日本国内市場に関していえば、インバウンド向けは一定の成長が見込めるものの、特に今の20~30代女性は安いプチプラコスメや100円ショップのコスメを愛用したりと低価格品志向が強く、長期的にみるとハイブランド化粧品などは大きな成長が見込めないとの見方もある。資生堂は長期的にみて、持続的に成長を続けていけると考えられるか。
「資生堂はここ数年で、中国で展開してきた中低価格の化粧品ブランドを売却。さらに『TSUBAKI』などブランド力の高かったシャンプーなどの日用品部門も完全に売却してしまいました。結果的にプレステージ商品の売上が全体の61%と高価格化粧品にフォーカスするポートフォリオになっています。それにくわえて大幅な人員のリストラに踏み切ったことで、高価格化粧品中心での高収益企業をめざしているというのが現在の戦略です。
資生堂は以前から北米とヨーロッパ市場でプレステージブランドイメージづくりに力を入れてきましたが、それはうまくいかず、結果としてはむしろ中国・アジアでのプレステージブランドの位置を獲得しました。そのまま中国市場が拡大してくれればよかったのですが、折からの不動産バブル崩壊で中国の高級品市場の先行きが怪しくなってきています。総合的に見れば非常に苦しい時期が長く続きそうです」(鈴木氏)
(文=Business Journal編集部、協力=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)