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137話 連戦①
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数日後、再びソウクロウと共に。
場所はまさかの自宅付近の川。相手は「夜跳ね」と呼ばれるものだ。
場所が場所なだけに、前にもこの場所の情報は見た事があったし、ついでに軽く調べた事もあった。
内容としては、川に潜む何者かが、夜になると活発になって跳ねるというもの。
発祥の説としては、静かな夜に際立つ川の音に不審がる子供にそう教えた事とか、夜中に子供に出歩かないよう教えるためだとか、定かではない。
ただひとつ、目の前にいる普通ではない魚群の存在が、今の真実。
「…これをどうにかしろ、と?」
確か川幅200mとかだったか。この場所から上流と下流にもそれぞれ同じくらい。
そのあまりにもな規模に、圧倒されてしまう。
「……ひとまず隠匿の結界を張る。これだけ広いと集中せねばならん、あとは任せた。」
「あ、お前っ!」
そう言いソウクロウが以前のように、四方へと結界用の紙人形を飛ばす。
確かに自然とそういう分担にはなるんだろうけどさ。対処投げたよなこいつ!
「…まぁ、やれるだけやってみるしかないよな。」
召喚術でウルフ…ではなく、エンパイアハントでたまに使ってたバードの方を。
たまに使う程度だったから慣れてなくて、イメージを維持するのに結構な集中力を要する。なんとか形にはしたが、自在に扱えるとはとても言えない精度。
そもそも主観で獲物を見据えられる実際の鳥と違って、ここからでは距離感の把握すら難しい。
そんな状態だ。少しでも捕まえて陸地まで、なんて考えてたが、そんな簡単に捕まえられる訳が無く。
消耗してきて水面が歪んで見え…いや、なんか渦巻いてる…?
異様な水の動きが魚群を捕らえ、明らかに収束、こちらに寄せられている。
誰の仕業だ、と辺りを見回すと、もう見慣れた姿がそこにあった。
「これでよかったでしょうか?」
片手を川に浸したナナノハが、そこにいた。
「…何者だ?」
短い言葉、だがソウクロウの警戒先が変わった事が分かる語調。
「ただの通りすがり…なんてのは、通じませんよね。」
「得体を明かさぬ以上、こちらとしては不安要素として警戒せねばならん。この状況で、そういう要素を増やしたくはない。」
ソウクロウからの圧。それでもナナノハの調子は変わらず。
「その前に確認させてください。碑劉院 宗句郎さん、ですね?」
「…あぁ、そうだ。」
「ボクは清水 七葉、ミシカンド派遣調査チームAのリーダーをしている者です。
…とりあえず、これ、片付けてしまいましょうか。」
そう言い、ナナノハが集めた魚群の方を目線で指す。
「それは…そうだな。」
場所はまさかの自宅付近の川。相手は「夜跳ね」と呼ばれるものだ。
場所が場所なだけに、前にもこの場所の情報は見た事があったし、ついでに軽く調べた事もあった。
内容としては、川に潜む何者かが、夜になると活発になって跳ねるというもの。
発祥の説としては、静かな夜に際立つ川の音に不審がる子供にそう教えた事とか、夜中に子供に出歩かないよう教えるためだとか、定かではない。
ただひとつ、目の前にいる普通ではない魚群の存在が、今の真実。
「…これをどうにかしろ、と?」
確か川幅200mとかだったか。この場所から上流と下流にもそれぞれ同じくらい。
そのあまりにもな規模に、圧倒されてしまう。
「……ひとまず隠匿の結界を張る。これだけ広いと集中せねばならん、あとは任せた。」
「あ、お前っ!」
そう言いソウクロウが以前のように、四方へと結界用の紙人形を飛ばす。
確かに自然とそういう分担にはなるんだろうけどさ。対処投げたよなこいつ!
「…まぁ、やれるだけやってみるしかないよな。」
召喚術でウルフ…ではなく、エンパイアハントでたまに使ってたバードの方を。
たまに使う程度だったから慣れてなくて、イメージを維持するのに結構な集中力を要する。なんとか形にはしたが、自在に扱えるとはとても言えない精度。
そもそも主観で獲物を見据えられる実際の鳥と違って、ここからでは距離感の把握すら難しい。
そんな状態だ。少しでも捕まえて陸地まで、なんて考えてたが、そんな簡単に捕まえられる訳が無く。
消耗してきて水面が歪んで見え…いや、なんか渦巻いてる…?
異様な水の動きが魚群を捕らえ、明らかに収束、こちらに寄せられている。
誰の仕業だ、と辺りを見回すと、もう見慣れた姿がそこにあった。
「これでよかったでしょうか?」
片手を川に浸したナナノハが、そこにいた。
「…何者だ?」
短い言葉、だがソウクロウの警戒先が変わった事が分かる語調。
「ただの通りすがり…なんてのは、通じませんよね。」
「得体を明かさぬ以上、こちらとしては不安要素として警戒せねばならん。この状況で、そういう要素を増やしたくはない。」
ソウクロウからの圧。それでもナナノハの調子は変わらず。
「その前に確認させてください。碑劉院 宗句郎さん、ですね?」
「…あぁ、そうだ。」
「ボクは清水 七葉、ミシカンド派遣調査チームAのリーダーをしている者です。
…とりあえず、これ、片付けてしまいましょうか。」
そう言い、ナナノハが集めた魚群の方を目線で指す。
「それは…そうだな。」
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