大塚商会・サイゼリヤ決算説明資料、無駄なことに労力使わない感は経営的正義

 メガバンク系のファンドマネージャーはいう。

「一見すると手抜きかと思われるが、最低限必要なことは書かれている。金融商品取引法で提出が義務付けられている有価証券報告書などとは異なり、決算説明資料は法律で作成が義務付けられているものでもないので、どの程度力を入れるのかは各企業の判断に委ねられている。

 両者に共通しているのは、主要株主が創業家もしくはその関連企業で、あとは安定株主である大手金融機関という点。株主構成も本業も安定しているので資本面の懸念は低い。また、サイゼリヤの顧客はレストランを利用してくれる個人客であり、低価格かつ高いクオリティの料理を提供することをウリにしているので、その実現や店舗オペレーションの効率化などには経営リソースを割く必要がある一方、いくら決算資料の充実に力を注いでも、その労力とコストに見合うリターンはない。大塚商会についても、顧客である中小企業との関係強化や自社サービスの開発、人材教育などへの投資には意味があるが、決算資料をブラッシュアップしたところで意味がないし、業績への影響があるとも思えず、無駄ともいえる。よって、両者が決算資料に労力を割かないというのは経営的には正しいということになる」

(文=Business Journal編集部)