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第3章 巨大昆虫の生態調査
#8 成虫〜それぞれの着ぐるみ〜
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昨日の撮影で、すでに和佳菜、莉菜、美菜の3人はカナブンの成長過程で死んでしまったので今日は香織とともにメンバーの着ぐるみを着る際、サポートに回る事になった。
撮影が続く、明日菜、絵里菜、茉莉菜、愛菜の4人にとっては不安しかなかった。
早々に離脱した3人を羨ましげに見ている。
本日の撮影ではメタリックグリーンの綺麗なカナブンの着ぐるみを着ての撮影となる。
サナギから脱皮し成虫になるシーンの撮影となるのだが。
幼虫やサナギの着ぐるみとは様相が違っていた。
そして、このカナブンは香織が以前巨大昆虫観察で着た着ぐるみとも違っていた。
香織の時は見た目固そうに見えるが、柔らかい着ぐるみだったが、今回は固く色も鮮やかになっていた。
カナブンの着ぐるみは腹部の背中、つまり羽が収納されて部分が開くようになっていて、そこを開くとサナギの時のような色をした部分が現れる。
そこには縦にファスナーが走っておりそこを開けて着ぐるみを着る。
着ぐるみはそれぞれのメンバーの体型に合わせて作られており、大きさには若干の違いが見られた。
幼虫やサナギの着ぐるみは柔らかく作られていたので同じ大きさでも多少の体型の違いはカバーできたが、成虫であるカナブンは硬く本物のように作られている。
そのためメンバー4人がそれぞれの体型に合わせてカナブンの着ぐるみが作られ、それぞれこれからの撮影のため、異なるギミックを施せるようになっていた。
それはこれからカナブンとして始まる撮影において起こる事象が違ってくる事を意味しており、そのためカナブンの着ぐるみには大きさの違いが求められた。
カナブンの着ぐるみはしっかりと作られているが、サナギの着ぐるみは昨日のものとは違い脱皮しやすいように破れやすく作られている。
そして、茉莉菜にはカナブンに入る前に別の着ぐるみが渡された。
それは内臓器官の着ぐるみ。
次は私かといった感じの茉莉菜は全てを察して落胆の表情を見せ、大きなため息をついた。
内臓器官の着ぐるみは幼虫やサナギよりも細かくよりグロテスクさが増したものになっていた。
茉莉菜は手に取るのも気持ち悪がるほどの出来栄えであった。
そして、幼虫やサナギよりも厚手に作られていた。
そんな茉莉菜にはスタッフからラバースーツが渡された。
オレンジ色の全身を覆うタイプのラバースーツ。
これを着てから内臓器官の着ぐるみに入る。
そしてさらにカナブンの着ぐるみへ。
こんなに重ね着してもなおサナギの着ぐるみに閉じ込められるのだ。
茉莉菜はまだ何も着ていないのに、下を向き声を出さず泣き出してしまった。
ENAMEL STYLE 7菜の中では、絵里菜についで年長者で根性も度胸もある事から茉莉菜がこの役に選ばれたのだが、さすがに不安過ぎて泣き出してしまった。
その背景には茉莉菜に次いで根性も度胸もある和佳菜が着ぐるみの重ね着で泣いてしまったからだ。
茉莉菜を見ていて、絵里菜がスタッフに提案する。
「茉莉菜の役と私の役代わってもいいですか?」
絵里菜の提案はあっさりと却下された。
そして絵里菜にはスタッフからウエットスーツが渡される。
「え!?これを着てから着ぐるみに入るんですか?」
絵里奈が渡されたウエットスーツは海女さんが着るような両面スキンのウエットスーツ。
それだけでも嫌な予感しかしないのに、このウエットスーツのフードは口と目の所しか穴が開いていないのだ。
格好悪くて恥ずかしい。
