「外資系IT企業ではAIやデータサイエンスなどの分野で高度なスキルを持つ新卒社員に年収1000万円ほどを提示することは珍しくない。外資系投資銀行でも1年目の報酬はそれくらいいき、7~8年いれば2000~3000万円くらいになる。5000万円という人は多くはないものの、その年の個人の成果と会社の業績が良ければいくことはあるだろう。ITや専門的な金融知識を必要とする人材の採用では、こうした他業種の企業と競うことになるので、それを念頭に置く給与体系にするということだろう」(外資系金融機関社員)
三井住友銀行の動きの背景には、優秀な人材に「選ばれる企業」にならなければならないという危機感や、既存の社員つなぎ止めの意図もあるのではないかと大手銀行員はいう。
「かつてメガバンクは各種就職人気ランキングの上位に入っていたが、近年では下落しており、仕事の内容や労働環境・条件、待遇面で魅力があると学生から思われなくなったことが大きい。SNSなどで、いくらでも情報を収集して実態が把握できるようになり、『仕事として面白みに欠ける』『将来のキャリアアップにつながる専門性が身につきにくい』と判断されている。50歳を超えると役職定年や出向などで大きく年収が下がるという現実も広く知れ渡ってしまった。また、メガバンク行員といえば比較的高収入で福利厚生もしっかりしており、社会的ステータスも高いとして辞める人は少なかったが、今ではあっさりと転職する若手も増えている。こうした実態にメガバンクも徐々に危機感を抱き始めているということだろう」
(文=Business Journal編集部)