「24時間ぶっ続けで編集作業×2回」は普通…テレビ業界、働き方改革と無縁

「私がテレビ番組制作会社でADをやっていた頃は、家に帰るのが週1回という生活をして月の給料が18万円だった。ディレクターに昇格すると少し労働時間が減って30万円くらいになった。フリーのディレクターだと、20分のVTRをロケ収録から編集までこなして1本20~30万円だが、20分のVTRでも24時間の編集作業を2本こなさなければならないこともあり、ロケ分も含めると拘束時間は長い。

 これがキー局の社員になると、まったく話が違ってくる。給料が高給なのは知られているが、基本的にプロデューサーやディレクターの仕事は、出来上がった映像のチェックで、スタジオの本番収録には立ち会うものの、VTRの収録や編集には立ち会わないので、制作会社のスタッフに比べれば全然残業は少ない。大企業ゆえに社員の労働時間の管理に厳しいので長時間の残業が許されにくいという面もあるだろう。もっとも、キー局のプロデューサーやディレクターでも、編集作業に立ち会って細かく指示をする人もいるので、人によってまちまちではある」

 そんなテレビ制作の現場だが、変化もみられるという。

「キー局の子会社ではない小規模な制作会社であっても、相変わらず長時間労働ではあるものの、ADやディレクターの数を増やしてシフトを組んだりして、以前よりは社員に休日を取らせようとしている。そうしないと若手がやめてしまうというのもあるが、法律や昨今の働き方改革という社会的風潮、過労死の問題などもあり、さすがに会社としても非常識な長時間労働はマズイという危機意識を持っているのだと感じる。

 ただ、ロケとスタジオ収録をして編集をしてとなると、24時間ぶっ続けで編集作業をするといったことをやらないと放送日に間に合わないという現実がある。テレビ界全体が大勢のスタッフの長時間残業を前提として成立しており、大きく変わることはないだろう」(テレビ制作関係者)

(文=Business Journal編集部)