「うまい棒」製造元、社員78名で年商183億円…絶妙な高収益経営の秘密

 消費税については、大手コンビニなどでは1円未満の端数は切り捨てられる。食品は消費税率8%だが、うまい棒は価格10円だと消費税は0.8円、12円でも0.96円でギリギリ1円に満たないので切り捨てになる(まとめ買いした場合などは別)。これが13円だと消費税が1円発生し、税込14円になるので印象が変わってくる。そう考えると、2円という値上げ額は絶妙だったようだ。

日本では特殊な例

「やおきん」の成功について、鈴木氏は「日本では特殊な例」と指摘する。

「主力商品の価格が10円台という会社は日本ではほとんどありません。国内で類似するのはチロルチョコ(1個23円、チロルチョコ株式会社が販売)くらいでしょう。しかし、海外だとインドやブラジルなどで、低所得者層向けにシャンプー1回分を10円程度で販売するといったビジネスで成功しているケースがあります。そうしたビジネスでは、先に価格を決定し、その範囲でどうすれば利益が出るのかを逆算します。『やおきん』の商品展開や戦略は、そうした海外のビジネスモデルと近い。うまい棒が10円のころから12円に値上げした現在まで、『やおきん』は利益を確保するためのコスト管理がしっかりできているからこそ、高い年商を維持できているのでしょう。『やおきん』の成功の秘訣は、そこが一番のポイントだと考えられます」(同)

(文=佐藤勇馬、協力=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)