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グマグ火山決戦編
第403話 ゴブリンキングとは……
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「そもそもゴブリンといっても様々な種が存在する。通常種のゴブリン、上位種のホブゴブリン、亜種のゴブリンメイジ……そして最上位種のゴブリンキングだ」
「ゴブリンキング……」
「通常、他の魔物の中で最上位種と呼ばれる存在はいない。確かに他の魔物でも上位種と呼ばれる存在はいるが、ゴブリンのように上位種から更に進化を行う魔物は今の所は確認されていない」
「えっ……そうなの?」
「ああ、キングという名前の付いた魔物は他にも存在する。だけどね、ゴブリンのように二度も進化を行う魔物は存在しない。いや、それどころかゴブリンは更に進化の可能性を秘めた存在なんだ」
「進化の可能性?ゴブリンキングよりも更に上があるのかい?」
アルトの言葉にテンも驚き、彼女さえもゴブリンキングが進化するなど初めて知った。それは他の者も同じであり、アルト自身もゴブリンキングよりも上位の存在が居る事は疑っている。
「これはあくまでも昔の文献に書かれていた事なんだが、ゴブリンキングは更に成長するとより強大な存在へと生まれ変わる。通常のゴブリンキングは4~5メートルほどの大きさらしいが、更に進化を果たした場合はより強大な存在へと変わり果てる」
「ど、どんな風に変わるの?」
「文献によれば山をも想像させる巨人と化す……とだけ記されている。最も、王国内でゴブリンキングの存在は確認された事はあるが、ゴブリンキングの更に上位種の存在は確認されていない」
「何だいそりゃ……確認されていないのにどうして記録なんか残ってるんだい?」
「簡単な事さ、この国の外でゴブリンキングが進化を果たしたんだ。そしてその国はもうこの世には存在しない……進化を果たしたゴブリンキング、いやゴブリンキングを越えた新たな存在に滅ぼされたんだ」
「国が……滅ぼされた!?」
かつてゴブリンに滅ぼされた国があるなどナイは初めて知り、他の者達もそんな大事件が起きた事など初めてしった。だが、アルトによれば王国の書庫に保管されていた古い歴史書に記されていた内容であり、実際にゴブリンに国が滅ぼされたのかは半信半疑だった。
「僕の見つけた歴史書はこの国が建国されたばかりの時に記された書物なんだ。かなり前の時代に書き残された書物で一冊しか残っていない。正直、いくらゴブリンキングが強くても国を滅ぼしたなんて簡単には信じられないが……この話が事実ならゴブリンキングは竜種に匹敵する存在というのもあながちほらじゃないかもしれない」
「あたしは信じないよ。確かにゴブリンは厄介な魔物だけど、到底国を一つ滅ぼすような存在になるとは思えないしね」
「そうね……それにゴブリンが巨大化するなんてちょっと信じがたいわ」
「う~ん……昔の人はふざけて書いたのかな?」
「…………」
アルトの話を聞かされてもテン達は信じられず、ゴブリンキングが進化した存在がいるという話も、その存在が国を滅ぼしたと言われても簡単に信じられる話ではない。第一に本当に国が滅びたのならば有名な伝承として残っていてもおかしくはない。
少なくともナイ達はアルトの話を初めて聞き、ゴブリンキングを越えた存在がいるなど今まで考えもしなかった。アルトも自分から話しておいてなんだが、彼自身もゴブリンキングを越える存在が居るかどうかは半信半疑という風だった。
「まあ、僕が言いたいのはゴブリンというのは他の魔物と比べても様々な可能性を持つ存在なんだ。流石に国を滅ぼしたというのは大げさな話に思えるが、大昔からゴブリキングという存在は恐れられていたんだよ」
「要するに油断するなと言いたいんだろう?全く、王子の話はややこしいんだよ」
「いや、すまないね。話し始めると途中でやめられないのが僕の悪い癖だ」
「もう、王子ったら……そんな話で私達をびびらせようとしたの?」
「王子様の意地悪~」
あまりおちついて話していられる状況ではないが、アルトの話によってテン達は緊張が解れた。だが、ナイはゴブリンキングの話と滅ぼされた国の事を知り、アルトに問い質す。
「名前は……?」
「え?」
「名前は何ていうの?そのゴブリキングを越えた存在と、滅ぼされた国の名前は書かれていなかったの?」
「そんなに気になるのかい?そうだな、名前は確か……」
アルトは歴史書を読んだ時の事を思い返し、すぐに名前を思い出してナイに説明してくれた。
「ゴブリキングを越えた存在の事は歴史書には「ゴブリンロード」と記されていたよ」
「ゴブリンロード……」
「だが、これはあくまでも僕達の国でそう呼ばれているだけだ。ゴブリンロードが現れた国では別の呼び方がされていたそうだよ。名前は確か……」
