そして最近、徐々に指摘され始めているのが、修理時の難点だ。EVはエンジン車とは構造が大きく異なり、流通台数も少ないため、自動車整備工場にノウハウや部品がなくて修理できなかったり、修理費用が高額になるというのだ。少し前にはバッテリーの交換費用としてテスラが230万円を提示していることが判明し、一部で話題になった。
「EVではなくレシプロエンジンを搭載した中古車の場合に置き換えると、同じように保証期間も切れた8年落ちの車両が、エンジンの不具合で故障することは普通にありえますし、その際の修理代は50万円で済む場合もあれば、150万円以上するケースもあります。少し高級な輸入車ですと、300万円以上することもあります。こういった従来の自動車に比べると、EVは部品点数も少なく、故障頻度も少ないといわれています」(23年7月29日付け当サイト記事より)
自動車ディーラー関係者はいう。
「バッテリー交換費用が中古車の購入額より高くなるというケースはあり得るだろう。特に日本だと、修理工場でEVのバッテリーを全部交換するという事例が少なく、レアな事例の修理・交換であれば自ずと金額は高くなる。また、自動車保険の任意保険の保険料がガソリン車よりも高い傾向があるというのも注意点といえる」
自動車業界関係者はいう。
「特に日本だと、EVはまだまだレアな存在で、ガソリンエンジン車のほうが利便性が高いというユーザのほうが多いだろうし、特に充電ステーションが少ない地方だと選択肢にすらなり得ない。冬の極寒時に動かないという報告も多く、寒冷地でも使い物にならないということで選ばれにくい。
一方、HVは米国や欧州をはじめ世界的に販売が伸びてきており、昨年10~12月には米国でトヨタのHV販売台数が四半期ベースで過去最高となった。消費者の立場からすれば、まだ当面はEVには飛びつかないほうが良いというのが正直な感想。そしてエンジン車やHVの見直し機運は日本の自動車メーカーにとっては好都合だ」
リセールバリュー面のデメリットもあると自動車メーカー関係者はいう。
「EVが好調なのは、政府が国策としてEVを推進する中国くらいで、米国と欧州は失速状態といっていい。充電ステーションが普及していない点や高額な価格、航続距離の短さといった制約により、EVの購入層は一部のエリア、人に限られるのが実情で、『行き渡るべき人には、ひとまず行き渡った』ため現在の諸条件下では需要が頭打ちになった、というのが今の状況。
そしてEVの新たな問題として表面化しているのが、リセールバリューの低さだ。車を買い替える際は古い車を売って、そこで得た資金を新しい車の購入費用に充てるというのが一般的だが、再販価格が低いと次の車の取得コストが事実上上昇するので、EV購入のハードルとなる」(4月4日付当サイト記事より)
(文=Business Journal編集部)