目出し帽を被っている強盗の顔が絵里菜の脳裏を過った。
絵里菜は目を瞑り何かを払拭するように頭を左右に振った。
絵里菜自身、茉莉菜の事を心配している場合ではなくなった。
茉莉菜は顔を上げて言う。
「絵里菜、ありがとう!私、大丈夫だよ!」
精一杯の笑顔で伝える茉莉菜の目には涙が滲んでいた。
着ぐるみを重ね着する決心をした茉莉菜に撮影の段取りが伝えられる。
ラバースーツ、内臓器官の着ぐるみを着た茉莉菜はカナブンの着ぐるみに入る。
サナギの着ぐるみに入り、サナギを皮を破る事なく死んでしまうカナブン。
解剖室にサナギから脱皮できずに死んだカナブンが解剖室へと運ばれる。
研究所職員の手でサナギの皮を切って脱がされる。
その解剖が始まる前に内臓器官の着ぐるみの内部にはオレンジ色に着色した粘液が流し込まれ、カナブンの中に緑色のローションが流し込まれます。
ちなみにオレンジ色の粘液は茉莉菜の顔には掛からない量が注入されるので安心してと説明された。
段取りが分かるとぶっつけ本番よりは気分的に気持ちが幾分かマシになった茉莉菜。
ただ、スタッフは茉莉菜の不安をこれ以上煽らないようにある事を伏せて説明した。
それは内臓器官内部に注入する粘液がトリモチである事を。
そんな事を伝えたらまた泣き出してしまいかねないという考えがあったからだ。
ようやく、着替え始めた茉莉菜に対して、絵里菜も不安そうな表情を見せている。
見た目が強盗みたいになるからではない。
ウエットスーツを着るという事は、水に入る事を意味しているからだ。
ドッキリの時のワニの着ぐるみの時もそうだった。
スタッフはこれ以上の余計な説明は避けたかったのだろう。
時計を見て、急いで着替えるように促すと控え室を出て行ってしまった。
明日菜と愛菜はインナーに緑色の全身タイツ。
明日菜は顔出しで布地の全身タイツ、愛菜は緑色のラバースーツ、しかもラバーマスクもしっかりと被らなければいけないようであった。
これが何を意味しているのかは撮影が進むと分かってくる
だろう。
撮影が続く、明日菜、絵里菜、茉莉菜、愛菜の4人にとっては不安しかなかった。
早々に離脱した3人を羨ましげに見ている。
本日の撮影ではメタリックグリーンの綺麗なカナブンの着ぐるみを着ての撮影となる。
サナギから脱皮し成虫になるシーンの撮影となるのだが。
幼虫やサナギの着ぐるみとは様相が違っていた。
そして、このカナブンは香織が以前巨大昆虫観察で着た着ぐるみとも違っていた。
香織の時は見た目固そうに見えるが、柔らかい着ぐるみだったが、今回は固く色も鮮やかになっていた。
カナブンの着ぐるみは腹部の背中、つまり羽が収納されて部分が開くようになっていて、そこを開くとサナギの時のような色をした部分が現れる。
そこには縦にファスナーが走っておりそこを開けて着ぐるみを着る。
着ぐるみはそれぞれのメンバーの体型に合わせて作られており、大きさには若干の違いが見られた。
幼虫やサナギの着ぐるみは柔らかく作られていたので同じ大きさでも多少の体型の違いはカバーできたが、成虫であるカナブンは硬く本物のように作られている。
そのためメンバー4人がそれぞれの体型に合わせてカナブンの着ぐるみが作られ、それぞれこれからの撮影のため、異なるギミックを施せるようになっていた。
それはこれからカナブンとして始まる撮影において起こる事象が違ってくる事を意味しており、そのためカナブンの着ぐるみには大きさの違いが求められた。
カナブンの着ぐるみはしっかりと作られているが、サナギの着ぐるみは昨日のものとは違い脱皮しやすいように破れやすく作られている。
そして、茉莉菜にはカナブンに入る前に別の着ぐるみが渡された。
