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連載
276、手加減なしのリベンジ
しおりを挟むヒイロさんのもとで今度は教え方をじっくりと習って、ユイルたちとちょっと遊びつつ獣人の村から帰るころにはもう夜中に近い時間だった。
夜は魔物が活発だからね、というケインさんにジャル・ガーさんの洞窟まで送ってもらい、ふとジャル・ガーさんを見ると。
ジャル・ガーさんとヴィデロさんが酒盛りをしていた。
「ヴィデロさん? どうしてここに?」
「マックを迎えに来がてらジャル・ガーと飲んでたんだ」
そう言いながらヴィデロさんが手にしていたカップを掲げる。
酒に濡れたジャル・ガーさんもニヤリと笑って同じようにカップを掲げた。
え、お迎え……? 嬉しい。今日はヴィデロさん仕事のはずだったのに、すごく嬉しい。
「ヴィデロも村に来たらよかったのに」
ケインさんにそう言われて、ヴィデロさんは首を横に振った。
「たまにはジャル・ガーと2人で飲むものいいだろ。なかなか楽しい話を聞けたよ」
「あの話を楽しいっていうのか?」
「ああ。色々とありがとう」
「……まあよ、ヴィデロが納得したならいいんだが」
ヴィデロさんはふっと笑ってカップをジャル・ガーさんのカップにぶつけると、入っていた酒を一気に喉に流し込んだ。
そしてそれを腰のカバンにしまい込み、立ち上がる。
二人の間には数本の酒の瓶が転がっていたけれど、ヴィデロさんの足は全くふらつくことなく、顔色はいつもと全く変わりなかった。酒も強いんだ。男同士の酒盛りちょっと羨ましい。
ヴィデロさんは飲み干した瓶を拾い集め、それをカバンに詰め込んでいくと、酒の入っている瓶をジャル・ガーさんの前に置いた。そのことには何も言わず、ジャル・ガーさんはただ肩を竦めた。
「さ、マック。帰るか。外に馬を繋いでるから、それで帰ろう」
「うん」
手を差し出されて握り返し、ジャル・ガーさんとケインさんに2人で手を振る。
それにしても思わぬ夜デートに、ちょっとだけテンションが上がるんだけど。
洞窟に出てくる魔物を片っ端から切っていくヴィデロさんを見ながら、足取り軽く後を付いていく。
危なげなく外に出た俺たちは、ヴィデロさんが乗ってきた馬に乗って、夜の早駆けデートを楽しんだ。
夜の森を徘徊する魔物の横を駆け抜けながら、今日のことを話す。ヴィデロさんも、ジャル・ガーさんとの話がとても面白かったんだと俺に報告してくれた。
工房にお誘いすると、ヴィデロさんは少しだけ、と馬を外に繋いでから工房に入ってきた。
お茶を出すと、ヴィデロさんがありがとう、と自分の隣の椅子を指し示すので、そこに座る。
すると、ヴィデロさんはそっと俺の手を握り、顔を寄せてきた。
ちゅ、と軽く唇を啄ばまれて、思わずうっとりと目を閉じる。
「マック」
キスの合間にヴィデロさんがそっと俺の名前を呼ぶ。
返事をすると、開いた口からヴィデロさんの舌が侵入してくる。少しだけ酒の味がして、俺はそれだけで酒に酔ったかのようにくらくらとした。
キスをしたまま腰に腕を回されて引き寄せられた俺は、抗うことなくヴィデロさんの膝の上に抱き上げられた。
さらに近くなった身体でさらに深いキスを繰り返す。
絡まる舌に俺も進んで舌を絡めて、2人の口から洩れるちょっとだけ官能的な息遣いを堪能する。
は、と吐息を零すと、ヴィデロさんの目がスッと細められて、さらに口の中を舌で愛撫される。
「……もう少しで、ちゃんと下着が脱げるようになるんだ……だから、その時は、あんな薬をつかわないで、そのまま」
抱いてくれる?
