「お前はテスト大丈夫なのか?」
 「何言ってんの。あんなの授業聞いとけば余裕でしょ」
 バケモノかよ…
 その時、朝のホームルームのチャイムがなった。
 「依頼が来てたらまた連絡するから」
 テスト期間くらい休みにならないのか?他の部活は大会が無い限り休みになるってのに。頼むから今日の放課後だけはやめてくれよ。
 
 「とりあえず今日は依頼無し、ね」
 放課後、俺たちは依頼箱の中身を確認していた。
 「なら今日は解散か?」
 「そうね。今日は解散で、また明日確認しましょう」
 葉月のその言葉を皮切りに、俺たちはその場から立ち去った。
 
 「テスト期間となると、皆依頼なんて出す暇が無いんだろうね」
 帰り道、彼方がそう口にする。
 「流石にな」
 高校生にもなるとテスト期間の勉強量は中学校とは比じゃないからな。実際、俺も授業についていくのが精一杯だからな。
 「授業聞いてればできるはずなんだけどね」
 コイツ……
 とか話していると、俺たちは俺と雫の家の前まで来ていた。
 「二人ともまた明日ね」
 「じゃあな」
 「さようなら」
 彼方は自分の家へと向かっていった。
 「なら俺は着替えてから行くよ」
 「うん、わかった」
 俺は一旦自分の家へと帰り、着替えを済ませ、雫の家に行き、インターホンを押した。
 「ちょっと待ってて」
 インターホンの向こうから、雫がそう返す。着替え中か?にしても、何年ぶりだろうか。最後に来たのが小学校六年生の時か?ってなると四年ぶりか…隣なのにな。
 すると玄関が開き、雫が顔を出した。
 「もう良いのか?」
 「うん。上がって上がって」
 そう言う雫に従って、俺は四年ぶりに雫の家に上がった。
 雫の部屋は玄関入って右の階段を上に上がった先にある。小学校の時なんかどれだけ通ったことか。
 「今日はどの教科する?」
 雫がそう尋ねてくる。今回の期末テストは国語総合、数学Ⅰ、日本史A、世界史A、物理基礎、生物基礎、コミュニケーション英語Ⅰ、英語表現Ⅰ、保健、情報の10教科となかなかにボリューミーだ。
 「不安なのは数学と生物、後は英語だな」
 「1番不安なのは?」
 1番…それはもちろん
 「数学だな」
 「なら数学からしよっか」
 そうして、俺たちは数学の教材を取り出し、勉強を始めた。 
 
 
 
 
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