ただ、今回話題となっているような注意喚起を募集要項に記載しておけば、募集する事業者側が“来てほしくないタイプの人”は応募してこないのではないか。前出と別の飲食店オーナーはいう。
「ウチは飲食店なので男性の場合は髪の毛が耳にかからないなど清潔なヘアスタイルで来てくださいねと募集要項に記載しているのですが、そうした注意書きを無視した人が来てしまうこともあります。タイミーは仕事の前日や当日でも申し込みが可能なので、とにかく時間が空いてるからという理由だけで申し込む人のなかには、募集要項の細かい記述を読んでいない人もいるでしょう。また、遅刻せずに現場に行きさえすれば時給がもらえると考えている人もいるでしょう」
就職支援サービス会社社員はいう。
「店や事業者側としては、希望通り、指示通りに働いてくれるワーカーに来てほしいと考えがちですが、そもそもスポットワークというのは低コストかつ短期間で人を確保できるというメリットの裏返しとして、どのような人が来るのか当日にならないとわからないというデメリットを覚悟しなければならないものです。また、タイミーのワーカーの属性をみると、ほぼ半数が40代以上であり、一概にはいえないものの、それくらいの年齢の人で高いレベルのスキルを持つような人材は、正社員や契約社員として働いているケースが多いので、タイミーのようなスポットワークを使って仕事を探すケースは少ないでしょう。アルバイトの時給ですぐに働いてくれる人材ということを前提に考えれば、ものすごくスキルの高い人材、もしくは事業者側の期待を超えるようなスキルを持つ人材が来てくれるということは期待しにくいといえます。そして、確実に一定のレベルのスキルや能力のある人材を確保したいのであれば、コストと労力をかけて正社員や契約社員、アルバイト・パート社員を募集して雇用すべきだということになります」
タイミーの累計登録者数は約900万人、求人の事業所数は約29万7000拠点に上る。特に求人の事業所数ベースでは、競合サービスの「メルカリ ハロ」「シェアフル」を大きく引き離す。東証グロース市場上場に際し公表した「事業計画及び成長可能性に関する事項」によれば、タイミー経由で働く人の業種としては、物流(倉庫内作業)・飲食・小売が9割を占めている。
(文=Business Journal編集部)