昨日(13日)から販売の予約受付が開始された米アップルの新商品、iPhone 16シリーズ。AI機能の「Apple Intelligence」などが注目されているが、世間のイメージとは異なり、意外にもiPhoneシリーズの機能にはスマートフォン市場全体でみると最新のものは少なく、ソニーの「Xperia」や富士通が手掛けていたスマホシリーズ「arrows」(現在は別会社のFCNTが展開)、さらにはガラケーといわれるフィーチャーフォンなどの日本製商品や、韓国サムスン電子の「Galaxy」などにすでに搭載されている機能が少なくないという指摘もある。果たして、これは事実なのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
米アップルは10日、iPhone 16シリーズを発表した。まず、iPhone 16とiPhone 16 Plusについては、「カメラコントロールボタン」「アクションボタン」、AI機能の「Apple Intelligence」が新たに搭載された点が従来モデルとの大きな違いだ。カメラをタップするだけで起動・撮影・フォーカス調整ができ、カメラコントロールを指でなぞることでズーム・露出・被写界深度の設定ができる。iPhone 15 Pro(Pro Max含む)で搭載されたアクションボタンが搭載され、サイレントモードの切り替えなどを行える。カメラは48MPメインと12MPカメラのディープフュージョンカメラで、超広角・広角・2倍ズーム・マクロに対応可能。iPhone 15 Proシリーズと同じくカメラ配置が斜めから水平に変更され、空間ビデオの撮影が可能になった。
注目されるのがApple Intelligenceだ。Siriはユーザの文脈を理解し、たとえばメールは開かずとも概要を受信ボックスから把握できる。電話アプリやメモアプリでは音声の書き起こし・要約ができる。
サイズは前世代モデルから変更はなく、iPhone 16は47.6×71.6×7.80mm、iPhone 16 Plusは160.9×77.8×7.90mm。プロセッサは「Apple A18」を新搭載し、CPUは6コアで、前世代モデルのA16 Bionicと比べて30%高速化した。本体バッテリー容量は拡大され、バッテリー持続時間が延長されている。
iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxは前世代モデルと比べてサイズが大きくなった。iPhone 16 Proは6.3型、iPhone 16 Pro Maxは6.9型のディスプレイを搭載。こちらもApple Intelligenceとカメラコントロールを搭載。プロセッサは「A18 Pro」を新搭載し、全世代モデルのA17 Proに比べてGPUは最大20%高速化、消費電力は20%削減した。
カメラとしては48MPのFusionカメラ、48MPの超広角カメラ、5倍望遠カメラを搭載し、4K120fpsの動画撮影にも対応。
ITライターの佐野正弘氏はいう。
「ハード面については最新のチップを搭載するなどスペック的に底上げされている一方、新機能として大々的に謳っているApple Intelligenceはまず10月に米国でベータ版がリリースされますが、日本語へのの対応は2025年の予定となっているなど、AI関連ソフトの環境整備がが間に合っていない印象です。アップルとしてはApple Intelligenceの製品化を急ぎたかったのでしょうが、来年にならないと機能を十分に使えないのなら今急いで買う必要があるのかということになり、販売戦略的なアンバランスさと疑問を感じます」