ここでアルトは腕を組み、滅ぼされた国の名前とゴブリンロードがどのように呼ばれていたのかを思い出す。
「――国の名前は「和国」そしてゴブリンロードは和国では「ダイダラボッチ」と呼ばれていたよ」
「ゴブリンキング……」
「通常、他の魔物の中で最上位種と呼ばれる存在はいない。確かに他の魔物でも上位種と呼ばれる存在はいるが、ゴブリンのように上位種から更に進化を行う魔物は今の所は確認されていない」
「えっ……そうなの?」
「ああ、キングという名前の付いた魔物は他にも存在する。だけどね、ゴブリンのように二度も進化を行う魔物は存在しない。いや、それどころかゴブリンは更に進化の可能性を秘めた存在なんだ」
「進化の可能性?ゴブリンキングよりも更に上があるのかい?」
アルトの言葉にテンも驚き、彼女さえもゴブリンキングが進化するなど初めて知った。それは他の者も同じであり、アルト自身もゴブリンキングよりも上位の存在が居る事は疑っている。
「これはあくまでも昔の文献に書かれていた事なんだが、ゴブリンキングは更に成長するとより強大な存在へと生まれ変わる。通常のゴブリンキングは4~5メートルほどの大きさらしいが、更に進化を果たした場合はより強大な存在へと変わり果てる」
「ど、どんな風に変わるの?」
「文献によれば山をも想像させる巨人と化す……とだけ記されている。最も、王国内でゴブリンキングの存在は確認された事はあるが、ゴブリンキングの更に上位種の存在は確認されていない」
「何だいそりゃ……確認されていないのにどうして記録なんか残ってるんだい?」
「簡単な事さ、この国の外でゴブリンキングが進化を果たしたんだ。そしてその国はもうこの世には存在しない……進化を果たしたゴブリンキング、いやゴブリンキングを越えた新たな存在に滅ぼされたんだ」
「国が……滅ぼされた!?」
かつてゴブリンに滅ぼされた国があるなどナイは初めて知り、他の者達もそんな大事件が起きた事など初めてしった。だが、アルトによれば王国の書庫に保管されていた古い歴史書に記されていた内容であり、実際にゴブリンに国が滅ぼされたのかは半信半疑だった。
「僕の見つけた歴史書はこの国が建国されたばかりの時に記された書物なんだ。かなり前の時代に書き残された書物で一冊しか残っていない。正直、いくらゴブリンキングが強くても国を滅ぼしたなんて簡単には信じられないが……この話が事実ならゴブリンキングは竜種に匹敵する存在というのもあながちほらじゃないかもしれない」
「あたしは信じないよ。確かにゴブリンは厄介な魔物だけど、到底国を一つ滅ぼすような存在になるとは思えないしね」
「そうね……それにゴブリンが巨大化するなんてちょっと信じがたいわ」
「う~ん……昔の人はふざけて書いたのかな?」
「…………」
アルトの話を聞かされてもテン達は信じられず、ゴブリンキングが進化した存在がいるという話も、その存在が国を滅ぼしたと言われても簡単に信じられる話ではない。第一に本当に国が滅びたのならば有名な伝承として残っていてもおかしくはない。
少なくともナイ達はアルトの話を初めて聞き、ゴブリンキングを越えた存在がいるなど今まで考えもしなかった。アルトも自分から話しておいてなんだが、彼自身もゴブリンキングを越える存在が居るかどうかは半信半疑という風だった。
「まあ、僕が言いたいのはゴブリンというのは他の魔物と比べても様々な可能性を持つ存在なんだ。流石に国を滅ぼしたというのは大げさな話に思えるが、大昔からゴブリキングという存在は恐れられていたんだよ」
「要するに油断するなと言いたいんだろう?全く、王子の話はややこしいんだよ」
「いや、すまないね。話し始めると途中でやめられないのが僕の悪い癖だ」
「もう、王子ったら……そんな話で私達をびびらせようとしたの?」
「王子様の意地悪~」
あまりおちついて話していられる状況ではないが、アルトの話によってテン達は緊張が解れた。だが、ナイはゴブリンキングの話と滅ぼされた国の事を知り、アルトに問い質す。
「名前は……?」
「え?」
「名前は何ていうの?そのゴブリキングを越えた存在と、滅ぼされた国の名前は書かれていなかったの?」
「そんなに気になるのかい?そうだな、名前は確か……」
アルトは歴史書を読んだ時の事を思い返し、すぐに名前を思い出してナイに説明してくれた。
「ゴブリキングを越えた存在の事は歴史書には「ゴブリンロード」と記されていたよ」
「ゴブリンロード……」
「だが、これはあくまでも僕達の国でそう呼ばれているだけだ。ゴブリンロードが現れた国では別の呼び方がされていたそうだよ。名前は確か……」
ここでアルトは腕を組み、滅ぼされた国の名前とゴブリンロードがどのように呼ばれていたのかを思い出す。
「――国の名前は「和国」そしてゴブリンロードは和国では「ダイダラボッチ」と呼ばれていたよ」
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