それは内臓器官の着ぐるみ。
次は私かといった感じの茉莉菜は全てを察して落胆の表情を見せ、大きなため息をついた。
内臓器官の着ぐるみは幼虫やサナギよりも細かくよりグロテスクさが増したものになっていた。
茉莉菜は手に取るのも気持ち悪がるほどの出来栄えであった。
そして、幼虫やサナギよりも厚手に作られていた。
そんな茉莉菜にはスタッフからラバースーツが渡された。
オレンジ色の全身を覆うタイプのラバースーツ。
これを着てから内臓器官の着ぐるみに入る。
そしてさらにカナブンの着ぐるみへ。
こんなに重ね着してもなおサナギの着ぐるみに閉じ込められるのだ。
茉莉菜はまだ何も着ていないのに、下を向き声を出さず泣き出してしまった。
ENAMEL STYLE 7菜の中では、絵里菜についで年長者で根性も度胸もある事から茉莉菜がこの役に選ばれたのだが、さすがに不安過ぎて泣き出してしまった。
その背景には茉莉菜に次いで根性も度胸もある和佳菜が着ぐるみの重ね着で泣いてしまったからだ。
茉莉菜を見ていて、絵里菜がスタッフに提案する。
「茉莉菜の役と私の役代わってもいいですか?」
絵里菜の提案はあっさりと却下された。
そして絵里菜にはスタッフからウエットスーツが渡される。
「え!?これを着てから着ぐるみに入るんですか?」
絵里奈が渡されたウエットスーツは海女さんが着るような両面スキンのウエットスーツ。
それだけでも嫌な予感しかしないのに、このウエットスーツのフードは口と目の所しか穴が開いていないのだ。
格好悪くて恥ずかしい。
目出し帽を被っている強盗の顔が絵里菜の脳裏を過った。
絵里菜は目を瞑り何かを払拭するように頭を左右に振った。
絵里菜自身、茉莉菜の事を心配している場合ではなくなった。
茉莉菜は顔を上げて言う。
「絵里菜、ありがとう!私、大丈夫だよ!」
精一杯の笑顔で伝える茉莉菜の目には涙が滲んでいた。
着ぐるみを重ね着する決心をした茉莉菜に撮影の段取りが伝えられる。
ラバースーツ、内臓器官の着ぐるみを着た茉莉菜はカナブンの着ぐるみに入る。
サナギの着ぐるみに入り、サナギを皮を破る事なく死んでしまうカナブン。
解剖室にサナギから脱皮できずに死んだカナブンが解剖室へと運ばれる。
研究所職員の手でサナギの皮を切って脱がされる。
その解剖が始まる前に内臓器官の着ぐるみの内部にはオレンジ色に着色した粘液が流し込まれ、カナブンの中に緑色のローションが流し込まれます。
ちなみにオレンジ色の粘液は茉莉菜の顔には掛からない量が注入されるので安心してと説明された。
段取りが分かるとぶっつけ本番よりは気分的に気持ちが幾分かマシになった茉莉菜。
ただ、スタッフは茉莉菜の不安をこれ以上煽らないようにある事を伏せて説明した。
それは内臓器官内部に注入する粘液がトリモチである事を。
そんな事を伝えたらまた泣き出してしまいかねないという考えがあったからだ。
ようやく、着替え始めた茉莉菜に対して、絵里菜も不安そうな表情を見せている。
見た目が強盗みたいになるからではない。
ウエットスーツを着るという事は、水に入る事を意味しているからだ。
ドッキリの時のワニの着ぐるみの時もそうだった。
スタッフはこれ以上の余計な説明は避けたかったのだろう。
時計を見て、急いで着替えるように促すと控え室を出て行ってしまった。
明日菜と愛菜はインナーに緑色の全身タイツ。
明日菜は顔出しで布地の全身タイツ、愛菜は緑色のラバースーツ、しかもラバーマスクもしっかりと被らなければいけないようであった。
これが何を意味しているのかは撮影が進むと分かってくる
だろう。
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