前述のとおり世界でHVとPHVの販売が伸びている。
「1充電あたりの航続距離が400km以上のEVも増えていますが、日常的に400kmも走行するケースは一般的ではなく、オーバースペックといえます。そこで求められてくるのがPHVです。最小限のバッテリを搭載して日頃は電動モーターで走行し、必要時のみ熱効率が高くクリーンなエンジンで走行するような車両であれば、ユーザの利便性を損なわずに低い環境負荷を保てるでしょう。採掘・生産コストが高いレアアース、レアメタルを大量に使用するEVと比べて、エンジン車は原材料が比較的安価であり、技術的な蓄積が豊富なため製造コストが低く済む点もメリットです」
すでに日本の産業界はEVだけにとらわれない、環境配慮型自動車の実現に向けた取り組みを進めているという。
「自動車のCO2排出量を大幅に削減すべく、自動車メーカーと関連業界は連携して、水素やCO2を原料とする合成燃料『e-fuel(イーフューエル)』やバイオ燃料の実用化に取り組んでいます。これらの燃料が量産化されリッター単価が落ちてきて、かつ今以上に高効率のエンジンが搭載されるようになれば、EV一辺倒の流れは大きく変わってくるかもしれません」(飯島氏)
(文=Business Journal編集部、協力=飯島晃良/日本大学理工学部教授)