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第4話:作戦開始! 名将との邂逅

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天照が高天原に帰還した後、東郷は富嶽に今回の作戦に巻き込んだことを詫びたが富嶽は何故、この俺を選んだのか? そして、他の乗員を選んだ基準を尋ねる。

 東郷の説明によると富嶽を選んだのは単純に日本という国を愛していて歴史通であると共に天照様自身が富嶽を気に入り彼を指揮官にと言うお告げだったとのこと。

 後、他の乗員を選んだ基準は八咫烏に古来から伝わる秘術で選ばれたのとのことでそれについては説明が複雑だとのことで一週間はかかると言われて富嶽はとりあえず納得するがまだ問題点が残っている事を心配する。

「他の乗員はどういう気持ちかな? 今から艦内放送で言わないとね」





 天照が姿を消した後、周囲の景色は元に戻ったが乗員達はしばらく無言状態で時が止まったような感じであったが富嶽の館内放送で我に返る。

「全乗員に告ぐ、先程の出来事は夢ではなく本当に遭遇したことだ。既に我々は昭和十九年の世界にタイムスリップしている。もうルピコン川を渡ったのだ、最早後戻りは出来ない! 故に天照女神様から与えられた依頼を遂行することを決定した。何か質問あれば本日1700時まで受け付ける」

 結果的には1700まで富嶽と東郷の元に全乗員が来て嵐のような質問が飛び交ったが最終的に全員の意思は艦長に命を預けるとのことで一致したが、我々は、元の世界に戻れるのか? この意見は全員の最も知りたい事であり、その件に関しては東郷が説明する。

「全てが成就すれば戻れるには戻れますが本来の日本に帰還することになるので我々が知っている世界ではないですが」

 この言葉に皆は愕然とするが元の世界に執着していないのでそれを受け入れる。

 富嶽は皆の最終意見が一致してこの難局に立ち向かっていく決意を知って非常に満足する。

「やるか、艦長として必ず成功して一人の犠牲も無く本来の日本に返さなくてはね?」

 東郷も力強く頷きながらやはり富嶽を選んだことに満足する。

 この方は必ず成し遂げてくれるだろうと。





 全乗員の意見が合致した雪風は針路をタウィタウィ泊地に向けて二十五ノットで進んでいた。

 タウィタウィ泊地とはフィリピンのセレベス海にある二十番目に大きい島である。

 富嶽の話によるとこの時期、小沢治三郎中将率いる第一機動部隊はタウィタウィ泊地で訓練の総仕上げを行うために進出する予定であったからである。


「しかし、その泊地に到着していかがするのですか? まさか未来から来たとでも言うのですか?」

 大会議室内にて各分隊長が座っていてその内の一人である第四分隊長の内田一美が富嶽に尋ねる。

 内田の言葉に富嶽は笑いながら話す。

「何故か……ま、何とかなると思うのは何故だろうね?」

 頭を掻きながら呟く。

 呆れた顔をしながら内田が何か言おうとすると東郷が珍しく駆け込んでくる。

「艦長! こちらに二式大艇が一機こちらに向かってきてるのですが……艦長にお会いしたいと先方から無線が入りました」

 東郷もこんな出来事に遭遇したのはまさかという表情である。

 富嶽は冷静に東郷に言う。

「もしかして……小沢中将だったりするとか……?」

 富嶽の言葉に東郷は鳩が豆鉄砲を食らったような表情をしながらうなずく。

「は、はい! 先方は確かに小沢治三郎中将と言ってきています、後十分後に到着予定です」

 富嶽は数十秒ほど、じっと何か考えていたが椅子から立ち上がると東郷に伝える。

「小沢中将は今の時期では総指揮官の立場だから敬意を込めてお迎えしないといけないね」

 そう言うと富嶽は会議室を出て上甲板に出ると双眼鏡で一四時の方向を見ると確かに二式大艇の姿がレンズに収まる。

「感激だね……? 実物を見れるなんて」





 十分後、雪風の右舷の水上に着水した二式大艇から一人の軍人が出てくる。

 雪風から内火艇が出て迎えに行く。

「鬼瓦と呼ばれていたと聞いていたが成る程……闘気というかこの距離からでもビリビリと伝わってくるよ」

 東郷も確かにと頷く。

「しかし、何故……彼が本来存在しない我々を知ったのでしょうか?」

 富嶽は東郷の方を見て意地悪そうな笑顔を浮かべると答える。

「天照様から彼に何かお告げがあったのかもしれないね? 彼女にとっては何が何でも歴史の歪みを取り戻さないといけないから相手の方にも伝えて協力させるように仕向けるのではないかと思ってね」

 東郷は富岳の言葉に納得すると同時に彼の洞察力に驚く。

 五分後、雪風甲板上に上がってきた日本海軍軍人と正対した富嶽は海軍式の敬礼をする。

 相手も見事な答礼を返しに来る。

「初めまして、私は雪風艦長の富嶽武雄と言います! 小沢治三郎中将閣下でいらっしゃいますか?」




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