札幌ドーム、2.5億円で命名権販売が波紋…「上から目線・強気」の各種条件

札幌ドーム「広告収入増加策の1つとして販売」、札幌ドームの運命

 実は札幌ドームが命名権協賛企業を募集したのは今回が初めてではない。2011年に年5億円以上、5年間以上という希望を提示し、「札幌ドーム」の言葉を分割せずに含めることなどを条件に募集したものの、条件で折り合う企業は出ず、販売には至らなかった。

 札幌ドーム側は本稿記者の取材に対し、「(今回のネーミングライツの販売は)広告収入の増加策の1つとして行うことになった」と回答。金額についてはコンサルティング会社のニールセンが算出したものだという。なお、締切までに希望者が現れなかった場合は「いったん募集を締め切ったうえで再募集をかける」とした。

 札幌ドームの経営は厳しい。日ハムが本拠地を移したことで年間20億円以上とみられる売上を失い、24年3月期の純損益は2億9400万円の赤字予想からさらに膨らむ見通し。そんななか、集客の要として総額10億円を投入して設置したのが、1~2万人規模のイベントを開催する「新モード」だが、使用・予約件数は少なく、市民からは「事実上の税金の無駄使い」との声もあがっている。すでに市は本年度予算で札幌ドームへの助成金として1億4000万円を計上するなど事実上の補填を決定しているが、札幌市が55%の株式を持つ第三セクターである札幌ドームの経営が行き詰まれば、さらに税金が投入される可能性もあるため、地元経済界では早くも「ドーム解体」論まで聞かれる事態となっている。

 果たしてネーミングライツの取得を希望する企業は現れるのだろうか。もしかしたら今回のネーミングライツ販売が成約に至るかどうかが、札幌ドームの運命を左右するかもしれない。

(文=小林英介)