未経験でも月給35万円、解体業は成長産業…3K労働は過去、高スキルと発想力

しんどいこともあるが楽しい仕事

 谷池さんは、自社はもちろん業界全体で安全面を向上させて解体業のイメージを変えていきたいという。

「解体業界は、会社の規模の大小含めてさまざまで、最近では外国の方が経営している会社もあったりするので、なかなか業界全体でまとまって基準を作るといったことが進んでいないんです。それでも業界のイメージを変えようと思って取り組んでいる理由は、人手不足です。ブラックな業界という先入観があると、いくら待遇を良くしても、人が来てくれない。これからはさまざまな形で健全性や安全対策をしっかりアピールしていくことが大事だと思っています」(同)

 解体業界で働く場合、良い会社を見分ける方法はあるだろうか。

「正直にいえば、現場の状況というのは入ってみないとわからないという部分が多いです。ただ、会社に関していえば、入る前に保険や福利厚生などの条件面はしっかり確認しておいたほうがいいですね。あとはホームページを見て、会社の雰囲気を掴むというのも大事です。この業界は、ホームページがない会社もたくさんありますから、ホームページがあるだけでしっかりしているかなとは思いますね」(同)

 ちなみにユーザーとして解体業者を利用する場合は、ネットの情報だけを頼りにしないほうがいいという。

「ネットで見つけた業者の見積もりが安かったのでお願いしたら、追加請求が高額だったといった話はよく聞きます。各社を横断して見積もりが取れるポータルサイトもありますが、そこで上に出てくる業者さんほど悪徳業者だったりするんですよ。私も個人的にポータルサイトで選んだ解体業者さんに頼んだことがあるのですが、あまり良くなかったです。ホームページだけでなく、担当者の対応や現場に見積もりに来た業者の服装や態度などからも、どういう仕事をするのかを推し量れると思います」(同)

 最後に、解体業界で働く上での「やりがい」について聞いた。

「健康で、体力があるというのも大事ですけど、解体業界を良くしていきたいという方に来ていただければいいですね。解体というのは単純作業のように思われますけど、意外と奥深いんですよ。何をどう壊していけば効率が良いかとか、現場の状況で臨機応変に考えながら進めていく。 スキルに加えて、発想力が大事な作業なので、そういったところまで踏み込むと、やりがいはあると思います。もちろん、しんどいこともありますけど、楽しい仕事ではあるので、イメージを変えていきたいですね」(同)

 需要のある成長産業であり、給与も高水準、そしてAIが発達してもなくならない仕事である解体業。ブラック業者が駆逐され、イメージが良くなれば、やりがいのある人気の職業になる可能性は大いにある。   

(文=清談社、協力=谷池一真/クリーンアイランド代表取締役)