キスの合間の呟きに、ヴィデロさんは間髪入れず「もちろん」と答えてくれた。
この間は寝てしまったからリベンジ、というヴィデロさんとベッドに転がり、細胞活性剤を少量だけ口に含む。
見た目はほぼ変わらず、でもパンツを脱げるようになった俺は、ヴィデロさんにすべての衣類を剥ぎ取られて、相変わらず貧相な身体を晒した。
俺の上に覆いかぶさって来るヴィデロさんの裸体を手の平で撫でながら、至る所に降って来る唇を味わう。
首、胸、腹の至る所に痕を残して行くヴィデロさんの唇が、すっかり元気になっている俺のモノにもキスを降らせて行く。
「あ、あ……っ」
暖かくて柔らかい物に包まれて、思わず腰を引こうとすると、大きな手のひらで腰を掴まれてしまってさらに深く咥え込まれ、身悶える。
ヴィデロさんの口、気持ちよすぎる。
「離して……っ、すぐ、イっちゃいそうだから……!」
何度か口の中を出し入れされただけで切羽詰まった俺は、情けなくもそんな声を上げてヴィデロさんの頭を押さえつけてしまった。
すると、抜き差しをやめたヴィデロさんが今度は舌で俺のモノを弄り始め、さらに情けない声を上げることになった。
手と口で可愛がられて、口でされることに慣れてない俺は、すぐに根を上げ、ヴィデロさんの口の中に盛大に熱を出してしまった。
早すぎだよ、俺……。
ヴィデロさんは俺のモノから口を離すと、今度は細胞活性剤と共に用意していたホットゼリーを手に取って、たらっと手のひらに垂らした。
息切れしていた俺のあらぬところにヴィデロさんのその手が添えられて、あったかくなる。
撫でるように周りごとゼリーを塗りこめられて、一度頑張って力の抜けた俺のモノが、またも元気になってしまった。だってヴィデロさんの手が気持ちよくて。
「ん……っ、んぁ、あ……」
ゆっくりと指が俺の中に挿入されて、声が洩れる。
聞いてるだけで興奮するような水音が自分の下半身から聞こえて来て、それにも興奮する。
ヴィデロさんの指が俺のイイところを撫でて行く度に身体が跳ねて、こらえ性のない俺のモノが涎を腹に垂らし、透明な糸が掛かったようになった。
いつもよりたっぷり時間をかけて解され、堪えられなくなった俺が「早く挿れて……!」と泣きを入れるまで、ヴィデロさんはひたすら手と口を使って俺の快感だけを追求していた。
ぐったりと力を抜きながら、後ろにヴィデロさんのヴィデロさんが宛がわれるのを感じて、思わずホッと息を漏らす。
ゆっくりと挿入されたヴィデロさんのヴィデロさんに満足の吐息を零して、ヴィデロさんの首に腕を伸ばす。
抱き着いて抱き寄せてヴィデロさんにくっつくと、ヴィデロさんの腕が俺の頭を抱え込んだ。
ヴィデロさんのヴィデロさんが俺の快感を余すことなく引き出していき、イイところを擦っていくと思わず口の中にあるヴィデロさんの舌を軽く噛んでしまう。
眩暈がするほどの気持ちよさに、重ねられた口から喘ぎの様な吐息が洩れる。
突かれるたびに目の前に火花が飛んで、でも頭を抱えられてるから挿し込まれたすべてが俺の奥まで届いて、逃げることもできない。
ヴィデロさんの熱を身体の奥に感じたころには、俺とヴィデロさんの密着していた腹は大変な惨状になっていた。主に俺の出しちゃったもので。リベンジ怖い。手加減なし。
すっかり沢山昇天しすぎてぐったりした俺の身体を綺麗に拭いてくれたヴィデロさんは、身体を拭いた布を手に、俺の額にキスを落とした。
「ヴィデロさん……」
腕ひとつあげるのも億劫な俺は、立ち上がったヴィデロさんの服を思わず掴んでいた。
なんとなく、寂しかっただけなんだけど。その意を汲んでくれたヴィデロさんは、一度足元に道具を置くと、ベッドに腰を下ろした。
「マック、声が掠れてる。沢山可愛い声が出てたもんな。気持ちよかったか?」
「もう、良過ぎて力が入らない」
「それは何より。俺も、最高だった」
優しく俺の髪を撫でるヴィデロさんの手にうっとりしていると、ヴィデロさんが「マック」と囁いた。
こんな時に言うのはずるいかもしれないけど、と辛うじて聞き取れるくらいの小さな声が俺の耳に届く。
こんな時って? ずるい何を言おうとしてるの?
少しだけどきっとして待っていると、ヴィデロさんはもう一度俺の額にキスを落とした。
「もし、マックが良ければ、もしマックの不利になるんじゃなければでいいんだけどな」
「うん……?」
2人しかいない空間じゃないと聞き取れないような小さな声で、ヴィデロさんがためらう様に口を開く。
視線が少し揺らいでから、ようやく俺の方に向く。
一旦そこで言葉を止めたヴィデロさんは、俺とがっちり目が合うと、小さく息を吐いてから、続きを口に出した。
「一度、マックのあの時の権限を使って、母に会わせて、貰えないか……?」
ためらう様な口調で、ヴィデロさんは、意外過ぎる言葉を俺に投げてきた。
その言葉は、俺がどうやって頼もうかとひたすら悩んでいた内容を一気に解決するもので。
でもどうしてヴィデロさん自身からそんな言葉が出たんだろう。
そのことが気になってじっとヴィデロさんを見上げると、少しだけ後悔しているような表情のヴィデロさんがいた。
「勿論。いつ行く? いつでもヴィデロさんの予定に合わせるよ。全然俺の不利になんてならないよ。お母さんに会いたくなったの?」
その後悔を消し去ろうと、俺は努めてなんてことないように肯定の言葉を口にした。
ヴィデロさんはまだ少しためらうような顔をしていたけれど、でも俺がいいよと言ったことで、少しだけ口元を緩めた。
「さっき、ジャル・ガーと飲んでいて、母の話になったんだ。色々なことを聞いて、そして、母に会わないと俺の胸のわだかまりは解けないかも、っていう結論にたどり着いたんだ。マックに「生身でしか会う気はない」みたいなかっこいいこと言っておいて、ちょっと情けないんだけどな」
「そんなことない。俺だって自分の母さんがいきなりいなくなったら、戸惑うし自分勝手だと怒るかもしれないし、悲しむし……一緒にセィの王宮に行って、お母さんに会って来ようよ」
「マックにはほんと俺、情けないところばっかり見せてるな」
ヴィデロさんは、苦笑しながら「ごめんな」と謝ってきた。っていうか、何で謝るの。
「俺はそういう風に甘えてもらって、ちょっとでも頼られる方が嬉しいから」
そう本音を零すと、ヴィデロさんの顔からようやく苦みが消えて、ふわっとした笑顔だけが残った。好き。
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