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手に抱える袋から1枚それを取り、口に運び一口噛じった
パキッといった音に近い割音が響きサクサクと咀嚼音が後を追った
甘い生地に甘いチョコレート、それは甘すぎるようで程よい甘さでサクサクのクッキー生地と中央の濃厚なチョコレートが口いっぱいに広がる
"ハマンタッシェン"と呼ばれるお菓子は中央に折って作られる三角形と変わったお菓子で、明らかに日本のものではない
どこのお菓子ですか?と質問すると「…イスラエル」と言った
またイスラエル?
この前のお菓子もイスラエルだった気がする
専門店で大量買いでもしたのかな?
そう思っていると一口しか食べなかったのが気になるのか、食えよと目で訴えてくる
「まだ袋の中にあんぞ」
「そんなに言うなら自分で食べればいいじゃないですか」
「あ」
なんですか?雛鳥みたいに口を開けたりして
"あ"って言われても、困りますよ
「早くしろよ」とか言い放ってきて、さらに困惑する
っえ!?私がジャンさんに食べさせるんですか?本気ですか?
「自分で、食べたらいいじゃないですか」
「事故ったらどうすんだよ」
「…………。」(この前は片手運転しながら食べてたくせに…)
分かりましたよ…と 已むなく袋から取り出し、はい…と彼に向ける
「もっと近く」とか要求してくるんだから、もっと腹立たしくなる
どうぞ!とほぼ怒りのこもった言葉でハマンタッシェンとやらを渡す
ガリッと指に衝撃が走り、その痛みに彼の方を見た
指には噛み付いた跡が残っている
「なにするんですか!」
「なにが」
「今!指噛んだじゃないですか!!」
「知らねぇ」
"知らねぇ"だとーー?
見てみろこの指をと彼の方に手を差し出して、噛み跡を見せつける
若干血が滲んでるではないか……
そんな指を「あぁ?」と怪訝な目で見るジャンさんは何を思ったのか、その噛み跡をぺろっと舐めた
「っ!?んな、な、んで舐めたんですか!」
「ツバつけときゃ治る」
そんな迷信鵜呑みにしてるなんて…
いや、それより謝るなり謝罪するなり他にあるでしょが
……謝るも謝罪も同じ意味か…
もう知らない!と彼に背を向け、窓の外を見た
でも、また不安になって正面に向き直し下に視線をずらした
指に走るジンジンとした痛み
この痛みより強いものが心の奥底で感じる
まだ寄生虫が蔓延ってるみたいだ
最近収まったかと思われていたそれは今になってまた動き出したかのように、私の心臓と言うなの心を締め付けていた
この呪縛からは逃れられないと宣告するように、ヒシヒシとそれを感じる
しばらくすると、車が少し揺れた
どうやら目的地に着いたみたい
しょぼくれたみたいに下を向き続けながらシートベルトを外す私に、帽子のつばを掴んでさらに深く被せてくるジャンさん
何するんですか…とまた怒りそうになるが、何故かその行動が優しく感じられた
私の酷い顔を隠すみたいなそれに何も言えなかった
(私、何泣きそうになってっ………)
バタンッと車のドアを閉める音がした
私を置いて先に車を降りたジャンさんは、電話をしていてそれが終わるまでに気持ちを落ち着かせた
ふぅ……と深く息を吐いて吸い、酸素を肺に届ける
大丈夫、大丈夫、大丈夫…………この呪い的なものも効果はマチマチだ
効く時もあれば、全く効果を発揮しない時もある
割合は5分5分などではなく、2:8の割合で発揮しないことの方が多い
でも、今日は大丈夫かも…と、ジャンさんの後ろ姿を車の中からガラス越しに見ている
よし…と車のドアを開けると、ちょうど彼も電話を終了したタイミングだった
パキッといった音に近い割音が響きサクサクと咀嚼音が後を追った
甘い生地に甘いチョコレート、それは甘すぎるようで程よい甘さでサクサクのクッキー生地と中央の濃厚なチョコレートが口いっぱいに広がる
"ハマンタッシェン"と呼ばれるお菓子は中央に折って作られる三角形と変わったお菓子で、明らかに日本のものではない
どこのお菓子ですか?と質問すると「…イスラエル」と言った
またイスラエル?
この前のお菓子もイスラエルだった気がする
専門店で大量買いでもしたのかな?
そう思っていると一口しか食べなかったのが気になるのか、食えよと目で訴えてくる
「まだ袋の中にあんぞ」
「そんなに言うなら自分で食べればいいじゃないですか」
「あ」
なんですか?雛鳥みたいに口を開けたりして
"あ"って言われても、困りますよ
「早くしろよ」とか言い放ってきて、さらに困惑する
っえ!?私がジャンさんに食べさせるんですか?本気ですか?
「自分で、食べたらいいじゃないですか」
「事故ったらどうすんだよ」
「…………。」(この前は片手運転しながら食べてたくせに…)
分かりましたよ…と 已むなく袋から取り出し、はい…と彼に向ける
「もっと近く」とか要求してくるんだから、もっと腹立たしくなる
どうぞ!とほぼ怒りのこもった言葉でハマンタッシェンとやらを渡す
ガリッと指に衝撃が走り、その痛みに彼の方を見た
指には噛み付いた跡が残っている
「なにするんですか!」
「なにが」
「今!指噛んだじゃないですか!!」
「知らねぇ」
"知らねぇ"だとーー?
見てみろこの指をと彼の方に手を差し出して、噛み跡を見せつける
若干血が滲んでるではないか……
そんな指を「あぁ?」と怪訝な目で見るジャンさんは何を思ったのか、その噛み跡をぺろっと舐めた
「っ!?んな、な、んで舐めたんですか!」
「ツバつけときゃ治る」
そんな迷信鵜呑みにしてるなんて…
いや、それより謝るなり謝罪するなり他にあるでしょが
……謝るも謝罪も同じ意味か…
もう知らない!と彼に背を向け、窓の外を見た
でも、また不安になって正面に向き直し下に視線をずらした
指に走るジンジンとした痛み
この痛みより強いものが心の奥底で感じる
まだ寄生虫が蔓延ってるみたいだ
最近収まったかと思われていたそれは今になってまた動き出したかのように、私の心臓と言うなの心を締め付けていた
この呪縛からは逃れられないと宣告するように、ヒシヒシとそれを感じる
しばらくすると、車が少し揺れた
どうやら目的地に着いたみたい
しょぼくれたみたいに下を向き続けながらシートベルトを外す私に、帽子のつばを掴んでさらに深く被せてくるジャンさん
何するんですか…とまた怒りそうになるが、何故かその行動が優しく感じられた
私の酷い顔を隠すみたいなそれに何も言えなかった
(私、何泣きそうになってっ………)
バタンッと車のドアを閉める音がした
私を置いて先に車を降りたジャンさんは、電話をしていてそれが終わるまでに気持ちを落ち着かせた
ふぅ……と深く息を吐いて吸い、酸素を肺に届ける
大丈夫、大丈夫、大丈夫…………この呪い的なものも効果はマチマチだ
効く時もあれば、全く効果を発揮しない時もある
割合は5分5分などではなく、2:8の割合で発揮しないことの方が多い
でも、今日は大丈夫かも…と、ジャンさんの後ろ姿を車の中からガラス越しに見ている
よし…と車のドアを開けると、ちょうど彼も電話を終了したタイミングだった
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