精霊都市の再開発事業

白石華

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第六章

精霊の住む霊殿へ

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 ざっ、ざっ、ざっ……。

 俺たちは最初に出た場所……海岸から防風林を通って、稲穂の広がる田園地帯に戻った。

「シーガル。お願いします。」

 梅花さんがシーガルに呼びかける。

「はいっ。稲光よ、辺りに降り注げ!」

 ガガガッ……ドゴオオオンッ!

 稲光が田園地帯に降り注ぎ、辺りが光り出す!

 ざああ……っ。

 田園地帯の先に俺たちもよく見る、精霊を祀る霊殿が現れた!

「進みましょう。」
「はい。」

 梅花さんとシーガルが進む気配を見せたため、俺たちは最初の隊列通りに歩くこととなった。

 ・・・・・・。

「儂を呼び出したのはお前たちか。」

 そこには大工の棟梁のような格好をした、身体に雷のような稲光を纏っている精霊が待ち構えていた。

「おお! 雷と大工の精霊か! これはご利益があるぜ!」
「あたしもよく拝んどかなきゃ!」

 俺とカンナで二人で拝み始める。

「礼儀はあるようだな。して。何用だ。」

 精霊が俺たちを見る。どうやらシーガルの方を見ているようだが。俺たちも見ているな。

「はい。僕がひずみによって、産まれてしまった存在だという事ですが。」
「うむ……そのようだな。ひずみは修正するのが習わしとなっている。
 開けてはいけない宝箱を開けてしまった。その修正も儂らの役目だ。」
「それでも、帰らない、と言う選択肢は可能でしょうか。」
「シーガル。」

 梅花さんがシーガルを見る。

「僕はここで暮らしたいです。お願いします……。」
「ふむ。それならそちらのひずみを代わりに修正するとするか。
 そなたも……宝箱を開けた時の。ひずみによって生じた存在だ。
 べっこうぶちの眼鏡に備わった記憶の一部……それがそなただ。」
「えっ?」

 精霊がサシガネの方を見る。

「な、何よ。私をどうする気?」
「なあに、元の姿に戻って貰うだけだ。ここからはいなくなるがな。」
「ちょ、ちょっと、帰る訳ないでしょ! ここが私の住むところよ!」
「しかし、ひずみを修正しないで帰る訳にもいかんからな。どちらか一人。選ぶがよい。」

 精霊が俺たちの前に立って俺たちに確認する。

「どうする?」

 精霊がもう一度、確認したようだった。
 
「その質問を……俺たちに選ばせること自体がムカつくんだよ!」

 俺はハンマーを構えた!

「そうですね。その質問は……私も頂けないと思います。」

 ベルさんも珍しく穏やかじゃない様子で剣を構える。

「サシガネもシーガルも、消させないよ!」

 カンナも構えた。

「どうやら。私も戦う必要がありそうですね。」

 梅花さんが構えるが、口調よりも怒気を孕んでいる。

「僕も……戦います!」
「私もよ! 消えろなんて横暴だわ!」

 シーガルとサシガネも構えた。

「皆さん! 精霊の加護を! これで精霊と戦えます!」

 シーガルが俺たちに加護を授けた!

「なに! 本当に戦う気か!?」
「ったりめーだ! 俺たちにこの質問を選ばせたことを後悔させてやるぜ!」

 俺がハンマーを精霊相手に振りかぶった!
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