アマゾン、極限の効率化&社員監視システムが「気持ち悪い」と反感買う理由

 そんなアマゾンは今、さらなる物流効率化に向けた取り組みを行っているという。

「これまでアマゾンは米国では、1カ所の物流拠点から全米に配送するハブ・アンド・スポーク方式をとっていたが、これを全米8カ所の拠点から各リージョン内に届けるリージョナリゼーションへの転換を進めている。加えて、高度なAIや機械学習を活用して、荷物の箱のへこみを画像認識できるようにするなど、さらなる物流効率化を目指している」(小久保氏)

 こうしたアマゾンによるワーカーの管理システムの自動化・効率化の追求は、日本でも問題を生んでいる。アマゾンの荷物を個人事業主が配達する仕組み「Amazon Flex(アマゾン・フレックス)」では、配達する荷物量や報酬、ドライバーに対する評価がアルゴリズムで決められ、評価が低いとアプリのアカウントが停止され事実上の解雇となってしまう。今年1月には、アマゾンジャパンと業務委託契約を結ぶ男性ドライバーが労働組合を結成し、同社に団体交渉を申し入れるという事案が発生。男性は会見で「1時間に20個以上の荷物を配送しないといけないオファーが多い」「休憩を取る時間がなく、トイレを我慢したり、信号待ちの間におにぎりを食べて食事を済ますこともある」などと労働実態を告白。報酬は1時間あたり約1600円であり、配達用車両の購入費や燃料費、各種保険料などはドライバーの自己負担だと説明した。ちなみに配達員は労災保険もかけられていないという。

「アマゾンとしては、とりあえず始めてみて、続けながら仕組みをアジャストしていけないいという姿勢なのだろう。実際に配達員は増えており、働き手がいるということはニーズがあるということなので、今後も普及はしていくだろう。ただ、アマゾン・フレックスが始まった当初と比べて事実上の日給はかなり下がっており、一日200個ほど配送して日給1万円ちょっとでは、かなり厳しく無理がある。アマゾンから荷物配送を委託された業者と契約する個人事業主が業務中に負傷した事案について労災が認定されるというケースも出てきており、大きな見直しがこれから進むだろう」(中堅IT企業役員)

(文=Business Journal編集部、協力=小久保重信/ニューズフロントLLPパートナー)