――中国経済の減速によって、中国の購入量が減ったとしても、日本国内の品薄感は簡単には解消されないとみていますか。
「中国での消費が減ったからといって、それを国内に流通させることは考えにくいですね。そうするとプレミア感がなくなり価格が暴落するので、サントリーさんなどのメーカーとしては避けたいはずです」
――価格が一気に下がらないとしても、「白州」や「山崎」が店頭に並ぶようになってくるのでしょうか。
「『山崎12年』(700ml)の定価は1万6500円ほどで、最近は安くなったとはいえ弊社の販売価格は2万5300円です。もう少し落ち着いてきても、2万円前後で下げ止まる可能性が高く、定価で買えるようになるには、しばらく時間がかかると思います」
――飲食店などでは定価で購入できているとの声もありますが、業務用の流通枠があるのでしょうか。
「業務店への販売を優先しているという面はあると思います」
――買取価格の相場は、どのようにして決まるのでしょうか。
「もともとはオークションで価格が決まっていたのですが、最近は競合他社同士でにらめっこをしている状況です。現時点で売れる価格から逆算し、粗利を引いた値段で買い取りをするというかたちです。販売価格はある程度決まっていますが、保有している販売ルートや企業の体力によって、買取価格は変わるといえます」
――では今のように価格が急激に下がった場合には在庫管理が難しくなりますね。
「他社が買取価格を下げた際に、仮に価格を高く維持していると商品が集まりすぎて在庫がダブつく可能性があります。確実に捌ける量を維持するためには、周辺相場に合わせて迅速に買取価格を下げることになります」
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、日本産の酒類も合わせて世界で人気が高まった。特にウイスキーは評価が高く、希少価値も高かったことから投機の対象にもされ、模造品も出回るほどだった。だが、中国の景気低迷を受けて投機筋が手を引き始めたとの観測もあり、ウイスキーの価格は急速に落ちてきたとみられる。
ウイスキーファンにしてみれば、価格が高騰しすぎていた製品が、再び定価で買えるようになることを期待するばかりだろう。
(文=Business Journal編集部、協力=本村翔太/キングラムリカー事業責任者)