タイミーで飲食店が「不衛生な状態の人、指示に従えない人は来ないで」賛否両論

　スキマバイトのサービス「タイミー」の利用者が増えるなか、ある飲食店が募集要項の注意事項として、不衛生な人や掃除機の使い方がわからない人、人の指示に従うのが難しい人はご遠慮くださいと記載。これをめぐりSNS上では「タイミーは当たり外れが大きい」「本当にヤバい人が来るんだろう」「日雇い労働者に求めすぎ」「忙しい時だけスポットで人に入ってもらっておいて都合が良すぎる」「嫌なら正規で使える人間をまともな賃金で雇用すべき」などと様々な声があがり、議論を呼んでいる。便利なスポットワークのマッチングサービスを利用して人を雇う際のリスクについて、利用経験のある事業者の見解などを交えて追ってみたい。

　7月26日に東証グロース市場に上場し、時価総額（公開価格ベース）が約1380億円の大型上場となり注目されているタイミー。同社が運営するのが、働きたい人と企業をマッチングするスキマバイトのサービス「タイミー」だ。タイミーの特徴としては、働きたい人がアプリを使って瞬時に仕事を確保できること。日時・時間を指定して数時間だけの単発のアルバイトを見つけられ、一般的なアルバイト募集で必要な履歴書の提出や面接などが不要で、早ければ当日に働くことが可能。さらに即日に報酬を受け取ることができる。

　一方、求人を出す企業側のメリットとしては、求人の掲載料金が無料である点だ。一般的に求人サイトの掲載料は1件あたり約10～15万円ほどといわれており、採用に至らなかったとしてもコストが発生するが、タイミーは採用が成立した場合のみ、企業はワーカーに支払う報酬の30％を手数料としてタイミーに支払うかたちとなる。また、タイミーはサービスを利用して働いたワーカーを事業者が正社員として雇用することを許しており、正社員登用をサポートするサービス（「タイミーキャリアプラス」）も提供している。

「タイミー経由で来る人のレベルは揺れ幅が大きい」

　そのタイミーで、ある飲食店が募集に際して記載している以下の注意事項が議論を呼んでいる。

＜飲食店ですので、過度な汗の臭いや体臭のある不衛生な状態では来ないでください、店内に臭いが移ると大変迷惑です＞

＜掃除機の使い方がわからない、床のモップがけの仕方がわからないなど、掃除が全くできない方、一般的な皿を洗うなどの家事ができない方はご遠慮ください＞

＜勤務態度が悪く仕事が全く進まない方がいました、仕事内容は店主が都度お願いしています、人の指示に従うのが難しい方、自分のこだわりが強すぎる方はご遠慮ください＞

＜店舗の場所は住所通りです、事前に調べてから申し込みをお願いします、調べずに電話で自分の場所を聞いてくるのは作業が増え迷惑なのでやめてください＞

　これをめぐりSNS上では前述のとおり、様々な声があがっているのだ。タイミーを利用している居酒屋で働く男性はいう。

「タイミーで雇った人のなかには、たまにですが呆れるほど酷いレベルの人がいます。例えばウチの店では落下防止のためにドリンク用とフード用でトレイを使い分けるようにしているのですが、男性ワーカーが料理用のトレイでドリンクを運ぼうとしていたので、やんわりと『ドリンクはこっちのトレイを使ってくださいね』と伝えたところ、『そんな法律はない』と言い返されたんです。また、ホール担当がテーブルでお客さんの注文を聞きながら専用のモバイル端末に入力するシステムなのですが、とにかく正しく入力できず、厨房スタッフを怒らせていた人もいました」

　ある飲食店オーナーはいう。

「タイミー経由で来る人のレベルは揺れ幅が大きいです。たまにホテルや高級な飲食店で長年働いた経験があると思われる、『なぜスポットバイトなんてやってるんだろう』と疑問を感じるほどものすごくレベルの高い人が来ることがあります。逆に明らかに接客に向いていない人が来て、困ることもあります。客前に出すわけにもいかず、そういうときは仕方がないので適当に掃除とかをしてもらっています。最近は横柄な言動をするお客さんや、クレームっぽいことを言うお客さんというのは少ないのですが、『頼んだものと違う』『いつもより●●が少ない』といった苦言を受けると、その場でフリーズしてしまう人などもいます。また、最近は『申し訳ございません』という一言が言えない若者が増えている気がします。お客さんも人間なので、いくら文句があっても目の前の店員から本当に申し訳なさそうに謝罪の言葉を一言言われると、『まあ、いいけどさあ』となるものですが、逆に謝罪がないために事態をややこしくしてしまうという人がいます。どうも今の若者には『自分が悪いということ認めたくない』という思考があるように思えますが、そういう基本的な社会人としてのマナーがないがために定職に就けないという人も、タイミーで働く人のなかには一部いるのではないでしょうか」